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テヘランがイラクの指導者たちを支配—— 決定的証拠

イラン革命防衛隊のゴドス軍司令官、ガーセム・ソレイマーニ。(AP通信提供写真)
イラン革命防衛隊のゴドス軍司令官、ガーセム・ソレイマーニ。(AP通信提供写真)
21 Nov 2019 03:11:44 GMT9

イランがイラクを支配しているという我々の最悪の恐れが真実であることが証明された。イランの大量の機密情報文書が流出したのだ。これらの題材はイラクにつきものだが、それでもテヘランのシリア、レバノン、イエメン、その他の国での極秘活動の本質を見抜く契機になっている。

それらの文書が示すところによれば、ほぼすべてのイラクの政府高官はテヘランのいいなりである。アーディル・アブドゥルマフディー現首相は、イランと「特別な関係」にあると見なされている。ヌーリー・マーリキーとイブラヒーム・アル=ジャアファリーの両元首相は完全にイランの支配下にあった。普段は親西側派で知られているハイダル・アバーディでさえ、イランの諜報員と定期的に密会を行なっている。アバーディ政権の大臣のほとんどが同様にテヘランに恩義があると目されている。ダーイシュとの戦闘を背景に、あるイランの諜報員がアバーディに「 スンニ派は浮浪者です。彼らの街は破壊されています。」と話し、シーア派が「自らの自信を取り戻すことができるように」イランとイラクのシーア派の指導者たちは「この状況をうまく利用する」べきだと言い添えた。アバーディは、「完全同意」の意思を示した。

ゴドス軍のガーセム・ソレイマーニは、アバーディ政権の運輸相ベイヤン・ジャブルに、国際制裁を破ってイラクの空域を解放し、ダマスカスにイランの軍需品を大量に配備するように要求した。ジャブルは記憶をたどった。「私は両目に手をあてて言いました。〈目にかけて。仰せの通りに。〉すると、(ソレイマーニは)立ち上がって私に近づき、額にキスをしました。」

文書の他の記録によれば、イランは、例えば、上下水道水の浄化に関する有利な契約をとりつけるために、イラクの元首相や高官らに何百万ドルもの賄賂を渡している。イランの準軍事同盟諸国は、現在、同様の手法を使い、バグダッド諸地域を支配するために力強い暴徒のボスのように振る舞いながら、油田や他の重要な経済セクターの支配権を握っている。

イラクの指導者たちは、実際にイランの機密情報が調べた通りの行動をとり、米国や西側の高官らとの何千もの会談について、ソレイマーニにリアルタイムで情報を取られてしまった。ネチルヴァン・バルザーニは、クルド地域政府の首相在職中、外国大使との会談直後にイランの諜報部に情報の保護を求めた。また、イランの諜報員は、サリム・アル=ジャブーリ元議長の執務室に密着し、出来事をすべて報告していた。

文書はそれだけでなく、イラン情報省(MOIS)とゴドス軍の間の緊張状態も記録している。ある通信社の報告によれば、2014年にトルコでゴドス軍の隊員がムスリム同胞団の指導者たちと会議に出席した時に、MOISの諜報員が彼を密かに探っていた。会議では、「フーシスとスンニ族の間の紛争を抑えるために力を合わせて努力し、サウジアラビアに対して自分たちの戦力を使うことができるよう」イエメンで協力して取り組むことに双方が同意した。

2014年の件の後、MOIS情報員は、親イラン派のアルハシッド・アルシャービン義勇軍によって大量殺人や宗派浄化、その他の戦争犯罪が行われたこと、また、ソレイマーニがそれらを指揮したことに衝撃を受け、密かにテヘランに電報を返し、彼を非難した。「アルハシッド・アルシャービンが破壊活動を行った全領域で、スンニ派は自宅や土地を放棄して逃げ出し、難民としてテント暮らしをすることを望んでいる」とある通信社は伝えている。彼らはソレイマーニが「違うメディアサイトで自分の写真を発表したこと」によって反イラン派の怒りを招いていると警告した。

