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SPIEFダイアリー:謎を解き明かす:サンクトペテルブルク・フォーラムで分かった5つのこと

09 Jun 2019 02:06:58 GMT9
  • サウジとロシアの強固な結びつきは、エネルギーや地政学的予測不可能性を乗り越えるのに十分である
  • 米国は正式には参加しなかったが、その存在感はフォーラム上空に巨大な黒雲のように垂れこめていた

オムスク州のスタンドに最後の一瞥をくれ、流ちょうな英語通訳でフォーラムの難所を導いてくれた美しいシベリア人女性へ別れを告げながら、私はロシアのサンクトペテルブルクで過ごした怒涛の3日間を振り返っていた。

国際経済フォーラム(SPIEF19)は、多くのことを教えてくれた。私の貧相なロシア語が磨かれただけでなく、この国の地政学と経済にどっぷり浸ることができた。ウィンストン・チャーチル卿がかつて言った、ロシアを取り囲むミステリーと謎の一部を解き明かしたかのような気分になった。今回のフォーラムで、謎は一切抜きで、わかったこと5つを挙げてみよう。

  1. サウジとロシアの強固な結びつきは、エネルギーや地政学的不確実性を乗り越えるのに十分である。その関係は、2年半前のOPEC+の合意よりもはるか前に始まり、国際エネルギー市場における利権の一致だけにとどまらず、それ以上の広がりを見せている。日曜日にモスクワで開かれた共同貿易経済評議会に出席したサウジの代表約50人は、文化から野生生物に至るまで、事実上サウジ経済のあらゆる分野を代表していた。まれに政策上の選択に意見の相違があった場合でも、トップの政策立案者の間に真の暖かい友情があることは見間違えようがなかった。
  2. ロシアと中国の同盟はかなり大きな戦略的ゲームチェンジャーである。ロシアのウラジミール・プーチン大統領はもちろんだが、今回のフォーラムのスターは、中国の習近平国家主席だった。参加者全員がひしめいていた会場で、代表たちは両人による共同宣言での習主席の一言一句を聞き漏らすまいと耳をすましていた。かつて世界最大の共産主義権力だった2人の指導者が、自由な国際市場の美徳を讃え、疲弊した貿易構造の修復の必要性を訴えるとは、意外な光景である。習氏による世界貿易機関の比喩は、大きな笑いを誘った。多国間貿易を擁護して、「毛皮のコートにノミがわいても、オーブンのなかに放り入れたりしないでしょう」と発言したのだ。
  3. ドナルド・トランプ大統領のアメリカへ対する反感が実感された。

米国はフォーラムには正式に参加していなかったが、その存在はフォーラム上空に巨大な黒雲のように垂れこめていた。ある世界貿易のパネルで、ロシアの大臣は米国が世界経済のあらゆる側面を武器化していると非難した。シェールオイルビジネスだけでなく、ドルを使って世界貿易から一部の国を締め出し、別の国へ対しては制裁をかけるなど。経済大国である中国やロシア、欧州諸国さえも、国際貿易のための独自通貨を発達させ、ドルの支配に対抗するようになるという予測が、何度も持ち上がった。米国へ、警告は発せられた。

  1. ロシアは、他の国と同様世界フォーラムのホスト国を立派に勤めることができる。SPIEFは、1997年から何らかの形で開催されてきたが、プーチン大統領が2005年に個人的に支持を表明したことで重要性を増した。よく組織された生産的なイベントであり、私のような非ロシア人ゼネラリストでも3日間にわたって興味が尽きることはなかった。イングランドの元サッカー選手ソル・キャンベルを招いた「都市内部におけるサッカー」というパネルまであった。私は残念なことに、その時サウジとロシアの大臣による大規模な世界エネルギーセッションとぶつかっていたため、トッテナムホットスパーとアーセナルを渡り歩いたスター選手に質問する機会を逃してしまった。
  2. サンクトペテルブルクは、その共産主義と帝国の過去を完全に脱ぎ去ってはいない。また、そうする必要もないだろう。それどころか、ピョートル大帝の町は、その歴史的遺産を再発見しようとしているかに見える。第二次世界大戦時の包囲攻撃を記念する碑はいたるところにみられ、ウラジミール・イリイチ・ウリヤノフことレーニンの像も目を引いた。

通りや地区にはボルシェビキ指導者の名がつけられ、町の中央はロマノフ朝を思い起こさせる荘厳な王宮が今なお輝きを放っていた。

ロシア大統領生誕の地でもあるこの町は、この先再び改名される日が来るかもしれない。プーチングラードとは、町の名として悪くないのではないだろうか。

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