Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • イスラエル、パレスチナ武装勢力が襲撃後にロケット弾を発射したと発表

イスラエル、パレスチナ武装勢力が襲撃後にロケット弾を発射したと発表

イスラエル軍は23日、ロケット弾が発射された後にガザ地区で襲撃を行った。これは、紛争地ナブルスでの襲撃が衝突を引き起こし、パレスチナ人11人が死亡、100人以上が負傷した翌日のことであった。(ファイル/AFP)
イスラエル軍は23日、ロケット弾が発射された後にガザ地区で襲撃を行った。これは、紛争地ナブルスでの襲撃が衝突を引き起こし、パレスチナ人11人が死亡、100人以上が負傷した翌日のことであった。(ファイル/AFP)
Short Url:
23 Feb 2023 07:02:34 GMT9
23 Feb 2023 07:02:34 GMT9
  • イスラエル軍はこれに先立ち、ガザ地区から6発のロケット弾が発射されたと発表した

エルサレム:イスラエル軍によると、パレスチナ武装勢力が23日未明、ガザ地区からイスラエル南部に向けて6発のロケット弾を発射した。これは、イスラエル軍が占領下のヨルダン川西岸地区を急襲し、パレスチナ人11人が死亡する激しい銃撃戦が発生した数時間後のことだった。

パレスチナ武装勢力グループは直ちにロケット弾による攻撃を行ったわけではなかったが、ナブルスでの22日朝の襲撃が引き金となったようである。

イスラエル軍によると、アシュケロンとスデロットに向けて発射されたロケット弾のうち、5発は防空部隊が迎撃した。1発は野原に落下した。イスラエル軍機はその後、ガザ北部と中部の標的を何ヶ所か攻撃した。

イスラエルやガザで負傷者が出たという報告はない。

保健当局によると、ナブルスでの死者には、72歳、66歳、61歳のパレスチナ人男性3人と、16歳の少年1人がいた。他にも大勢の負傷者が出た。

これはヨルダン川西岸と東エルサレムでの約1年間の戦闘の中でもっとも血生臭い戦闘のひとつであり、さらなる流血の可能性が高まった。

イスラエル警察は警戒を強化していると述べ、ガザの武装勢力グループであるハマスは我慢の「限界」だと述べた。もうひとつの武装勢力グループであるイスラム聖戦は報復を誓った。

4時間に及ぶ攻撃は、武装勢力の拠点として知られるナブルスの、何世紀もの歴史がある市場に、広範な被害をもたらした。

打ちのめされた衛生兵がある男性の死亡を宣告したが、その遺体が自分の父親であることに気づくという、胸が張り裂けそうな場面もあった。

素人が撮影した動画には、明らかに武器を持っていない2人の男性が通りを走っているときに撃たれている様子も映っていた。

イスラエルは、昨年春にイスラエルで死傷者を出した一連のパレスチナ人襲撃事件以来、ヨルダン川西岸地区で指名手配中の武装勢力の逮捕を強化している。

イスラエル当局はこれらの作戦を「芝刈り」にたとえ、困難な状況が悪化するのを防ぐために必要なことだと述べている。

しかしこういった強制捜索が暴力行為の進行を遅らせる兆候はほとんど見られず、22日の作戦のようなケースでは、報復の可能性を高めることになりかねない。

イスラエル軍は、ヨルダン川西地区の商業中心地であるナブルスに入り、過去の銃撃事件の容疑者である過激派3人を逮捕したと発表した。

主犯格は昨年秋のイスラエル兵殺害事件で指名手配されていた。

軍は通常、夜間に襲撃を行うが、これは民間人が犠牲になるリスクを減らすための戦術だとしている。

しかし、軍報道官のリチャード・ヘクト中佐は、情報部が隠れ家にいた彼らを追跡したため、軍は迅速に動いたと述べた。

ヘクト氏によると、イスラエル軍は建物を包囲して彼らに降伏を求めたが、逆に彼らは発砲してきたという。

建物から逃げようとした過激派が1人、撃たれて死亡した。

その後、軍がミサイルを発射して建物を破壊し、他の2人を殺害したとヘクト氏は述べている。

同時に、外周を固めていた部隊が集中砲火を浴び、激しい銃撃戦が始まったという。

軍によると他の人々が部隊に向けて石や爆発物を投げつけ、そして当局はパレスチナの若者の群れが装甲車に石を投げつける様子を車内から撮影した動画を公開した。イスラエル側の死傷者はいなかった。

市内のナジャ病院には負傷者が大勢押しかけたと、循環器科の看護部長であるアフマド・アスワド氏は語った。

この36歳の衛生兵はAP通信の取材に対して、胸部、頭部、大腿部を撃たれた患者が大勢いたと語った。「彼らは殺すために撃ったのです」と彼は述べている。

彼は、同僚とともに61歳の男性の心臓から弾丸を慎重に取り出した瞬間が忘れられないと語った。

混乱が収まり、その患者の死亡を宣告した後、その患者の顔を見た。それは同僚の父親、アブドルアジーズ・アシュカル氏であった。

同僚のエリアス・アシュカル氏は打ちのめされて黙り込んでしまった。「それが現実だとは思えませんでした」とアシュカル氏は述べた。

ナブルスの旧市街では、何世紀もの歴史がある市場で、かつては大きな家だった瓦礫を人々が見つめていた。

店は端から端まで弾丸だらけだった。駐車していた車は押しつぶされた。血痕がセメントの廃墟を染め上げていた。

瓦礫の山の中には、破壊された家の家具が散乱していた。

インターネット上で広く共有されている、タイムスタンプ付きの防犯カメラの映像には、2人の若者が通りを走っている様子が映っていた。銃声が聞こえ、2人とも地面に倒れ、1人の帽子が頭から飛んだ。

