モハメッド・ナジブ
ラマッラー:パレスチナ人市民と人権団体は、イスラエル政府が占領下のエルサレムで「民族浄化」および「集団的懲罰」の犯罪行為を行っているとして、国際社会と国際刑事裁判所に対し、同国にこうした行為を止めさせる措置を取るよう求めている。
この呼びかけは、イスラエル当局が、極右派のイタマル・ベングビール国家治安相の命令により、シルワン、ジャバル・アル・ムカビル、イサウィヤのエルサレム地域各地で(パレスチナ人市民の住む)家屋の取り壊しを続けていることに対する危機感に基づいたものだ。
イスラエル政府は、イスラエル人への攻撃を行った者の家族の家や、許可なく建てられたとされる家を標的にしていると報じられている。
12日には、エルサレム市役所の解体作業班が、イスラエル警察と特殊部隊を伴い、シルワンやジャバル・アル・ムカビルなど市内のいくつかの地域の家屋に突入した。
ベングビール国家治安相は、12日から東エルサレムで「防御の盾2」作戦の実施を決定したと述べている。この作戦は、2002年にイスラエル国防軍がヨルダン川西岸で行った大規模な軍事作戦と同様のものだという。
「我々はエルサレムでの「防御の盾2」作戦実施を決意している」と国家治安相は自身のツイッターで表明している。
ベングビール国家治安相はまた、警察部隊には「違法住宅の破壊、150人以上の対象者の逮捕、家宅捜索、モスクでの扇動行為の阻止」を行う権限があるとも主張した。
国家治安相は、12日の安全保障閣議は重要だが、治安の確立はより重要であり、「私はこの作戦の成功に万全を期す」と述べた。
イスラエル軍の報道官は11日の夜、シルワンでの銃撃事件の実行犯とされる13歳のマフムード・アリワット容疑者が住むアパートを軍が閉鎖することを決定したと発表した。
アリワット容疑者は2人の入植者を銃撃した罪に問われており、被害者の1人は依然重体である。
イスラエル治安当局は12日、東エルサレムのバス停に車を突っ込ませ、3人を殺害したとされるフセイン・カラケア容疑者の実家も封鎖した。
また、イスラエルの裁判所は11日夜、エルサレム南部ジャバル・アル・ムカビルの5世帯に対し、取り壊し準備のため家を明け渡すよう通告した。
こうした動きに対し、イスラエルの人権団体ハモクド(HaMoked)のジェシカ・モンテル理事長は、パレスチナ人家族への集団的懲罰がエスカレートしていると批判している。
モンテル氏は、「これらの措置の根底には、正当な安全配慮よりも、復讐心や現政府の極右メンバーへの忖度があるのは明らかに思える」と指摘した。
「家屋の封鎖や取り壊しが抑止力として有効かどうかについては、深刻な疑問がある。はっきりしているのは、これらが違法かつ非道徳的な集団的懲罰だということだ」とモンテル氏はアラブ・ニュースに語った。
イスラエル当局は2022年に東エルサレムで13軒の家を取り壊し、イスラエル高裁は今年すでに2軒の取り壊しを認めている。
東エルサレムではさらに5軒、ヨルダン川西岸では2軒が封鎖か取り壊しの危機に直面している。
東エルサレムの著名なコミュニティリーダーであるイマド・ムナ氏も、モンテル氏と意見を同じくしている。
ムナ氏はアラブニュースの取材に対し、エルサレムに住む35万人の人々は、家族の拡大に伴い、より多くの住宅を必要としていると説明した。
「エルサレムの家屋に関する問題は政治的な性格のもので、エルサレムの住民に建築許可を与えず、彼らの家を取り壊すことは、彼らを街から追い出そうとする無言の圧力なのだ」とムナ氏はアラブニュースに訴えた。
ムナ氏によると、エルサレムの住民の50%が、許可なく家を建てたり、無許可で増築を行うなど、建築に関する問題を抱えているとのことである。
イスラエルのエルサレム市は、1件10万ドルもする建築許可証の発行をしばしば拒否するため、住民は無許可で建築するか、アルラム、ビル・ナバラ、アブ・ディスといったエルサレム周辺の町に出て行くしかなくなっている、とムナ氏は指摘する。
また、住民たちがエルサレムでの永住権を奪われてしまう危険もある、とムナ氏は懸念を示した。
エルサレムの住民たちは、12月下旬にイスラエルに極右政権が誕生して以来、家屋の取り壊しが劇的にエスカレートしていると捉えている。
これは、エルサレムの 「安定と発展」に関するアラブ連盟の会議がカイロで開催された時期とも重なっている。
この会議は、エルサレムの第一防衛線として同市の住民を支援すること、および住民たちとアル・アクサ・モスクとの絆を守ることを目的としたものだ。
パレスチナ立法評議会のラウヒ・ファトゥーハ議長は、占領当局が行った家屋取り壊し、特にジャバル・ムカビル地区でのものは、「強制移住と民族浄化が一体化した、私たち(パレスチナ人市民)と人類の権利に対する」新たな「 戦争犯罪だ」と非難した。
報道発表の中で、ファトゥーハ議長は、イスラエルの諸措置が民族浄化の犯罪行為に当たるとして、国際社会と国際刑事裁判所に対し、同国にこうした行為を止めさせる措置を早急に取るよう求めている。
議長は、イスラエルはエルサレムの宗教的・歴史的モニュメントを保護するすべての国連決議を無視し続けているとも指摘している。
「占領者であるイスラエルは、殺害、犯罪、強制移住を繰り返し、その非人道的、ファシスト的で醜い人種差別主義者の顔を毎日私たちに見せつけているのだ」とファトゥーハ議長は述べている。
パレスチナ人たちは、イスラエルが土地の没収、建築制限、家の取り壊しを通じてエルサレムの人口構成を変えようとしていると主張してきた。
彼らによると、35万人のパレスチナ人が占領下の東エルサレムの土地の13パーセントで暮らしているが、建築物の建設認可要請のわずか2パーセントしか当局の検討対象になっていないという。
パレスチナ人住民が家族の自然な増加に伴って追加の住宅建設を余儀なくされると、それがイスラエル当局にとっては、彼らの家を取り壊し、土地を没収する口実になってしまうというのだ。
イスラエル占領地人権情報センター「ベツェレム(B’Tselem)」のレポートによると、2021年には東エルサレムで160棟(うち住宅用96棟)の建物が取り壊されたという。