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移民は常に我々と共に—それがあるべき姿

合衆国で亡命を申請した移民が、テキサス州ラレドの移民保護議定書入国聴取施設の新しいテント法廷における手続きエリアを通過している。(AP/提出資料)
合衆国で亡命を申請した移民が、テキサス州ラレドの移民保護議定書入国聴取施設の新しいテント法廷における手続きエリアを通過している。(AP/提出資料)
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23 Dec 2019 12:12:56 GMT9
23 Dec 2019 12:12:56 GMT9

移民の深い悲しみについての議論は、単純ではあるものの往々にして見落とされている事実で始めるべきだ---- 国際的なコミュニティを苦しませる「移民の問題」のほとんどが自然で必然的な現象に対する抵抗に起因すると思われている。移民は私たちの第一の社会の形成に始まるが、その社会にとって手の届く機会が何世紀にもわたって存在しているにもかかわらず、我々は依然として恒久的な解決策を持っていない。

解決策はそれどころか、反動的な先住民主義に従属している。人道主義の危機やさらには諸国全体を弱体化する脅威へと向かうものだった。一部の人にとっては、移住は存在の危機になった。偽の申し立てや都合の良いところを集めた統計、スケープゴートを立てたり、政治的な勝利を収めるために「他者」への恐怖を培うことによってその危機は勢いを増している。その結果、移民政策は、国ができることやすべきことではなく、しないことによって定義されている。

この「他者」への極端な嫌悪、定着した固定観念、地中海の移民船やアメリカのキャラバンへの消極的な反応が、今にも新しい世代の認識を染める勢いである。希望を求める必死さと自分たちのコミュニティが異なる文化、言語、宗教で溢れかえるだろうという主張を恐れる人々の間に前線ができている。このような問題は裕福な国に特有のものではない。中堅諸国においてでさえ、低収入の国々から入ってきた移民が定住する機会もなく一時的な労働に追いやられている一方で、若者はどこにでも移住することを好む。

戦争、迫害、貧困、干ばつ、飢餓、病気を逃れ、あるいは単に状況改善のために、世界には常にこのような人の流れがあることを多くの人が忘れている。実際、移民の予測可能性や明白な利点により、折に触れての移民の殺到に関してさえ、解決策がないことは言い訳にはならない。将来的にはおそらく、天候に起因する移民も同じ問題に直面するだろう。

現在では、より多くの移民強行路線の候補者が、新たな移民に永久に扉を閉ざすという結果が不可避であるにもかかわらず、例外を許さない政策を約束することで選挙に勝ち、状況はさらに厳しくなっている。

ハフド・アル・グウィル

移民はソーシャルグッドや経済的な利益になり得るが、死に物狂いになっている人々や社会的に脆弱な立場の人々にとっては単なる希望への入り口ではない。それは、高齢化する労働力の蓄えを補給し、経済成長を続ける程度の十分な消費を維持しようとしている受け入れ国にとっては好機だ。結局のところ、より多くの人が年金をあてにしたり、生活保護を期待するようになれば、成長し続け、総消費を増加させることが必要になる。実在の組織が、若く、活動的で多様な労働力向けの必須インフラを用いての安定した経済を求めており、継続的にプラスのリターンを出そうとしている。国内の移住者は、そのような実体組織からの投資を誘い込んでいる。

しかし、管理下にある移住はあまりにも限られており、緩慢で、堪え難いほどお役所的であって、意図していたとしても、これらの目的を果たすことができない。管理されていない移住は政治的であっても、その他のことであっても、あまりにも多くの危険に満ちており、移民と受け入れ国の両方にとっての恩恵を保証することができない。

過ぎていく毎日は説得力のある移民政策を作り、検証し、実施する時間を残さない。現在では、より多くの移民強行路線の候補者が、新たな移民に永久に扉を閉ざすという結果が不可避であるにもかかわらず、例外を許さない政策を約束することで選挙に勝ち、状況はさらに厳しくなっている。その一方で、国境が解放されていることが原因で、移民の到着から国に収入をもたらす貢献者として社会に溶け込むまでの間の被扶養者の急増にコミュニティ全体が混乱するだろう。

いずれにしても、移民改革の実情を数当て賭博のように軽んじようとするのは不健全な努力である。しかし、強行路線派はそれぞれの移民の財務費用を強調することがよくあり、往々にして既存の国民の搾取として定義する。従って、カナダ政府がシリア難民1人あたりの年間費用を最大34,000ドルだと主張する時、それは、何度も元の取れる投資として定義されているわけではない—— それどころか、それは、泥棒行為や公的資金の濫用として非難されている。そこで強調される怒りがイスラム嫌悪と人種優越主義の増長の現れであることもよくあることだ。富、収入、資源、社会的進歩、その他の発展要素で国同士の間に分断がある限り、常に移住はあるだろう。有刺鉄線、国境の壁、簡易宿泊所の数が、新たな危機を煽ることなく、この流れを阻止することはないだろう。もしあったとしても、これらの措置は、人道主義の理想とされているものと、自分で作った人道主義的苦しみに取り組む際にぎょっとするほど人道主義的理想が欠如していることとの間にある明確な対照を示すことにしか役立たない。今や、国境の柵や防壁の後ろでどっちつかずの状態で簡易宿泊所に止むを得ず滞在している何万人もの人々は、他国に足を踏み入れる前に、否応無く、歓迎されていないと感じさせられている。しかし、その他国の反応が冷たかったとしても、そこは彼らには依然として希望の源なのである。

  • ハフド・アル・グウィルは、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院外国政策研究所の客員シニア・フェローである。Twitter: @HafedAlGhwell
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