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リビアでのトルコの行動、他の当事国によって制限される

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21 Jan 2020 02:01:07 GMT9
21 Jan 2020 02:01:07 GMT9

ヤサル・ヤキス

トルコは機会を捉えてリビアの危機に巻き込まれることとなった。トルコは東地中海で他の沿岸諸国との協力関係を結べず疎外されていた。トルコは東地中海沿岸において最長の沿岸線を有しているのにもかかわらず、トルコを除く隣国同士で全海域を割り当て、アンタルヤ湾周辺の領海を除いて海洋管轄権を与えられていなかった。

これはおそらく、トルコと東地中海地域の国との関係が最悪なものだったという事実によるものだろう。トルコは中東最重要の3都市、カイロ、テルアビブ、ダマスカスに大使を派遣しておらず、キプロス共和国を国家として承認していない。

トルコの希望を考慮せず海洋管轄権が及ぶ海域を分割することは、トルコ政府にとって、ずっと以前に起こすべきだった行動の警鐘となった。これは、国連が認めるリビアの国民合意政府(トリポリ政府)が、同政府を助け出してくれる友好国を切実に必要とする状況の中、発生した。同じような考えをしたムスリム同胞団を支援する代理人がトリポリ政府の多数を占めていることが、トルコが合意に至った補助的な動機になった。

トルコが行動を起こしてからトルコにとって面倒な事が浮上してきた。トブルク政府側ではロシアもリビアの危機に関与しており、ロシアのワーグナーグループの傭兵はハリファ・ハフタル司令官に仕えた最も有能な戦闘部隊だった。そのためトルコ兵とロシア兵が衝突する危険性があった。

こうした事態を避けるため、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、1月8日のイスタンブールでの会談で、停戦に合意するため部隊を派遣することを決めた。しかし、主にハフタル氏の躊躇い、もしくは牛歩戦術によって、目的の達成は果たされなかった。ハフタル氏はまず停戦要求を無視して都市スルトを掌握した。その後彼は停戦協議のためモスクワへ行くことに同意した。協議の結果同意が得られるように思われたが、ハフタル氏は熟考のための時間を要求し、署名することなく退出した。おそらく彼を支援している酋長に助言を求める必要があったのだろう。

トルコが行動を起こしてからトルコにとって面倒な事が浮上してきた。

ヤサル・ヤキス

2015年12月のスコイラ協定に従って、トリポリ政府がトルコとの間で署名した覚書を議会が承認すべきかどうかという、現在まで続く議論がある。トブルク政府は、この協定は議員が承認したものではないため有効ではないと主張している。

今のところトリポリ政府を支援しているのはトルコとカタールの2カ国だけで、国連も認めているものの、この支援は同政府を支えるのには十分ではないのかもしれない。

リビア国内では多数の他の当事国が活動しているため、次に何が起こるのかを予測することは難しいが、ハフタル氏がトリポリ市とその周辺の掌握に失敗したとしても、リビアの石油資源の最大の部分はすでに彼の管理下にある。リビア国内で石油資源を管理するそれらの他の当事国は危機を脱する鍵を握るだろう。ハフタル氏はこの鍵を失わないためにあらゆることをするだろう。

トルコにとっては2つの結果が考えられる。米国とEUは、リビアで高まるロシアの存在感を失わせるためにできることをすると予想され、存在感を失なわせることができたなら主導権は米国とEUに移るかもしれない。そうした場合、米国とEUがリビアでのトルコとカタールの役割を担うかもしれない。ロシアの役割を低下できなかった場合、ワーグナーグループの傭兵はトリポリ政府にさらに圧力を加えるだろう。その結果としてトルコとカタールはハフタル軍からより厳しい抵抗に遭うだろう。

多くの国は負け馬には賭けたくないため選択肢を残しておく。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はハフタル氏の態度について、はっきりと非難することはできないとコメントした。これはロシアがハフタル氏の態度に完全に反対しているわけではないことの表れだ。トルコのフルスィ・アカル国防相はロシアが問題を解決することを期待していると述べているが、これはつまり、リビアでのトルコの行動の自由には制限があるということだ。

  • ヤサル・ヤキスはトルコの元外務大臣で与党・公正発展党の創設メンバーである。Twitter: @yakis_yasar
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