• クネセト（イスラエル国会）の憲法委員会は、改革案の第1章を1次審議にかけるため総会へ送るかについて表決を行った
• テルアビブおよび他の都市では毎週、この改革案に抗議する数万人がデモを行っている

エルサレム：2月13日、政府の司法制度改革案を審議する委員会の席で、イスラエルの議員たちが激しい口論を繰り広げた。改革案に関しては、イツハク・ヘルツォグ大統領がすでに「国家の成り立ちを崩壊」させかねないものだと警鐘を鳴らしている。

この案が実現すると、右派のベンヤミン・ネタニヤフ首相による裁判官の任命権が強化され、最高裁が法律を無効としたり、行政府に不利な決定を下したりする力が弱められことになるため、幅広く抗議が起きている。

クネセト（イスラエル国会）の憲法委員会は、改革案の第1章を1次審議にかけるため総会へ送るかについて表決を行った。委員会は大荒れとなり、少なくとも3名の野党議員が「恥を知れ」という野次が飛ぶ中で退場させられた。

中道派イェシュ・アティッド党のイダン・ロール議員は退場を促される前に委員会の議長で、強硬右派の宗教シオニスト党所属のシムチャ・ロトマン議員に「あなたたちは国を焼き払おうとしている」と叫んだ。

現在汚職の罪（自身は容疑を否定している）で公判中のネタニヤフ氏は、権限を濫用して政治の領域にまで干渉する活動家的判事を抑えるために変革が必要だと述べた。

批評家は、この案は司法の権限を弱め、行政府に無制限の力を与え、人権と市民の自由を危険にさらすことでイスラエルの民主主義的な抑制と均衡のシステムを破壊するリスクをはらんでいると述べている。

テルアビブおよび他の都市では毎週、この改革案に抗議する数万人がデモを行っており、13日遅くにも総会での表決に合わせて大規模デモが計画されている。

13日朝、テルアビブ発エルサレム行きの電車は、イスラエルの国旗と抗議の意思を示す旗を持ってデモに向かう人々で混雑していた。

議会でネタニヤフ右派政権への反対があっただけではない。金融やテクノロジーといったセクターからも、改革によってイスラエルの経済的繁栄を下支えしている民間企業が負の影響を受けるのではという警戒の声が上がっている。

12日晩、国家元首のヘルツォグ大統領がテレビ演説を行い、国論の二分によってイスラエルの「国家の成り立ちと社会が崩壊」する瀬戸際に追い込まれているとして、この件に関する総意を得るよう求めた。大統領がこのような介入を行うのは異例である。

アメリカのジョー・バイデン大統領はネタニヤフ首相に対し、大きな影響をもたらす改革をごり押しするのではなく、国民の総意を得るよう努めるべきだと求めた。

12日にニューヨークタイムズに掲載された声明の中で、バイデン氏は司法の独立はアメリカでもイスラエルでも、民主主義の基盤の1つだと述べた。

ロイター