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二つの戦争の間で:イエメンとアフガニスタン

アメリカ陸軍の兵隊、アフガニスタン・カンダハール北のアルガンダブ渓谷にて。(ロイター)
アメリカ陸軍の兵隊、アフガニスタン・カンダハール北のアルガンダブ渓谷にて。(ロイター)

世界で美しい戦争などありはしない。すべての戦争は醜いものだ。しかし必要に基づく戦争というものはあり、イエメンでの戦争もその一つである—イエメン人とサウジ人、双方にとって。かの地での戦争は好んで行われているものではない。弾道ミサイルを構えたサウジ国境の武装勢力は、王国の主要都市や首都リヤドを超えた場所への攻撃も可能だ。

しかし、なぜイエメンとアフガニスタンを比較するのか? まず、二つの戦争は歴史的要因や政治的動機は異なるものの、地理、置かれた状況、進行中の課題が似ている。

イエメンでの戦争は長引きすぎか? 確かに長引きすぎている、しかし戦争というものは期間が定められているわけではない。アメリカは2001年にアフガニスタンに侵攻し、以来同地で戦闘を続けている。サウジアラビアは2015年からイエメンに留まっている。アフガニスタンの武装勢力タリバンは、イエメンのフーシ派のようなものだ。タリバンはスンニ派の過激派であり、フーシ派はシーア派の過激派である。双方とも過激主義的な宗教言説を内包する政治課題を抱えている。

両国の戦地はともに険しい山岳地帯であり、民が過酷な生活と貧しさを強いられている点でも似ている。

二つの戦争は、代案も非常に限られている。アフガニスタンからの撤退は、国全体がタリバンその他の武装勢力により支配されることに繋がる。これが、アメリカが撤退すればアフガニスタンは米軍が入る前の状態に後戻りするとワシントンが恐れる理由だ。

これらの米軍部隊は9・11の後、アメリカのアル・カイーダとその援軍との戦争の過程で派遣されたものだ。それでも、アメリカは西半球の超大国として、アフガニスタンから11,000kmも離れた距離から遠隔でアフガニスタン国内の敵と戦うことが可能だ。

しかしサウジアラビアにとって撤退が危険なのは、イエメンが王国の国境南の親イランの衛星国となりうるからであり、直接的な脅威をもたらしうるからだ。またサウジの撤退はイエメンにわずかに残された残骸の破壊にも繋がる。より多くの部族を巻き込んだ内戦を導き、イエメン人にさらに大きな苦難をもたらす可能性がある。

アフガニスタンで連合国を率いる米軍は16,000部隊を擁しており、イエメンのサウジ軍部隊の2倍の数である。アフガニスタンの戦争の費用は450億ドルで、イエメンの紛争の4倍だ。アフガニスタンでの戦争は18年続いており、イエメンは4年だ。

アメリカはタリバンと直接および間接協議を何度も行ってきたが、許容できる解決案には至っていない。イエメンでの紛争解決の試みもさほど良い結果を生んでいない。フーシ派の国家統治への参加や国会の議席保有のための門戸が今までも現在も開かれているにも関わらずだ。

しかしフーシ派はタリバンよりも難しい立場に置かれている。フーシ派はレバノンのヒズボラに似て、イランが関係する過激派武装勢力であり、テヘランが真の意思決定者だからだ。

イエメンの戦争は例外的事例ではない。全ての紛争と同様、内的または外的要因により力関係が変わる可能性がある。

アブドゥルラーマン・アル・ラシードはベテランのコラムニストである。ニュースチャンネルのアル・アラビーヤにて元ジェネラルマネージャー、アシャラ・アル・アウサトにて元編集長を務めた。

Twitter: @aalrashed

https://www.arabnews.com/node/1536496 

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