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人権団体、パレスチナ人の射殺が増加する一方でイスラエル兵が保護されていると非難

パレスチナ人のハムディ・アブ・ダイエさんの遺体の近くに集まる人々やジャーナリストらを散らすためにイスラエル軍が放出した催涙ガス。ヨルダン川西岸地区、ヘブロンの北にあるハルフル村。(AFP)
パレスチナ人のハムディ・アブ・ダイエさんの遺体の近くに集まる人々やジャーナリストらを散らすためにイスラエル軍が放出した催涙ガス。ヨルダン川西岸地区、ヘブロンの北にあるハルフル村。(AFP)
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18 Jan 2023 05:01:17 GMT9
18 Jan 2023 05:01:17 GMT9
  • イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる極右政権発足後の動き
  • 銃撃の犠牲者らはイスラエル兵の命を危険に晒したわけではなかったと人権団体は主張している。

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:パレスチナの人権団体は、イスラエル軍がパレスチナ人に対する発砲規定を変更した結果として12月以降前例のない数の殺害が行われていると非難した。

これは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる極右政権発足後の動きだ。

銃撃の犠牲者らはイスラエル兵の命を危険に晒したわけではなかったと人権団体は主張している。

ヨルダン川西岸地区では今年に入って15人のパレスチナ人が殺害されている。直近の犠牲者であるパレスチナ人警察官のハムディ・アブ・ダイエさん(40)は、17日に同地区南部のヘブロンの北にある町ハルフルでイスラエル兵らに射殺された。

今週はじめには、ラマッラーの東にあるシルワドに住むアフマド・カフラさん(45)がイスラエル軍に殺害された。

イスラエル兵らが発砲した際にカフラさんと一緒にいた長男のクサイ・カフラさんによると、彼らは朝職場に向かう途中にイスラエルの検問所で車を止められ、その後兵士らが発射したスタングレネードが車の屋根に当たり、続いて催涙スプレーをかけられたという。

監視カメラの映像には、アフマド・カフラさんとイスラエル兵数人が殴り合い、兵士らの一人が至近距離からカフラさんを銃撃する様子が映っていた。

同様に、昨年12月にはナブルス近郊のハワラでアマル・ムフレさん(23)がイスラエル軍に至近距離から銃殺された。

「パレスチナ独立人権委員会」の事務局長であるアマル・ドウェイク氏はアラブニュースに対し次のように語る。「発砲規定には新たな修正が何度も加えられており、パレスチナ人を銃撃することが容易になっている。その狙いは、イスラエル兵を法的に保護し、現場におけるパレスチナ人に対する彼らの犯罪を隠蔽することだ」

直近には12月に発砲規定の修正がなされたという。「それ以来、殺害や現場処刑がエスカレートしている」

イスラエルのイタマル・ベングビール国家安全保障相は先日、ヘブロンの南にある町アル・ダヒリヤでパレスチナ人1人を殺害した兵士を称賛した。

ドウェイク氏は続ける。「イスラエルの政治家がパレスチナ人殺害を扇動している。新たな発砲規定の本質は、イスラエル兵が僅かでも疑いを感じれば発砲や致死力行使が可能だということだ」

イスラエルによる射殺政策の犠牲者については、たとえ誤って射殺された場合でも補償がなされることはない。ただし米国人でなければの話だ。昨年秋、イスラエル軍は米国からの圧力を受けて米国人犠牲者の遺族に補償した。

パレスチナの人権団体は、イスラエルによる殺害を記録・公表することを通して国際世論に影響を与え、イスラエルに対し暴力をやめるよう圧力をかけさせたいと思っている。

ドウェイク氏は次のように語る。「我々は人権団体としてこの問題を常に監視している。パレスチナ外務省も現場処刑の問題について国際刑事裁判所に訴えを起こした。それが示しているのは、今起こっていることは見え透いた口実のもとでの超法規的殺人政策であり、個別の事件ではないということだ」

パレスチナ保健省によると、イスラエル軍は2022年にヨルダン川西岸地区で170人、イスラエル領内で6人のパレスチナ人を殺害した。

イスラエル治安当局のある高官はアラブニュースに対し、発砲規定は以前のものと変わっていないがその適用について変更があったと語る。

この高官は、兵士が生命の危険を感じた場合には危険の原因に対して段階的に(まず空中に、続いて足に、さらには腹部に)発砲することが許可されると発砲規定は定めていると指摘する。

また、「これが可能なのは、兵士と攻撃者の間に距離があり時間も十分にある場合だ。しかし、突然攻撃された場合、兵士にできるのは発砲して攻撃者を無力化することだけだ。その結果攻撃者が死亡することもある」としたうえで、危険を無力化した後も発砲を続けることは禁止されていると説明した。

イスラエル兵とパレスチナ人の間で武力衝突が発生した際には、「強力な武器を持ち、良く訓練され、武器の扱いがうまい方が勝つ。だから、死者が出るのはイスラエル兵の側ではなく常にパレスチナ人武装者の側だ。つまり、外からは全体像が分からず、あたかもパレスチナ人が突然殺されたように見えてしまう。実際には武力衝突で死亡しているのに」

発砲規定では、軍が攻撃を受けた場合にはその発生源が無力化されるまで応戦を継続しなければならないと定められているという。

「我々は毎晩、ヨルダン川西岸地区のキャンプ、都市、村などにおいて逮捕作戦を実施している。逮捕作戦の大半ではパレスチナ人による銃撃に晒される。当然ながら、我々側の訓練されたスナイパーが、我々に向けて発砲してくる訓練されていない銃撃者を標的にすることになる」

別のイスラエル軍専門家がアラブニュースに対し語ったところによると、イスラエル国防軍の発砲規定は最高機密とされており米国にさえ明かされていないという。

別の動きもあった。ガッサン・アル・マジャリ駐パレスチナ・ヨルダン大使がエルサレムのアル・アクサモスクへの立ち入りをイスラエル当局から拒否されたことを受け、ヨルダンがイスラエル大使をアンマンの外務省本部に呼び出したのだ。

イスラエル警察はライオン門においてアル・マジャリ大使に対し事前に訪問許可を得るよう要求したが、同大使は拒否したという。

ヨルダン外務省の報道官は、イスラエル大使には強い言葉による抗議の書簡を渡したうえで直ちにイスラエル政府に届けるよう言い渡したと述べた。

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