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生産部門の欠如により抑圧されるアラブ諸国

アブダビは先週、金融、テクノロジー、地政学が交差する場所でのコラボレーションを促す世界思想的リーダーシップフォーラムであるSALTを主催した。
アブダビは先週、金融、テクノロジー、地政学が交差する場所でのコラボレーションを促す世界思想的リーダーシップフォーラムであるSALTを主催した。
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17 Dec 2019 08:12:01 GMT9

アブダビは先週、金融、テクノロジー、地政学が交差する場所でのコラボレーションを促す世界思想的リーダーシップフォーラムであるSALTを主催した。会議では、北米から世界クラスの投資家と地域の主力者たちが集結した。民間投資の将来に関するセッションで演説者は、この地域への投資に対する2つの障害について言及した。1つはセキュリティであり、もう1つは投資機会の欠如である。

アラブ諸国が直面する大きな問題の1つは、あまり話題にならないが、生産部門の欠如である。私たちは常に若者の失業と就業機会の不足について議論するが、その根本原因に言及する人はほとんどいない。私たちの社会を悩ませている金利生活者経済システムは、民間部門をだめにし、革新を妨げた。厳格で古い法制度は、投資にとって魅力的な収益構造を生み出すことはなかった。さらに、天然資源は天からの恵みであり呪いでもあった。政府は、富は地面から掘ることができ、創造する必要がないと考えている。アラブ首長国連邦は、この現象において1つの例外である。政府は石油とガスだけに依存するのではなく、天然資源から生み出された富を使用して経済を多様化させている。サウジアラビアは改革プログラムでも同様のことをしている。

さまざまな暴動につながったアラブ諸国の不満は、デオロギーや抽象的な大儀が原因ではない。仕事、基本的サービス、そして最も重要なこととして、尊厳を持って生活することを望んでいたため、人々は街頭に出た。一番の問題は、非効率的で腐敗した政府が人口増加のニーズに応えることができなかったことだ。もう1つの問題は、この欠陥を補える民間部門がなかったことである。

「アラブ諸国における不平等の再考」というタイトルでの西アジアの国連経済社会委員会の報告書は、教育レベルと雇用機会との食い違いを明らかにした。 若者は卒業しても仕事が見つからない。 1960年代~70年代に機能した金利生活者経済は、もはやアラブのミレニアル世代の人口の増加に対応できなかった。 実際に、社会主義原理で見かけを良くした金利生活者経済は、公平性の提供を目的に導入されたと思われます。 しかしながら、結果、アラブ諸国の上位10パーセントが富の61パーセントを保有する世界で最も不平等な社会が生まれた。 これは、西ヨーロッパの36%、米国の47%、ブラジルの55%と比較される。

私たちは常に若者の失業と就業機会の不足について議論するが、その根本原因に言及する者はほとんどいない

ダニア・コレイラト・ハティブ博士

アラブ諸国に才能がないわけではない。アラブ生まれの起業家が欧米で成長し、繁栄しているのを見かける。しかし、アラブ諸国では、これら起業家が彼らの可能性を実現する機会に欠けている。機会の公平性を促進するシステムはない。起業家精神を励ましたり、中小企業への投資をしたり、投資家を保護したりする法的枠組みもない。

しかし、アラブ諸国には発展のチャンスがある。中国に目を向けると、農業部門から蓄積された余剰金を使用し、軽工業に投資を行った。それは徐々により高度な産業に移行し始めた。今日、中国は技術部門の世界的リーダーである。鄧小平と彼の後継者は、経済発展と海外直接投資と革新を奨励する政策を実施した。

アラブ諸国は、相互に関連し合う社会経済的および政治的問題に悩まされている。これらの問題を解決するための出発点は、平均的な人々により良い生活を提供することであり、尊厳をもって生きることができるきちんとした仕事を彼らに与えることから始まる。私はレバノンの抗議者によるコメントに驚いた。彼は、仕事があれば働くのに忙しく、抗議はしないだろうと語った。自分自身と仲間のためにビジネスチャンスを独占した腐敗したレバノンの政治家は、民間部門を抑圧し、それゆえ雇用創出が制限された。

出発点は、中小企業への投資を促進することである。これにより生産部門が強化され、雇用が創出される。不当な利益行為に基づく金利生活者経済と、大きすぎて非効率な公共部門は、もはや十分な雇用を創出できず、増加する人口に十分な収入を供給できない。アラブ諸国には、強力な生産部門が必要である。探究の機会は十分ある。比較的安価な労働力は、製造施設への投資促進のための魅力的特徴である。製造業から始まり、投資はより高度な産業に雪だるま式に増大する。

アラブ諸国を考えるとき、「織っていない服を着て、収穫していないパンを食べる国を哀れむ」と言ったレバノン系アメリカ人の哲学者ジブラン・ハリール・ジブランの言葉を思い出さずにはいられない。 今こそ、私たちは自分自身を哀れむのをやめ、堅実な生産部門を持つことに取り組み始める時である。

  • ダニア・コレイラト・ハティブ博士は、ロビー活動を中心とした米国・アラブ関係の専門家である。 彼女はエクセター大学で政治学の博士号を取得しており、ベイルート・アメリカン大学のイッサム・ファレス公共政策・国際情勢研究所の提携研究員である。
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