ジュール・アル・サフルなど、以前はスンニ派が大半を占めていた街の大規模な破壊活動は、科学捜査の観点で詳細に説明されている。何万人もの人々が生活の場を奪われ、「彼らの住宅のほとんどが軍隊によって破壊されており、残ったものも今後、破壊されるだろう」。ジュールでは、イランが支援する同じ義勇軍が現在でも完全支配しており、街が国家管理外の大官房を提供している。

トランプ政権が元のクルド同盟国をシリアのトルコ軍の脅威に晒して放棄した時に、これらの文書が同盟国を放棄する危険を論証している。2011年に米軍がイラクから撤退した時に、彼らは元のイラク機密情報筋を失業させて困窮させ、放置した。イランは、これらの何十もの情報筋を抱き込み、それらの情報筋は、隠れ家や米国側のスパイだった他のイラク人についての詳細な情報など、その地域の米国の活動に関する極秘情報を提供した。これにより、首相の執務室から発信される携帯電話の機密盗聴システムをはじめとして、米国がイラク政府に提供していた機密情報収集設備の浸透を考慮する余地ができた。

テヘランの干渉についてつぶさに書いている我々は、西側および地域の重要人物の沈黙と無知の壁に突き当たることが多い。イランの領域干渉にまつわるこれらすべての事柄は、大きく不安を煽るだけの行為ではないだろうか。これらの何百ものイランの流出文書は、テヘランによる複数のアラブ諸国への締め付けが既に危険なほどに進行していることを証明している。

文書では、イラクの指導者たちは単なる操り人形として扱われており、邪悪なソレイマーニのために歌と踊りを余儀なくされている。彼はカーテンの陰に身を隠し、糸を引いているのだ。

戦争犯罪と地域的な干渉の有罪の動かぬ証拠をあげるためには、意義深い国際的な動きが必要である。我々が話題にしようとしているのは、無意味な声明を発表している西側の政府やこれまで既に何度も制裁を受けている制裁機関ではない。イランの他の国際法違反行為(テロ行為、平和国家への攻撃、核兵器の拡散、経済的妨害行為、武器の密輸など)は、短い記事で公平に評価するには規模が大きすぎる。テヘランは断定的に責任を問われるべきだ。イラク国民は、特別委員会を設置し、イランが複数の主権国家の戦闘状態および転覆を後押しするために果たした役割を調査することに加え、少なくともソレイマーニと彼の助手が国際刑事裁判所の前に引っ張り出されるところを目にする資格がある。

イラクの抗議活動家はバグダッドの政治家がテヘランの要請によって行動し、国民の正当な所有物である石油という財産を大量に略奪してきたことに激怒している。この怒りは特にイランの侮蔑的な扱いにうんざりしているシーア派の居住地域で先鋭化している。彼らは、テヘランが自分たちの生活を全面的に操作する事態をもう受け入れることはないだろう。イランは世界中のシーア派の擁護者ではない—— シーア派のコミュニティを搾取し、貧困化させ、骨抜きにしてきたのだ。

世界は、イラク国民がイランの支援する狙撃手や義勇軍の死の部隊に対して自分たちの命を危険に晒している現状に向き合い、遅ればせながら、テヘランの地域への野望が誇大妄想的であることを認め、意義ある行動をとるべき時機にあるのではないだろうか。テヘランのスパイ活動諜報員が明らかにしたこれらの驚くべき事実により、世間に浸透している事実を受け入れない風潮をこれを最後に終わらせるべきである。

バーリア・アラムッディーンは受賞歴のあるジャーナリストで、中東および英国のキャスターである。彼女は『メディア・サービス・シンジケート』の編集者であり、多くの国家首脳のインタビューを行ってきた。

イラン革命防衛隊のゴドス軍司令官、ガーセム・ソレイマーニ。(AP通信提供写真)

オピニオン---- バーリア・アラムッディーンは次のように書いている。世界は、イラク国民がイランの支援する狙撃手や義勇軍の死の部隊に対して自分たちの命を危険に晒している現状に向き合い、遅ればせながら、テヘランの地域への野望が誇大妄想的であることを認め、意義ある行動をとるべき時機にあるのではないだろうか。

 

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