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静かな革命が中東を変えつつある

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17 May 2020 12:05:45 GMT9
17 May 2020 12:05:45 GMT9

アラブ世界では、誰も可能だとは思わなかった方法で中東のテクトニックプレートを静かに動かしている革命が起こっている。ほぼすべてのアラブ諸国によるイスラエル人に対する昔からの一斉攻撃は静かに止み、それは人々が毎晩見ているテレビの娯楽番組を見ればよくわかる。

世界中のイスラム教徒は現在ラマダンを行っている。一日中断食した後、家族は日没後に伝統的なイフタールの食事を囲み、しばしば一緒にテレビを見る。そういったときにアラブの放送局は最も人気のある番組を放映する。

他の多くの局とは対照的に、サウジアラビアの衛星ネットワークMBCは、驚くほど肯定的なユダヤ人の描写で古いタブーに挑んできた。「Um Haroun」は、バーレーンの助産術を発展させる上で重要な役割を果たしたバーレーンのユダヤ人女性のフィクション化された物語だ。このシリーズは、1940年代の無名のアラビア湾岸の町を舞台にしており、ユダヤ人、キリスト教徒、イスラム教徒がお互いに調和した一つのコミュニティの中で共に暮らす様子を描いている。

この番組はサウジアラビアのテレビで放送され、制作にはアラブ首長国連邦人とバーレーン人が携わっている。コンサルタントの中には政治家で、世界ユダヤ人会議でバーレーンのユダヤ人コミュニティの代表を務めた人もいる。こういった事実は、国際的な規模での大きな進歩と変化を体現している。

支持者は番組が寛容を具体的に表現していると主張しているが、批判者はパレスチナの信念を犠牲にしたイスラエルとの関係正常化の一例だと攻撃している。それよりももっと明らかで、前代未聞だったのは、この番組で描かれているユダヤ人の基本的な人間性だ。中東では、そのような感受性は長い間大切にされてこなかった。教科書は長い間、シオニズムの目標は世界を支配する世界的なユダヤ人政府であると主張し、古くからの反ユダヤ主義的な最悪の比喩的表現を丸写ししてきた。だからこそ、このテレビシリーズは、イスラム教徒とユダヤ人の関係の新しいページをめくろうとする画期的な試みなのだ。

世界ユダヤ人会議の会長として、私は多くのイスラム諸国を訪れ、国家元首、政府のメンバー、労働者、ジャーナリスト、学生に会ってきた。会話はいつも簡単だったわけではなく、時には偏見に遭遇したこともあるが、主に建設的な対話をすることができた。話の中で最もよく引き合いに出されたのは、イスラム教徒とユダヤ人が隣人や友人として共に暮らす「Um Haroun」で描かれた時代だった。テレビ番組が建設的な対話や橋渡しにつながったことは驚くべきことだ。

今年の1月27日、私はアウシュビッツ・ビルケナウで死の収容所の解放75周年を記念した際に、世界の指導者たちに、沈黙せず、憎しみに加担しないように懇願した。同月初め、マッカに拠点を置くイスラム世界連盟のムハンマド・アル・イーサ事務総長は、20か国以上の国からのイスラム教指導者の代表団をこの心を乱すような場所に導いた。モロッコのアフメッド・トゥフィック宗教大臣は現在、アトラス地域で生命遺産博物館を建設するプロジェクトを主導しており、そのプロジェクトの一部はユダヤ人文化に捧げられている。

おそらく最も心強いのは、最高位の政治レベルおよびイスラム教の2つの最も神聖な場所の管理人としてイスラム世界全体に大きな影響力を持つサウジアラビアの君主からもたらされるものだろう。

2月、サルマン国王は、イスラムの信奉者とユダヤ人が互いに知り合い、社会のために協力することは宗教的義務であると述べた。このラマダンでは、「Um Haroun」を通して、私たちはこの地域でユダヤ人が敵ではなく友人であった隣人としての時代を回顧している。この現実は驚くべき進歩と変化を体現している。

昨年の秋、私はバチカンとつながりのあるグレゴリアン大学で人間の友愛について語った。私は主に枢機卿と司教で構成された聴衆に、古代の預言者の預言は平和であったことを伝えた。アブラハムの預言は平安であった。イエスの預言も平和であった。ムハンマドの預言も平和であった。人類の最も熱烈な憧れは、平和への憧れだ。

私たちが今いるこの新しく互いに関連し合った時代に、私たちは世界を、平和が実現可能な小さな村に変えてきた。あまりにも長い間あまりにも多くの暴力と共に生きてきた中東では、平和は手の届くところにあり、もしかするとテレビ番組から始まる可能性がある。ラマダン・カリーム。

  • ロナルド・S・ローダーは世界ユダヤ人会議の会長です。
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