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イスラエルは南アフリカを見習って正しいことをすべきである

2021年5月13日、イスラエル中部の都市ペタティクバで起きたハマスのロケット攻撃の後、被害状況を確認する住民たち。(AFP)
2021年5月13日、イスラエル中部の都市ペタティクバで起きたハマスのロケット攻撃の後、被害状況を確認する住民たち。(AFP)
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14 May 2021 08:05:14 GMT9

今週初め、イギリスの伝説的なレコーディングアーティストであるロジャー・ウォーターズのビデオメッセージを見た。ロジャー・ウォーターズは、アメリカのジョー・バイデン大統領に対して、シェイク・ジャラーへの無条件の支持とイスラエルについて意見を述べていた。ピンク・フロイドのスターである彼はこう言った。「サンシティでは演奏しないと言ったことを覚えているか?我々はアパルトヘイトに反対だったからだ。南アフリカの時に確かに言った。それがイスラエルの場合、なぜ反対しないのか」。

イスラエルは、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる問題の多い政権下にあるが、東エルサレムのシェイク・ジャラーからパレスチナ人を立ち退かせる計画を立てており、1年で最も神聖な夜にでさえ、アル・アクサモスクに警察が突入した。その結果、衝突が起こったが、今回の衝突はこれまでのものとは異なる。占領はもはや持続可能ではないのだ。イスラエルは大胆な決断をしなければならない。さもなければ、ユダヤ人は南アフリカの白人と同じ運命をたどることになるのだ。

暴力の波が国を覆っている。パレスチナ人は、交渉のテーブルに戻ることでは満足しないだろう。彼らが必要としているのは、イスラエル人との交渉ではなく、決定的な解決策なのである。過去30年間、交渉は彼らに占領の維持以外の何ももたらさなかった。私は前回の記事で、パレスチナ人には、自分たちのことを考えてくれる人は自分たちしかいないのだと記した。

占領下での生活はもはや耐えられるものではない。パレスチナ人にとっては、「やるか、死ぬか」なのである。現在、私たちが目にしているのは、受け入れ可能な解決策がまだないための第3次インティファーダだ。しかし、今回はパラメータが異なる。パレスチナ人はアラブ人に頼らず、いかなる調停者も信用しないだろう。全体的な状況はパレスチナ人に有利だ。世論は世界的に変化し、イスラエルは内部的に弱体化している。イスラエルの社会は、最近の4つの選挙で示されたように、かつてないほど二極化して分裂している。

イスラエルが折り合いをつけなければならない真実が1つある。それは、強い民族的帰属意識を持った人々を占領し続けることはできないということだ。パレスチナ人の土地に侵入し、パレスチナ人に対して入植を押し付ける一方で、両国民を隔離することで衝突を防ごうとするイスラエルは、事実上のアパルトヘイト状態を強いているのである。イスラエルの人権団体であるB’Tselemは、1月にイスラエルがアパルトヘイト国家であることを告発する報告書を発表した。ヒューマン・ライツ・ウォッチも先月、同様の発表を行った。イスラエルは、もはや隔離を維持し、アパルトヘイトの非難を逃れることはできないのだ。

世界は今、暴力の根本原因に目を向けており、それが占領であることを見抜くのは難しくない。

ダニア・コレイラット・カティブ博士

イスラエルが自らの立場を守ることはますます難しくなっている。ハマスのロケット弾攻撃にもかかわらず、世界は今、暴力の根本原因を見ており、それが占領であることを見抜くのは難しくない。アメリカでも、イスラエルへの支持は揺らいでいるようだ。これまで超党派で当たり前のように支持されていたイスラエルに対して、民主党議員からの攻撃は前代未聞である。今週の国務省の記者会見でも、記者から「パレスチナ人に自衛権はあるのか」と何度も質問されたネッド・プライス報道官が戸惑いを見せていた。

イスラエルにとっては、守りきれない立場を守ろうとするよりも、将来を見据えた方が良いのではないだろうか。イスラエルの未来はどうなるのか?イスラエルの子供たちの未来はどうなるのか?イスラエルには、過去73年間に築いてきたものを守るために、隣国とまともな和解をして占領を終わらせるというごくわずかな可能性があるのだ。イスラエル人は、南アフリカやアパルトヘイトの終焉を見れば、自分たちの未来を予見することができるであろう。

南アフリカの状況を変えたのは、暴動と国際的な圧力だった。対立についての世間の認識が変わったことで、イスラエルに対する国際的な圧力が高まっている。ユダヤ人であるイスラエル人は、自分たちの子供のことを考えるべきである。彼らは、自分の子供たちが生涯にわたって、自国のアパルトヘイトに対する大きな圧力にさらされることを望むだろうか。

イスラエル人は、世界が変化していること、現状維持ができなくなっていること、自分たちが得ていた支援がなくなっていることに気づくべきだ。一時的な解決策はこれ以上通用しないため、イスラエルは大胆な決断をしなければならない。パレスチナ人は、イスラエル人からの最終的な決断、つまりパレスチナ国家の決定的な承認と占領の終了を必要としている。もちろん、イスラエルには安全保障上の懸念があるが、460万人のパレスチナ人を支配下に置いておいても、その懸念が解消されるわけではない。それどころか、占領はイスラエル国民に対する暴力の温床になっているのだ。ウォーターズが行った南アフリカとイスラエルの比較は、決して軽視できるものではない。それはアーティストが綴ったロマンチックな台詞以上のものであり、未来を予感させるものである。イスラエルは、今日、正しく大胆な決断をすれば、自分の子供たちにこのような未来を与えずに済むのだ。

  • ダニア・コレイラット・カティブ博士は、ロビー活動を中心とした米国とアラブの関係を専門としており、トラック2に特化したレバノンのNGOであるResearch Center for Cooperation and Peace Buildingの共同設立者である。また、ベイルート・アメリカン大学のIssam Fares Institute for Public Policy and International Affairsの客員研究員を務める。
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