先週末のアブカイクとフライスの石油施設への攻撃以前に既に何年もの間、国際社会の大半はテヘランが世界にとって深刻な脅威になっていると確信していた。

しかし、憂慮する国々は、戦争によらないで問題を解決する方法が見つかるだろうと期待してきた。それらの国々は、国の内外からの圧力の結果としてイランの体制が瓦解すると、あるいは、説得を通じてイランの体制を良い方向に変えていけると、夢見ている。

だが、何も変わらなかった。このことは今では米国にとっても明らかなことだ。ワシントンは軍事的対決を望んでいないため、封鎖戦略を主導してテヘランに進路変更を強いようと試みている。

イランがサウジアラビアや、イラクとエジプトも含めた拡大湾岸地域の、存在そのものにとって深刻な脅威となっていることに、私たちは何十年も前から気付いていた。しかしながら、この危険性は中東をはるかに超えて拡がり、国や大陸の境界線で阻止されることはない。

2011年から2013年にかけてのわずか2年間に、ケニア（ナイロビ）、ナイジェリア（ラゴス）、インド、タイ、米国において、イランに結び付けられるテロ攻撃が30件記録されている。そのなかには、駐ワシントン・サウジ大使を暗殺し、複数の大使館を爆破するという計画もあった。その2年間の期間に、イランが平和交渉を行い、米国政府との友好的な関係のイメージを演出していたことに、注意すべきだ。

イランが採用する継続的で攻撃的な手法は、世界の他のどの国も実行しない。北朝鮮やベネズエラといった、危険とレッテルを貼られた体制でさえだ。この最高指導者による指導体制の行為に最も近い同種のものを、アルカイダとISILの行動に見出すことができる。アリ・ハメネイ、アイマン・アル・ザワヒリ、アブー・バクル・アル=バグダーディーがそれぞれ率いるこの三者は、攻撃的な宗教イデオロギーに基づいており、国際社会の現状やそのあらゆる制約と法律を拒絶する点で、類似している。

イラン、アルカイダ、ISILはいずれも、宗教、力、混沌を利用して拡大と暴力の蔓延を目指す点で、似ている。2001年9月11日の攻撃の後に、世界は団結し、アルカイダの国を消滅させた。その後、世界はISILの「カリフによる統治」を追撃、粉砕した。だが、どのプレイヤーもイランの最高指導者に立ち向かおうとはしなかった。最も考えられる理由は、深刻な対立がもたらす結果に対する恐怖だ。その結果は、1国が耐えられる程度をはるかに上回るものとなる可能性がある。たとえ米国のような超大国であってもだ。

ワシントンが、イランに経済封鎖を行って、その富を奪い、石油輸出を阻止するという、複雑で緩慢とした戦略に訴える理由はここにある。その戦略によって財政的な打撃を受けたテヘランは、応答として、4カ国の石油タンカーを攻撃し、民兵を使ってイラクで敵対的な作戦を実行し、サウジアラビアの石油施設を攻撃した。また、イランはオーストラリア、イギリス、アメリカの市民を逮捕した。スパイ行為その他の起訴事実で処刑すると脅して、それらの国の政府を恫喝しようと企んでいる。

イランは、その制止のために十分に真剣な対処がなされていない世界的な悪夢だ。国際社会は、警告を発することや行動を先延ばしすること以上のことは何もしていない。その間に、イランはより強力になっている。

米欧の指導者は、容易に崩壊しかねない核合意への調印を含めて、テヘランの体制と和解し、宥めようと試みたが、失敗に終わった。テヘランの応答はというと、暗殺や爆破を計画して、戦争やテロ行為への関与を高めている。欧州の地においてさえだ。

西洋の政治的な思考法では、イランのことを理解するの困難だ。イランは今も「国家」、国連に国旗が掲げられる加盟国である共和国、と見なされているためだ。実際には、アルカイダやISILに似たテロリストの宗教組織以外のなにものでもない。

世界の残りの国々がイランに立ち向かうことに合意しない限り、今後何年にもわたってイランは世界の安全と安定にきわめて危険な脅威を与え続けるだろう。

アブドゥッラフマーン・アル・ラーシドは経験豊富なコラムニストです。以前にアルアラビーヤ・ニュースチャンネルのゼネラルマネージャーと、アッシャルクル・アウサトの編集長を務めています。

Twitter：@aalrashed

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