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アラムコ株式上場に向けた周囲の学習プロセス

最後に、サウジの国内投資家は、株式取引の専門用語だけでなく、基本的な原理についても短期間に多くを学ぶ必要がある。@frankkanedubai
最後に、サウジの国内投資家は、株式取引の専門用語だけでなく、基本的な原理についても短期間に多くを学ぶ必要がある。@frankkanedubai
04 Nov 2019 11:11:56 GMT9

ダーランで3日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが新規株式公開(IPO)プロセスの開始を発表した。これを受けて、間近に迫るこの株式売却について人々を「教育」する必要があるという話がでた。確かにこれほど大規模な金融取引は複雑であり、誰もがすぐになじめない用語に包まれている。

サウジ国内の投資家の中には初めて株を購入する人もいる。したがって、株式、配当、コールとプット、マージン取引、株式ロングショートなど、これまで聞いたことがない用語を学ぶ必要がある。複雑で混乱を招くプロセスになる可能性はあるが、分別のある人のほとんどはすぐに要点を理解するだろう。

1980年代の英国(当時の首相マーガレット・サッチャーが進める民営化の真っ最中で国営企業の多くが売却された)では、新たなタイプの世慣れた株式トレーダーがほぼ一晩で台頭した。今、同じことがサウジで起こり得ない理由はない。

教育の2番目の対象は、世界で最も収益性の高い企業という大きな魅力に抗えず集まる、これまで中東地域への投資を考えたこともなかった外国人投資家だ。この教育はさらに困難かもしれない。

西側諸国の一部投資家にとって、認識のずれは大きい。たとえば、サウジアラムコIPOで株式購入を考える投資家の中には、数週間前に発生したアラムコ石油施設への攻撃を受けて深刻な財政的打撃につながるという誤解が広がり、サウジアラムコへの投資について考え直す人が現れた。

それは誤解に過ぎないことがアラムコ最高幹部から明確に示され、投資家の懸念は鎮まったが、投資家は明確な財務データの提示を求めた。そして3日、アラムコの今年1-9月期の数字が公表された。純利益680億ドル、純現金収支590億ドル、アラムコの財務に「重大な影響なし」などの情報を投資家は得た。

おそらく配当政策についても教育の必要があるだろう。配当金支払いでは、アラムコが最低でも総額750億ドルを支払うこと、そしてIPOによる株式取得者がサウジ政府(圧倒的な最大株主の立場を維持)よりも優先されるというのは紛れもない事実だ。

IPO時のアラムコの時価総額は、株の売り手と買い手がお互いから少し学ばなければならなくなるテーマだ。世界市場とエネルギー経済に照らしてIPOが適切に詳細分析される前に提示された時価総額2兆ドルの数字に対しては、その一部根拠に対して大きな疑念があるようだ。2016年以降、石油市場では多くの変化があった。

最後に、サウジの国内投資家は株式取引の専門用語だけでなく、基本的な原理についても短期間に多くを習得する必要がある。株主所有権は手に入れたら終わりではない。株主の経済的利害に関わる参加型の特権であり、責任を持って長期的な観点から行使する必要がある。

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