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パレスチナとクシュナーの交渉実現に必要なものはなにか。

29 Jun 2019 10:06:54 GMT9

大阪で開催されたG20サミットが閉幕して、もし先週行われたバーレーンの「繁栄に向けた平和」ワークショップが違う方向に進んでいたら、どれほど良かっただろうと考えずにはいられない。もしイスラエルとパレスチナがマナーマに来るだけでなく交渉内容に合意し、ジャレッド・クシュナーが朗報を手に日本に飛ぶことができたとしたらどうなっていたか想像してみよう。 

おそらく、大阪サミットの最終声明には20か国の経済大国による政治的・財政的支援に対する同意と誓約が含まれただろうと考えられる。 

だが残念ながらマナーマでは合意に至らず、それは主にパレスチナ側のリーダーがワークショップをボイコットしたことが理由だ。さらにイスラエル政府は9月の選挙まで不安定な状況が続いている。 

バーレーンのワークショップについては2点言うべきことがある。まず、パレスチナーイスラエル紛争に向けたクシュナーの平和構想において、公表されなかった政治的要素について曖昧さや懐疑的意見が多くあった一方、彼のチームは経済的な面では見事な仕事をした。構想にはパレスチナ経済の再活性化と維持だけでなく、ヨルダン、レバノン、エジプトを受益国にすることで周辺国も支援するために必要なことについて、非常に深い考慮と計画が詳細にわたって行われていたことが分かる。 

次に、パレスチナによるボイコットは「戦略的ミス」だったというクシュナーの意見には反論し難い。我々アラブ諸国はこれまで、パレスチナ政府の決断を常に尊重してきたし、今後もそうするが、その敬意を持ったうえで多くはマナーマのワークショップに参加しないという決断には異議がある。

その理由は、パレスチナの不参加はイスラエルのイメージを高め、米政府との関係をさらに悪化させ、パレスチナ側の意図や真剣さを疑わせる機会を与えただけだからだ。We do so 

一方、低レベルだとしても代表者を送り込めば、ストーリーをコントロールするのに十分だった。単に参加するということが必ずしも明らかではない政治的条件(分かっているのは、以前本コラムに書かれた通り、条件は2002年のアラブ和平案に基づくものではないが、その要素の一部を含むということだ)を受け入れることにはならない。 

過ぎたことを嘆くわけではないが、パレスチナ側が(同情的な国々、NGO、企業および政治的支援者が参加することになっていた)ワークショップを利用し、正当な理由のために戦い、自国に有利な政治的条件への支持を呼び集めるというのが戦略的な動きだっただろう。 

もちろんパレスチナの友であるフリをしているカタールやイランなどはこれに反論するだろう(カタールは他国にもワークショップのボイコットを促す卑劣なメディア・キャンペーンを実行しておきながら、実際には財務大臣を出席させた)。

パレスチナ政府はクシュナー構想を粉砕する、または来年の選挙で米大統領が交代するまでの時間を稼ぐことを期待してマナーマのボイコットを選択したかもしれない。パレスチナの本当の友なら、特に米国の選挙に関連して―米国の政治で票を得られるのはパレスチナではなくイスラエルの味方だ―そのような作戦がもたらす結果について警告しただろう。 

トランプ政権はすでに、大使館をテルアビブからエルサレムに移転し、パレスチナへの支援を打ち切り、ワシントンのPLO事務所を閉鎖するなど(これらが起こらなければクシュナーのチームによるパレスチナとの協議は容易だっただろう)、議論を呼ぶような措置を講じられることを示している。しかし、クシュナーはマナーマでパレスチナがボイコット行為に対して罰せられはしないこと、いつでも交渉を始められる態勢であることを明確にした。パレスチナ側は当然、交渉の条件は理想とかけ離れたものであると考えているが、合意の実現を可能にする種がそこに存在することに気付かずにいるというのは誤りである。

私がこう考えるのは、この機会を逃したら、次のチャンス―もしそれがあったとして―が今よりも良くなるという保証があるか分からないからだ。歴史を見る限りそれは考えにくい。 

では、パレスチナのリーダーを巻き込むためにトランプ政権ができることはあるのか。何かしらの政治的な保証によって(イランやカタールのメディアが広めた)500億ドルの経済構想はパレスチナという国家の地位の「根本を崩壊させる」ための賄賂だという認識を覆すことができるだろう。

それでもなお、チーム・クシュナーが善意を示したとしても、パレスチナ側がそれに報いる気がなければどうすることもできない。解決策はイスラエル選挙が行われるまでの時間を利用し、もう一度パレスチナを訪れて説得を試みるということで見出せるかもしれない。

さらに、信頼の欠如を考慮すると、クシュナー側はイスラエルとパレスチナの両国にとって異議のない第4の国または団体を巻き込むというのも賢明だろう。

Faisal J. AbbasはArab Newsの編集長。 Twitter: @FaisalJAbbas

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