
ラマッラー:週末にヨルダン川西岸地区やアル・アクサ・モスクが襲撃されたことを受け、パレスチナ側は、ラマダン期間中もイスラエルに緊張緩和の意思がないと警鐘を鳴らしている。
26日、ラマッラー北部のシンジル村にあるアフマド・アワシュラさんの家に4人のイスラエル人が可燃物を投げ込んだ。この村は、Givat HarelやShilo、Ma’ale Libounaといった入植地の住人から幾度となく襲撃されている。
数週間前にはフワラやブリン、それにナブルスの南にあるカルユートなどが入植者の激しい襲撃を受け、数十の家や車が燃やされた。
アワシュラさん(35歳)は「自分を含む6人家族が命からがら逃げた。死者が1人も出なかったのは奇跡」と話した。
2015年にはナブルスの南にあるドゥーマ村が襲撃され、ダワブシャ一家の住宅が放火された事件があったが、パレスチナの指導者たちはそうした事態が繰り返される可能性に警鐘を鳴らしている。
サアドとリハム・ダワブシャ夫妻の子供だったアリ・ダワブシャ(当時1歳半)ちゃんが火事で死亡し、その時に負った怪我がもとで夫妻も数日後に死亡した。4歳だった息子のアフマド君も重度のやけどを負ったが、一命をとりとめた。
西岸地区北部のイスラエル入植評議会(Israeli Settlements Council)のヨシ・ダガン会長は、地域を通行する入植者の安全が脅かされていることへの抗議として、26日にフワラ付近に事務所を開設した。
こうした動きは、イスラエルのイタマル・ベングビール国家安全保障相を彷彿とさせる。昨年、パレスチナ人の家が入植者に差し押さえられそうになり、抗議活動が巻き起こった。その際、ベングビール大臣は東エルサレムのシェイク・ジャラ地区に事務所を構えた。
一方、フワラでイスラエル兵2人が車から銃撃されて負傷する事件があり、イスラエル軍はその数時間後の26日未明、トゥルカレムとフワラでパレスチナ人5人を逮捕し、ナブルスを封鎖した。
この事件では、パレスチナ解放人民戦線が犯行声明を出している。
数十人の入植者がフワラに集まり、ナブルス北部のデイル・シャラフのロータリー付近でパレスチナ人の車に投石し、数台が損傷した。
また、重武装した数十人の入植者が25日の夜にヘブロン旧市街を襲撃し、イスラエル軍が大規模に展開する中、人種差別的なスローガンを唱えた。
他方で、イスラエルの警察隊と国境警備隊が同日にアル・アクサ・モスクを襲撃し、すべての礼拝者を退去させ、携帯電話を押収して2人を逮捕したとパレスチナ情報筋が述べている。
アル・アクサのシェイク・エクリマ・サブリ導師はアラブ・ニュースに対し、「イスラエルはモスクに対して暴力的に行動し、礼拝の自由を侵害している」と語った。
「今年のラマダンの期間中、イスラエル当局は何の手加減もしていない。むしろ、金曜日の礼拝のためにアル・アクサ・モスクに向かう人々を占領軍が阻止したため、カランディアとベツレヘムの検問所に何千人も集まっていた」とサブリ師は語った。
導師はさらに、ラマダン期間中に例年以上にアル・アクサに礼拝者が殺到しているが、これはイスラエルに対する反応であると述べた。
そして、イスラエルの行動いかんによっては緊張と対立が高まると述べた。
「完全に占領軍の行動とやり方にかかっている。状況が深刻化すれば緊張が生じ、そうでなければ冷静な空気が優勢となるだろう」とサブリ師は話す。「冷静さを求める者は、イスラム教徒の感情を刺激するような行動をとってはならない」
パレスチナ外務省は、アル・アクサが襲撃されたことや入植者の扇動的な行為が続いていることを非難した。礼拝者を退去させることは犯罪であり、神聖なアル・アクサ・モスクやラマダンを汚す行為だとしている。