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イスラエル財務相、パレスチナ人からの税収を攻撃の犠牲者への賠償として没収

2020年6月、トゥルカレム近郊でパレスチナの旗を掲げてイスラエル軍と対峙するデモ参加者。パレスチナ自治政府の代理で徴税しているイスラエルはパレスチナ人による攻撃の犠牲者への賠償金として、税収の内2,900万ドルを没収するという(Reuters/File)
2020年6月、トゥルカレム近郊でパレスチナの旗を掲げてイスラエル軍と対峙するデモ参加者。パレスチナ自治政府の代理で徴税しているイスラエルはパレスチナ人による攻撃の犠牲者への賠償金として、税収の内2,900万ドルを没収するという(Reuters/File)
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03 Feb 2023 07:02:37 GMT9
03 Feb 2023 07:02:37 GMT9
  • 金額は、通常の毎月の差し引き額の約2倍に当たる
  • イスラエル当局が、パレスチナ人からの税収をイスラエル人死傷者とその家族への「賠償金」として没収するのはこれが初めてではない

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:パレスチナ自治政府(PA)に代わり徴税を行っているイスラエル政府はパレスチナ人による攻撃の犠牲者への賠償として、PAに送金される予定の税収から1億シェケル(2,900万ドル)を充当するとベザレル・スモトリッチ財務相が発表した。

この金額は、通常の毎月の差し引き額(1,470万ドル)の約2倍に当たり、スモトリッチ氏の就任以後、このような動きは初めてである。

スモトリッチ氏はこれらの資金がPAからイスラエルのパレスチナ人受刑者と占領に反対して攻撃を行った者たちの家族に渡っているとして、この措置命令に署名した。

イスラエル当局が、パレスチナ人からの税収をパレスチナ人が行った攻撃によるイスラエル人死傷者とその家族への「賠償金」として没収するのはこれが初めてではない。

1月8日、スモトリッチ財相はパレスチナ人への制裁措置の一環としてPAに送金すべき税収から4,050万ドルの没収を命じた。

同様の理由で2011年から2021年の間にイスラエルによって送金分から差し引かれた額は110億ドルに達する。

2022年だけでも、パレスチナ人からの税収からイスラエルが一方的に没収した額は4億5,000万ドルである。

PAの経済担当高官は匿名を条件にアラブニュースの取材に応じ、差引額を倍増するというイスラエルの決定によって、1年以上にわたって続いているPAの財政危機はさらに深刻化するだろうと述べた。

「これは、パレスチナ自治政府を弱体化させ、間接的に攻撃を加えようという意図的な試みです」とこの高官は話した。

「物価上昇と公共部門の従業員に対する支払い義務の増加を考えると、差し引き額の増加によって、PAは従業員の給与の8割さえも支払うことができなくなり、その結果安全保障体制が脅かされ、人々はますますイスラエルに暴力で抵抗するようになるでしょう」

この高官によると、PAのパレスチナの銀行からの借入額は許容できる上限を超えており、このまま借入を続けた場合、パレスチナの銀行セクターに大きな混乱が生じると懸念されている。

パレスチナのアフメド・マジダラニ社会開発相はアラブニュースに対し、イスラエルによる送金の減額によって、自治政府の給与支払いと貧困にあえぐ人々への福祉政策に支障が出るだけでなく、民間企業も影響を受ける可能性があると語った。

「イスラエルはPAを、責務を果たすことの不可能な瀬戸際まで追い込もうとしています。パレスチナの状況はさらに悪化し、治安サービスを含む自治政府の諸機関は弱体化するでしょう」とマジダラニ氏は述べた。

一方、イスラエル軍はヨルダン川西岸地区、その大半はラマッラー出身のパレスチナ人27名を逮捕し、エルサレム在住の5名に3か月から6カ月の行政拘禁を言い渡し、ヨルダン川西岸地区北部の都市ナーブルスの南にあるドゥマ村で2軒の家屋を取り壊した。

ドゥマ村議会のスレイマン・ダワブシャ議長はアラブニュースに、イスラエル軍の大部隊が軍用ブルドーザーとともにやってきて村の東部を襲い、家屋を破壊したと話した。

同時に、さらに15人が住居を破壊するという脅しを受けた。

また別に、イスラエルの入植者がナーブルスの南にあるハワラに住む子供を催涙スプレーで攻撃するという事件も起きた。

この入植者は町の大通りでスレイマン・アル・ムフタル氏の車を止めさせると、窓越しに氏の14歳の息子ファイサル君の顔目がけて催涙スプレーを噴射したという。

「分離壁と入植地への抵抗委員会」によると、新たに6か所で入植前哨地を建設する試みを含め、今年1月の間に入植者によるパレスチナ人への攻撃は150件を数えた。内72件はナーブルスで起きたという。

他方で、160のパレスチナおよびアメリカの人権・人道団体がアメリカ議会に対し、イスラエル政府によるパレスチナ人「大虐殺」への資金援助を止めるよう求めた。

これらの団体は、軍事資金提供を打ち切ることでイスラエルの軍備増強を阻止するための政治的方策を議会が即時に取る必要性を強調した。

アムネスティ・インターナショナルはイスラエル当局に対し、「人道に反する罪」に相当する「違法な殺害」によって支えられる「人種差別的」システムを撤廃するよう求めている。

アムネスティはまた、行政拘禁や拘留者の強制移送など、イスラエル当局が行っている他の現在も続く深刻な人権侵害を非難した。

アムネスティの声明は、イスラエル当局がパレスチナ人の生活の実質すべての側面を支配しており、「彼らを地域の分断と法的隔離を通じて日々圧政と不当な差別下に置いている」と指摘している。

占領下にあるパレスチナ領の人々は飛び地に隔離されて生活しており、ガザ地区の住民はイスラエルの違法な封鎖によって世界から切り離されている。人道上の危機が生じており、これは一種の集団的懲罰に他ならないとアムネスティは主張している。

また、ハマスはチャドが2月2日にイスラエルに大使館を開設したことを批判し、決定の再考を求めた。ハマスはこの動きが、歴史的にパレスチナを支持してきたチャド国民の立場に反するものだとしている。

さらに、「エルサレムと聖地を支援するイスラム・キリスト教機関」も入植者がエルサレム旧市街の教会を攻撃した事件を非難した。

同機関は、教会の破壊事件は「エルサレムにおいてユダヤ的でないすべてのものに対する、入植者による危険な罪」だとした。

イスラエル警察によると、犯人は40代のアメリカ人旅行者で、すでに逮捕されている。

報道では、アントニー・ブリンケン米国国務長官は中東訪問中、パレスチナのマフムード・アッバース大統領に対し、アメリカの安全保障担当調整官、マイケル・ウェンゼル大将が立案した治安計画を受け入れるよう求めた。この計画はパレスチナ自治政府が騒乱の中心となっているナブルスとジェニンの両都市で統制を回復するためのものである。

計画には、パレスチナ特殊部隊を占領下のヨルダン川西岸地区の武装勢力と対峙できるよう訓練することも含まれる。

「このような治安計画は現実離れしているために決して成功しないでしょう。ジェニンとナブルスでの治安上の問題は、イスラエルに抵抗する側の人々を抑圧するだけで済む話ではないのです」とジェニン県知事、アクラム・ラジューブ少将はアラブニュースに語った。

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