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過去との再接続、未来の再考

30 Sep 2019 08:09:33 GMT9

本日のサウジ建国記念日にあたり、アラブニュースは過去を振り返ることでサウジアラビアの未来を祝福する。特に、この王国も地域全体も変えてしまう激変の起こった1979年に立ち戻る。

なぜ1979年なのか?その理由は、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が昨年、CBSのノラ・オドネル氏とのインタビュー中に述べた。「私たちは他の湾岸諸国と同じように、非常に普通の生活を送っていた。女性は車を運転していた。サウジアラビアに映画館があった。女性があらゆる場所で働いていた。私たちは世界中の他の全ての国と同じように成長している、単なる普通の人々だった。1979年の出来事が起こるまでは」

インタビュー中に皇太子が述べた有名な言葉がある。「これは本当のサウジアラビアではない。視聴者にスマートフォンを使って見つけてもらいたい。1970年代や1960年代のサウジアラビアをGoogleで検索すれば、写真の中で簡単に本当のサウジアラビアが見つかるだろう」

インタビューから1年前の2017年10月、皇太子はリヤドで開かれた国際会議「Future Investment Initiative」で演説し、こう述べた。「私たちは以前の姿に戻ろうとしている — 穏健なイスラムの国に」

では、1979年に何が起こったのか?特に2つの出来事があった。イラン革命がホメイニ氏に権力をもたらし、サウジアラビアにジュハイマン・アル・オタイビのテロ行為を引き起こした。

ホメイニ氏がパリからの飛行機でイランに降り立つとすぐに、偏見を持った視野の狭い風がこの地域を吹き抜けた。次に、同じように危険な反啓蒙主義者ジュハイマンによるネガティブな情熱と行動を掻き立てることとなった。彼は欺かれた信奉者たちと共にメッカの聖モスクを占拠し、その神聖さを冒とくした。イスラムで最も神聖な場所であり、私たちの信仰の聖域中の聖域であるその至聖所で血を流したのだ。

1979年の出来事は、それまでは平和なサウジの社会だったものに深い影を落とした。それらの出来事が暗闇の力を解き放ち、地域全体を不安と疑念に陥らせた。当紙の建国記念日特別号の中で、イラン問題専門家で国際イラン研究所(Rasanah)所長のムハマンド・アル・スラミ博士の書いた記事が、一読に値するだろう。博士はイラン革命が湾岸地域全体にネガティブな影響を与えた様子について、学術的な視点から詳細に説明している。博士が指摘するように、「1960年代および1970年代におけるイランのアラブ近隣諸国との関係は、一部で示唆されているほど友好的ではなかった。(しかし)彼らが1979年以来そうであるような殺伐とした様子ではなかったのは間違いない」

当紙ではメッカの重要性とジュハイマンとその仲間たちの野蛮な行為を、目撃者の証言を用いて強調する。また、今年11月20日の包囲攻撃40周年記念日に、この出来事について再考する予定だ。当紙は読者に対し、これらの出来事のあらゆる側面1つ1つについて、アラブニュースの特別ドキュメンタリーが掲載されることを約束する。

もちろん、1979年の影響は幅広いさまざまな方法で現れた。以前は抑制の利かなかった、悪名高い宗教警察の力も引き起こした。当紙の記事の1つが指摘するように、この集団のメンバーたちは信仰の名において混乱を引き起こした。彼らは映画を禁止し、楽器を破壊した。ホテルやレストランを急襲し、人前で一緒に食事を楽しんでいたカップルや、単にコーヒーを飲んでいただけのカップルたちに対し、実際に結婚していることの証明を求めた。これらのいわゆる「道徳の推進者たち」は、普通の市民のプライベートな生活に立ち入った。カーチェイスにまで関与し、その結果事故が起こって命が失われている。

宗教警察のこの独占行動と横暴さは、ムハマンド・ビン・サルマーン皇太子の「ヴィジョン2030」プログラムの発表によって抑制された。宗教警察をサウジの街頭から排除したことはあまり話題になっていないが、現在の指導力のもっとも重要な改革の1つであったし、今もそうである。記事の1つで詳しく述べている通り、宗教警察の力の抑制はドミノ効果を生み、女性が自由に運転や仕事、旅行をしたり、映画に行ったり、音楽を楽しんだりできるようになった。そして私たちの国の成長と進歩に対し、肯定的かつ全般的に貢献している。

この改革は、サウジアラビアで起こっていることは信仰からの逸脱だと言う一部の過激主義者たちによって批判された。全くナンセンスである。もし音楽が預言者の時代に存在していたら、そしてもし男女が一緒に座って仕事をしていたら、それらの過激主義者たちは神の許したことを禁止するどんな権利を持つというのだろうか?記事の1つが説明するように、1979年末までサウジTVはサウジのバンドやアーチストの歌やコンサートを放送していた。それには、トーハやエタブ、イブティサム・ルトフィなどの女性シンガーが含まれる。ウム・クルスーム、ファイザ・アーマド、サミラ・タウフィク、ナジャト・アル・サギラ、ファリド・アル・アトラックは言うまでもない。

これら全て、そしてこの特別版に掲載されているより興味深く入念に取材された多くの記事は、サウジアラビアが穏健だった過去と再びつながろうとしている様子や、過去とのつながりを持つ未来へ進もうとしている様子を強調する。ホメイニ氏やアヤトラたちの土地から飛んでくるミサイルやドローンが暗闇を拡散し続けている一方で、サウジアラビアは国民に明るい未来を照らす光を広めている。

この特別プロジェクトの実施において私たちが楽しんだのと同じくらい、当紙の好きでやった仕事を楽しんでくれることを願っている。みなさんにとって素敵な建国記念日となりますように。

  • ファイサル・アッバスはアラブニュースの編集長

https://www.arabnews.com/node/1558236

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