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レバノンの上位聖職者、大統領選について女性候補者の選出を呼びかけ

エリアス・アウデ大主教。
エリアス・アウデ大主教。
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13 Mar 2023 05:03:05 GMT9
13 Mar 2023 05:03:05 GMT9
  • レバノン国会では、昨年から国家機能を麻痺させている政治的空白に終止符を打つため、ミシェル・アウン前大統領に続く新大統領の選出が難航のなか続けられている

ナジャ・フーサリ

ベイルート: レバノンの上位聖職者が、大統領選について女性候補者への支持を表明した。

ベイルートのメトロポリタン正教会エリアス・アウデ大主教は、日曜日の説教の中でこう問いかけた。「女性候補者が大統領に選ばれた場合、どのような状況になるのでしょうか?」

彼は続けて「レバノン国家が成立して以来、歴代大統領は全員男性で、彼らは時に強力で、時に無力でした」と述べた。

大主教は、「男性が自分の地位を不動の所有物と考えているのに対し、女性は、主婦、母親、従業員、あるいはその他の役割の中で、休む間もありません。女性大統領を選ぶことは、前者の弱さを露呈することになるでしょう」との考えを示した。

「ですから、女性大統領のおかげで先駆者となった他の多くの国のように、女性に国政を任せてはどうでしょうか?」

レバノン国会では、昨年から国家機能を麻痺させている政治的空白に終止符を打つため、ミシェル・アウン前大統領に続く新大統領の選出が難航のなか続けられている。

何十年もの間、男性の政党幹部が国の政治的意思決定の鍵を握ってきたレバノンでは、女性は、他の分野では広く進出しているにもかかわらず、大統領職、首相職、議会議長など、国の主要な意思決定ポジションからは依然として除外されている。

女性問題に詳しい専門家のランダ・アル・ヤシール氏は、アラブ・ニュースに対し、「女性の政治参加に反対する主な口実は、社会の文化や伝統に端を発するものです。それらがあって、男性優位の考えが女性候補者の当選を左右してきました」とし、聖職者の考えが人々に対して大きな影響力を持ってきたと述べた。

さらに、同氏は次のように続けた。「エリアス・アウデ大主教が説教で示した姿勢は、権力を持つ女性に対する固定観念を打ち破るもので、注目に値するものでした。

彼は、男女を問わず、愛国心を持つ者が、国家を統治するために権力の座に就くことを明確に奨励しました。

聖職者がこのような認識を示したことは、女性がより高い国家的地位に上ることを妨げてきた文化の変化に貢献するでしょう」

アウン氏に続く大統領職(マロン派キリスト教徒から選出)には、伝統的な政治体制に属さない2人の女性が立候補を表明している。

第1の候補者はトレイシー・シャムーン氏。レバノンの元駐ヨルダン大使で、レバノン独立後2番目に就任した大統領カミール・シャムーン氏の孫娘にあたる。

第2の候補者は、作家のメイ・リハニ氏。女子教育と女性のエンパワーメントに詳しい専門家だ。

第11回国会で行われた大統領選出で、両名の名前は挙がらなかった。

政治的緊張への配慮から、改革派や独立派の議員からも、女性候補者への投票はなかった。

レバノンでは、1952年に女性の選挙権が導入され、活発なフェミニスト運動が行われているにもかかわらず、政界における女性の代表は依然として期待を下回っている。

2022年の選挙では8人の女性議員が当選した。その一部は2019年に行われた反政府デモに積極的に参加している。

レバノンでのフェミニスト運動は現在、女性の市長や地方議員を増やす取り組みを国際機関と協力して進めている。

来年5月に地方選挙が実施されるか、大統領不在の中で現議会の任期が延長されるかは未定である。

時を同じくして、国連開発計画主催のセミナーで、NPOの「Seeds for Legal Initiatives」の代表は、女性にとって不公平な法律が、女性を「常に男性による保護に依存する二級市民」の地位に陥れていると話した。

「公共の無力と汚職の蓄積から生じる露骨な男性性によって汚名を着せられた政治勢力が悪化する中で、女性の政治参加は特権ではなく、女性に生来与えられた当然の権利です」と改めて断言した。

レバノンの非政府組織「Fiftyfifty」の主宰者ジョエル・アブ・ファーハット氏は、「女性国会議員の数が限られており、地方議員1万2,000人のうち女性議員が600人しかいないこと」に懸念を示している。

さらに彼女は、「女性に必要なのは導きではなく、エンパワーメントです」と付け加えた。

ヒズボラは女性の政治参加に反対しており、同党が支持する選挙候補者に女性は一人も含まれていない。

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