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東京からトロントまで:サウジアラムコへの攻撃が全世界に影響を与える理由

15 Sep 2019 12:09:12 GMT9

G1 Instituteの毎年恒例の国際会議にゲストとして参加している東京でこのコラムを執筆している。会議の前夜、多くの参加者、日本の上級幹部、企業幹部の方々と会ったが、彼らは皆サウジアラビアの石油施設への攻撃に対する重大な懸念と同情を表明した。

日本は石油の純輸入国で、石油の85%近くを湾岸協力会議の加盟国から入手している。その40%といった膨大な量の石油はサウジアラビアから輸入されるため、日本人から見れば今回の攻撃は自国の国家安全保障に影響するものであり、またそのように思われるのも不思議ではない。

日本が令和元年台風第15号の余波に対処している間に、この恐ろしい攻撃は起こった。千葉でこの台風が猛威を振るい、1週間経った現在でも約43万世帯が電力なしで生活している。この繁栄する国が今一番避けたいのは、エネルギー供給のさらなる混乱だ。

したがって、妨げられることなく石油の生産が続けられること、およびホルムズ海峡の安全な通過は、日本が継続的に成長するために絶対必要なことだと言える。

サウジアラビアの石油施設に対する総攻撃は、日本だけでなく全世界に影響を及ぼす。そして全世界はその事実を認識する必要がある。

サウジアラムコが土曜日に出した声明によると、この攻撃により1日あたり570万バレルの原油の生産が停止されるという。この量は世界の石油供給の約6%をまかなうサウジアラビアの産出量の約半分に相当する。それが市場からなくなるということは、たとえ短期間であっても深刻な影響を及ぼすだろう。

多くの国がサウジアラビアとの連帯を表明したが、このような劇的な出来事が国際メディアにおいて必要とされる注目を十分に集められなかったことは残念だ。加害者はしかるべき、またそれに値する制裁を受けていないのだ。

これは無知による部分から来ているものかもしれないが、サウジアラビアに向けられるあら探しや嫌悪は多くの西洋メディアに見られる新しい規範であるということを無視することはできない。放送局や出版物は、サウジアラビアをすぐにネガティブに描写する。そしてそれはたいていの場合不正確である。

多くの人は、サウジアラビアは豊かな国なので、そこで起きることを心配する必要がないと考えるかもしれない。さらに悪いことに、その豊かさのために、こういった事件が起きるに値すると感じるかもしれない。こういった人たちは、サウジアラビアは二聖モスクの地であり、世界のイスラム教徒にとって神聖であることを忘れているのだ。

フーシが聖なる都市マッカの近くの場所を攻撃したとき、私たちは同じような無関心さと心配や怒りの欠如を目の当たりにした。憎しみや宗派の相違に圧倒されている地域で、テロとの戦いを率いているのはサウジアラビアであるということを人々は忘れてしまっている。石油価格を抑制し続け、継続的な供給を通じて石油市場を安定させているのはサウジアラビアだ。また、サウジアラビアは、近代国家になるために改革を先導してきたし、西洋の国々に対する多くのテロ攻撃の防止に貢献し続け、世界各国への石油の自由な流れを維持するために、時には自国にとって不利でありながらも働きかけてきた。

このような攻撃が起きることで、被害を受けるのは石油会社やサウジアラビアの国民をはるかに超えて、世界中の病院の保育器にいる赤ちゃんや学校の子どもたちも含まれるということが理解されていないのは残念だ。 世界最大の石油生産者がこういった攻撃のために生産を中止せざるを得なくなった場合の結果を想像してほしい。

何百万人もの罪のない人々が苦しむことになるだろう。 彼らの日常生活が影響を受けるだろう。 石油の価格が急騰した結果、苦しむことになるのはガソリンスタンドを利用する米国、欧州、アジアの普通の人々だ。したがって、これはすべての平和を愛する人々、彼らの生活そして経済的安全と幸福に対する直接的な攻撃なのだ。

今回の攻撃を非難するために世界が一丸となるべきだ。そして、ならず者国家や暴力的な民兵により私たちの能力と正常で平和な生活を送る権利を奪われるのを防ぐための措置を取ることに真剣に取り組まなければならない。

  • Faisal J. Abbasはアラブニュースの編集長である
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