Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • アレッポの損壊した自宅で身を寄せ合うシリア人地震被災者たち

アレッポの損壊した自宅で身を寄せ合うシリア人地震被災者たち

アレッポは2月6日の地震で大きな被害を受けた。54棟もの建物が倒壊し、いくつもの史跡が損壊した。(AFP)
アレッポは2月6日の地震で大きな被害を受けた。54棟もの建物が倒壊し、いくつもの史跡が損壊した。(AFP)
Short Url:
22 Feb 2023 11:02:30 GMT9
22 Feb 2023 11:02:30 GMT9
  • 2月初旬にマグニチュード8の地震が発生した時、かつで商業活動の中心地だったアレッポは既に10年以上に及ぶ内戦で打ちのめされていた
  • 国営メディアの報じるところでは、シリア政府支配地域内での地震による死亡者数合計の3分の1近くをアレッポででの死亡者が占めているという。

アレッポ、シリア:シリア第2の都市で瓦礫の散乱した中にあるベッドの傍に座るウム・ムニール氏は、大地震のおかげで部屋に穴が開こうとも、自宅を離れようとはしない。

マグニチュード7.8の地震が2月初旬に発生した時、かつで商業活動の中心地だったアレッポは既に10年以上に及ぶ内戦で打ちのめされていた。この震災により、トルコとシリアで45,000人以上が死亡し、地域全体が壊滅的な打撃を受けた。

隣接する建物が倒壊し、自宅裏側のファサードがもぎ取られてしまったものの、ウム・ムニール氏は自然災害も内戦も自身を追いはらうことはできないのだと語った。

「死を除けば私を自宅から追い払う方法はありません」と、大きな被害を受けた7階建ての建物の4階に55歳のムニール氏は彼女1人で暮らしている。

「お墓以外のどこにも行くつもりはありません」

ムニール氏の住むアレッポは2月6日の地震で大きな被害を受けた。54棟もの建物が倒壊し、いくつもの史跡が損壊した。

国営メディアの報じるところでは、アレッポの死亡者数は少なくとも432人で、これはシリア政府支配地域内での地震による死亡者数合計の3分の1近くだという。

政府関係者と医療従事者は、反政府勢力支配地域も含め、内戦により荒廃したシリア国内の死亡者数合計は3,600人を越えると見積もっている。

アレッポでは、その東部を拠点とする反政府勢力とロシアの支援を受けた政府軍が、2012年から2016年まで熾烈な戦闘を行った。

反政府勢力支配地域を完全包囲した上で、樽爆弾やロケット慱、砲弾による激しい攻撃を行った後、2016年12月に政府軍はアレッポの完全制圧を宣言した。

「私たちは栄光に満ちた富裕な国民です。しかし、内戦がすべてを変えてしまいました」と、ウム・ムニール氏は、自身の木製家具の残骸に目を向けながら言った。

「内戦中の最も過酷な時期でも私たちは退避しませんでした」と、ムニール氏は付け加えた。マシャリカ地区にあるムニール氏の自宅は内戦の最前線に近接していた。「今回も私たちは避難しません」

未明の地震で、マシャリカ地区では、睡眠中の住民の上に2つの建物が倒壊し、30人を上回る死者が出た。

果てしなく続くかのような余震は、精神的外傷を負った被災者たちを怯えさせ、月曜日にはマグニチュード6.4の地震がトルコとシリアの同じ地域を襲った。

この2度目の地震が発生した時、ウム・ムニール氏は1階に住む85歳のアミナ・ラスラン氏を連れて急いで屋外に飛び出した。

「彼女は走れません。それで、私が手をつないでなるべく速く歩きました」と、ウム・ムニール氏は語った。

ラスラン氏と暮らす彼女の息子は、ロケット弾やミサイルが雨のように降り注ぐ「最前線が自宅近くだったので危険には慣れてしまいました」と語った。

55歳のアリ・アル・バッシュ氏は、損壊した自宅から家族で避難したいと思ってはいるが、「私たちには行き先がないのです」と、タバコをふかしながら話した。

ラスラン氏は、倒壊した自宅に家族で50年暮らしていたことを想い、目に涙を浮かべた。

「何もかも崩壊しました」と、ラスラン氏は言った。周囲ではラスラン氏の孫たちが遊んでいた。

他の数多くの家族と同様、自分たちも避難所に移りたくはなかったが、新しい住居を借りる余裕も無かったのだと、ラスラン氏は語った。

「内戦の間に、私は子供を2人無くしました。自宅を離れたくありません…もう何も失いたくないのです」

しかし、アレッポの住民の一部は、損壊した自宅を離れ、テント暮らしをしている。

63歳のムハンマド・ジャウィッシュ氏は、自宅建物が一部崩壊したため、数十世帯の家族と共に仮設キャンプで生活している。

「自宅がまだあればここにはいません」と、ジャウィッシュ氏は孫たちを眺めながら言った。孫たちは使い古されたサッカーボールで遊んでいた。何人かは、冬の寒さの中、裸足だった。

ジャウィッシュ氏は、この地震で所有物すべてを失い、「振り出しに戻されてしまいました」と、語った。

「この小さなテントの中にいると胸が締め付けられるような気がします」と、ジャウィッシュ氏は言った。「悲しさのあまり死んでしまいそうです」

特に人気
オススメ

return to top