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サウジアラムコのIPO-カウントダウンが始まる

競合他社が石油価格の下降に伴って経営を切り詰めるなか、サウジアラムコはロボットから嗅覚ドローンまで、テクノロジー新機軸への出費を増加させてきた。(フランス通信社)
競合他社が石油価格の下降に伴って経営を切り詰めるなか、サウジアラムコはロボットから嗅覚ドローンまで、テクノロジー新機軸への出費を増加させてきた。(フランス通信社)

2016年4月25日にムハンマド・ビン・サルマン王太子が、サウジアラビア王国は大手石油会社サウジアラムコの株式の一部を上場し、5%未満の株式を新規公開(IPO)すると発表した。「サウジアラムコの株式の1%が市場に公開されれば、たった1%であったとしても、それは世界最大規模の新規株式公開となる」

ではいったいなにが、世界で最も収益を上げる会社であるサウジアラムコを魅力的な投資機会にしているのかを見てみよう。2018年、世界第2位の収益のAppleが595憶ドルを売り上げたその年に、サウジアラムコは1110憶ドルを売り上げた。さらに同社は2019年前半に、純利益469憶ドル、EBIT925憶ドル、フリーキャッシュフロー380憶ドルを生み出した。

11月9日に公表された目論見書においてサウジアラムコは、原油の価格循環を通して、株主に持続可能で増え続ける配当金を提供すると明言している。サウジアラムコの取締役会は、最終的には数々の要因を考慮して決定を下すことになるが、2020年について少なくとも総計750憶ドルの普通配当を宣言するつもりでいる。これはつまり、株主は1株あたり0.375ドルを受け取ることになる。さらに同社は国内投資を奨励するために、株式の取引が開始された初日から180日間株式を所有し続けたサウジアラビアの投資家には、最大限度を100株として、10株につき1株のボーナスを受け取る権利を与えると発表した。

サウジアラムコIPOの価格帯は今日決定され、最終的な株価は12月5日に決まる。個々の投資家に割り当て可能な売り出し株式の目標パーセンテージは、株式全体の最大0.5%である。同社の時価総額は600憶サウジアラビア・リヤルで、額面価格なしの2000億株に分けられている。

このIPOの刺激的な宣伝や期待値は、アルラジヒ銀行、サウジ基礎産業公社(SABIC)、サウジ電気通信会社(STC)など、サウジアラビア投資市場の歴史に残る巨大IPOの記憶を蘇らせる。上場して以来これらの企業は、国内投資家たちの富を作り出してきた。今回ただひとつ違うのは、サウジアラムコは初日から、国内外の投資家たちに向けて売り出される点だ。

今回のIPOに参加する国内外の銀行には、NCB、サウジ・アメリカン銀行(SAMBA)、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、シティグループ、HSBCホールディングス、バンクオブアメリカ・メリルリンチ、JPモルガン、クレディ・スイスなどが含まれている。サウジアラムコにとっては、強力なグローバルネットワークをもつこれらの銀行が、世界の組織的投資家たちを勧誘してくれると期待できる。現在、歴史が作られつつあるのだ。サウジアラビアの重要資産である史上最大規模IPOへのカウントダウンが始まった。

バジル・MK・アル・ガライーニは、BMGフィナンシャルグループの会長兼最高経営責任者である。

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