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カリフォルニアを夢見て:湾岸諸国が『ゴールデンステート』から学べ ること

モハベ砂漠のモハベ国立自然保護区にあるケルソ砂丘でハイキングをする人たち(2019年9月21日、カリフォルニア州ケルソ付近、AFP通信)
モハベ砂漠のモハベ国立自然保護区にあるケルソ砂丘でハイキングをする人たち(2019年9月21日、カリフォルニア州ケルソ付近、AFP通信)
18 Jul 2019 02:07:15 GMT9

私がこの年齢になるまで、カリフォルニアを訪れずにいた理由は見当もつかないが、最近のロサンゼルスでの2週間の休暇で、私はもっと多くのことを知りたいと思うようになった。さらに、サウジアラビアを含むペルシア湾岸諸国は、彼らが追求しようとしている多様化に向けたさまざまな戦略において、この州をモデルとして上手く使うことができるのではないかという、思いもよらぬ考えが浮かんだ。

もちろん私が言っているのは、サンタモニカビーチやハリウッド大通りといったラ・ラ・ランドの派手な部分ではなく、気候や天然資源の管理といった、経済発展における非常に根本的な側面のことである。湾岸諸国と同様に、カリフォルニアあるいは少なくとも州南部のロサンゼルス一帯は乾燥して暑く、そして前世紀の大半は米国経済における主要な石油産出地域であった。

カリフォルニアの経済に最初の大きな弾みとなったのは、もちろん1849年のゴールドラッシュからで、その際アメリカ人は一攫千金を求めて西へと向かい、人口が飛躍的に増加した。しかし、西海岸の経済発展を支えたのは石油の発見と内燃機関であった。

このことはサウジアラビアにぴったり当てはまる。サウジアラムコの前身はスタンダード・オイル・オブ・カリフォルニアで、同社はサウジ王国の豊富な天然資源を初めて開発し、その過程で自動車との切っても切れない関係が出来上がった。これは今日までカリフォルニア人とサウジ人に共通の特性となっている。

このことが、私の感じる湾岸諸国と米国西海岸との共通点の極みとなるわけだが、カリフォルニア経済の石油への依存は長くは続かなかった。

確かにカリフォルニアには、サウジアラビアや他の湾岸諸国のような膨大な石油量がなく、石油利権において常に国内の偉大なライバルであるテキサス州の後塵を拝してきた(現在もそのままである)。

しかし、カリフォルニア州は石油で築いた富を利用して、経済の多様化を素早く実現し、国内のみならず世界の強大勢力となった。現在、カリフォルニア州は米国最大の経済州であり、仮に単なる州ではなく国家であるとすれば、フランスやイギリス、さらには強力なドイツを抜いて、世界で5番目の経済大国となる。

カリフォルニアがその地位を確立することは、必ずしも確実視されていたわけではなかった。前世紀の変わり目において、ロサンゼルスの政策立案者にとっての大きな懸念は、爆発的に増加する人口に十分な水をどのように供給するかということであった。アラビア半島と同様に、カリフォルニア南部は乾燥した砂漠気候で、経済成長によって文字通り水が枯渇するという心配があった。

州は、読み物としては魅力的な方法によって、その問題を解決したが、現在のより環境への配慮や社会的責任が重んじられる時代には、おそらくそれは許されなかったであろう。

湾岸諸国は、高度な脱塩技術および水文学的技術を意のままに活用することができ、適切に管理を行えば、カリフォニアが行ったように、しかし「水戦争」に耐える必要なく、「砂漠に花を咲かせる」ことができるはずである。

カリフォルニア州は、大型食料品店を見て回れば分かるように、主要な農業生産州となっている。カリフォルニア産の農産物は至る所にあり、果たしてまったく輸入をしていないのではないかと思わせる。

その一方で、カリフォルニアは幅広い領域にわたる経済活動の拠点となっている。

例えば、ロサンゼルス周辺の二か所の港は米国最大級であり、ハリウッドはエンターテインメントとレジャー業界における「金のなる木」として、世界の創造の都となっている。

同州のはるか北には、言わずと知れた世界のテクノロジーの中心地「シリコンバレー」があり、ここでApple、Google、Facebookといった企業による第四次産業革命が起きており、この地は私たちの日常生活のあらゆる面を変える人工知能、デジタル化、ロボット工学の先駆けとなっている。

サウジや湾岸地域の他国の経済政策立案者は、経済改革に向けたそれぞれ独自の計画を持ちつつ、かねてから知るカリフォルニアの魅力に数十億ドルを投入してきた。

UberやTeslaといったカリフォルニア州の企業に対する多額の投資から、サウジおよびUAEが支援するVision Fundを通じた西海岸スタートアップ企業への膨大な資金投入、さらにはロサンゼルスやサンフランシスコにおける多額の不動産投資まで、湾岸アラブ諸国はその一部でも自国で役立てられる期待を少なからず持って、カリフォルニアの起業家精神を支援している。

特に社会的および文化的規範が大きく異なる中では、もちろん類推には限界がある。しかし、湾岸諸国が「ゴールデンステート」から学べることは数多く存在する。

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