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重要な決選投票を前にトルコの外貨準備高がマイナスに

トルコの中央銀行の純外貨準備高は2002年以来のマイナス勘定となった。(ロイター/ファイル写真)
トルコの中央銀行の純外貨準備高は2002年以来のマイナス勘定となった。(ロイター/ファイル写真)
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27 May 2023 02:05:15 GMT9
27 May 2023 02:05:15 GMT9
  • 「選挙に勝つために金融政策を利用した政府に責任がある」
  • 当選者はインフレ、債務、リラ安などの問題に対処しなければならないと専門家は言う

メネクセ・トキャイ

アンカラ:トルコの大統領を決める重要な決選投票を28日に控える中、同国の中央銀行の純外貨準備高は19日にマイナス1億5130万ドルまで減少し、2002年以来のマイナス勘定となった。第1回投票以来市場の需要が高まっていることによるものだ。

専門家によると、世界の上位20ヶ国に入る経済大国であるトルコが現在進んでいるコースは、高インフレの中で非正統的な経済政策と低金利によってリラを比較的安定させようと努めることで選挙に勝とうという現政権による物議を醸す取り組みと関係がある。

しかし、低金利を維持することには短期的なメリットはあるが危険な結果も伴う。

イスタンブールにあるコチ大学の経済学教授セルバ・デミラルプ氏はアラブニュースに対し次のように語る。「中央銀行の外貨準備高は一時的にボラティリティが高まった時の緩衝材となるはずのものだ。自由為替相場制の中で金融政策の手段として使われるためにあるのではない。それはひとえに供給が限られているからだ」

「しかしトルコの中央銀行は後者を実行し、低金利環境が為替レートに与える悪影響を外貨準備高を売ることで相殺しようとしてきた。現在、総準備高は約1000億ドル、純準備高は(ゼロに)近く、外貨準備高はほとんど枯渇している。スワップ協定で調整すると、純準備高は約(マイナス)600億ドルと大きくマイナスになる」

月80億ドルの経常赤字を抱える経済にとって純外貨準備高のマイナス勘定は警戒すべき事態だとデミラルプ氏は考える。トルコは生産構造において中間財の輸入に依存しているため、貿易に混乱が生じかねないからだ。

「そして、外貨準備高不足によって起こる可能性のあるサプライチェーンの混乱は、トルコの生産に影響を与えるだけでなく、サプライチェーンを通してほとんどの国が相互につながっている現代のグローバルな生産ネットワークの中では貿易相手国の生産にも影響するだろう」

「現時点ではトルコにおける外国投資の存在は最低限であるため、トルコ市場への参入に関する外国投資家の躊躇に関しては大きな変化はないだろう。しかし、外貨準備高の減少とその結果としてのトルコのリスクプレミアムの増加は、国内投資家の対外借入コストを上昇させると考えられる」

新政権が、利下げと外国為替市場の厳格な監視によって輸出と経済成長を促進するという現在の経済政策を維持するのか、それとも段階的な利上げを伴う別のモデルに切り替えるのかはまだ不透明だ。

レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に挑んでいる野党連合のケマル・クルチダルオール氏は、利上げを伴う正統的かつ投資家フレンドリーな経済政策への回帰を約束している。

しかし、たとえ同氏が大統領になったとしても、議会の過半数は依然としてエルドアン大統領の公正発展党とその同盟政党が占めることになるため、新しい経済政策を実施する能力は制限されるだろう。

44%に達している極めて高いインフレ率と外貨準備高の枯渇は依然として大きな課題を突きつけている。トルコでは来年3月に地方選挙も控えているため、新政権は当面は経済の安定を維持する必要がある。

しかし、エルドアン大統領は最近CNNに対し、当選して3期目を務めることになっても経済政策は変更しないと語った。つまり、通貨はさらに下落するかもしれない。また、外貨準備高の引き出しにさらなる制限が課せられる可能性もある。

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