2人は武装しているようには見えなかったが、動画には発砲に至る経緯は映っていなかった。
ヘクト氏はこの動画を「問題あり」とし、軍が調査中であると述べた。

さまざまなパレスチナ武装勢力グループが、襲撃で標的となった3人を含む死者6人を、メンバーであると主張している。

それ以外の人が武装グループに属しているかどうかについては、現時点では明らかにされていない。その後、当局は66歳の男性が催涙ガスの吸入で死亡したと発表した。

群衆の中を遺体が担架で運ばれる際、数千人の人々が通りを埋め尽くし、武装勢力を支持するシュプレヒコールを上げた。覆面をした男たちが空に向かって発砲した。

イスラエル警察は、暴力に備えてヨルダン川西岸と東エルサレムの警備を強化していると発表した。

先月、イスラエル軍はヨルダン川西岸地区北部で同様の襲撃を行い、10人を殺害した。

これに対し、パレスチナ武装勢力はガザからロケット弾を発射した。

翌日、東エルサレム入植地のシナゴーグの近くで、パレスチナ人の単独犯が銃を乱射し、7人が死亡した。

その数日後、ヨルダン川西岸の別の場所で、イスラエルによる逮捕のための襲撃で5人のパレスチナ武装勢力が殺害された。

それに続いて、エルサレムでパレスチナ人の車が突っ込み、2人の幼い兄弟を含む3人のイスラエル人が死亡した。

この戦闘は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相による強硬派の新政権が発足して2ヶ月も経っていない、微妙な時期に起きている。

同政権は、超国家主義者によって占められている。彼らはパレスチナ武装勢力に対するより厳しい対応を推進しており、被占領地であるヨルダン川西岸でのイスラエルの支配を強化することを誓っている。

イスラエルのメディアは、治安当局の高官の言葉を引用し、イスラム教の聖なる月であるラマダンが近づくにつれ、これがさらなる暴力につながる可能性があるとの懸念を示している。

内閣には、ヨルダン川西岸地区の入植者指導者が多数含まれている。さらに緊張を高める可能性のある動きとして、入植地評議会であるイェシャは、イスラエルの計画当局がヨルダン川西岸地区の入植地に2,000軒近くの新規住宅を承認したと発表した。

政府からすぐに確認は取れなかったが、23日に発表があると思われた。

パレスチナ人と、国際社会の大半は、占領地に建設された入植地は違法であり、平和の妨げになると述べている。

1967年にイスラエルが占領し、将来の国家建設をパレスチナ人が求めていたヨルダン川西岸と東エルサレムには、現在70万人以上の入植者が住んでいる。

国務省のネッド・プライス報道官はワシントンで、米国はイスラエルの「非常に現実的な」安全保障上の懸念を認識しているが、今回の襲撃による死傷者についても「深く懸念」している、と述べた。

そして、新たな入植地の承認の可能性を含め、「緊張を煽る」ような手段を避けるよう双方に求めた。

イスラエルの決定は、入植地を強く批判する国連総会議長の声明を受けたものである。

米国は、より強力で法的拘束力がある筈の審議会決議を阻止した。

米国の外交官は、この決議を阻止するために、一方的な行動を止めるというイスラエルの誓約を引き出したと主張している。

イスラエルによる新たな入植地の承認は、その主張を退けているように見えるだろう。

パレスチナのリヤド・マンスール国連大使は、国際社会に対し、「我が民族に対するこれらの虐殺を終わらせるよう」求めた。

ガザ地区では、大きな武装勢力グループであるハマスのアブ・オベイダ報道官が、ハマスの「我慢は限界に達している」と警告した。

22日遅く、パレスチナの活動家たちがガザのイスラエルとの国境沿いでタイヤを燃やし、抗議の意を示した。

ハマスは2007年にガザを制圧して以来、イスラエルと4度の戦争を行っている。

イスラム聖戦の指導者であるジヤド・アル・ナカラ氏は、イスラエルの襲撃を巨大な犯罪」と呼んだ。

「この犯罪に躊躇なく対応することは、抵抗勢力としての我々の義務なのです」と彼は述べている。

APの集計によると、今年に入ってヨルダン川西岸と東エルサレムでパレスチナ人が60人近く殺害された。

イスラエルの人権団体ベツェレムの集計によると、昨年はこれらの地域でパレスチナ人が150人近く殺害され、2004年以来最悪の死者数を記録した。イスラエル側ではパレスチナの攻撃で約30人が死亡した。

AP

特に人気
オススメ

return to top