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経済の多様化戦略がサウジアラビアで「新世代」の雇用を促進

写真/国営サウジ通信
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12 Dec 2020 06:12:01 GMT9
12 Dec 2020 06:12:01 GMT9
  • 通勤や輸送の減少で多くの産業が苦しんだ

Mohammed Al-Kinani

ジェッダ:経済を多様化し、石油への依存度を減らすというサウジアラビアの戦略は、業界のあるリーダーによると、サウジアラビアの化学技術者のための新しいキャリアへの道を作っている。

米国化学工学研究所(AIChE)の燃料・石油化学部門(F&PD)の部長を務めるAhmed Khogeer氏は、サウジアラビアの取り組みは、変動する石油価格の影響からの独立性を提供するだけでなく、より多くの雇用と企業への支援を提供することになると述べた。

同研究所の110年に及ぶ歴史の中で同部門の部長を務めた初の非米国人であるKhogeer氏は、ほとんどの国が化石燃料の使用を削減し、再生可能エネルギー源を奨励する計画を持っていると付け加えた。

「現在、サウジアラビアは貴重な石油、コンデンセート、ガスを燃やして電力の供給と海水の真水化を行っている。ガスは石油化学産業のための最適な材料であり、ガスがなければ、新しい石油化学工場は石油化学製品を生産するために液体の石油製品を分留する必要があり、これはより高価で効率性が落ちる」と同氏はアラブニュースに語った。

サウジアラビアが太陽や風のような再生可能エネルギー源を利用し、新しい関税や高効率の電化製品・車といった省エネの取り組みを行うことで、高価値の石油化学製品を生産するための貴重なガスの使用量を抑えることができるだろう、とKhogeer氏は話した。

コロナウイルスのパンデミックが石油化学部門に与える影響について、アラブニュースの取材に応じたKhogeer氏は、「石油化学業界は本来、周期的な産業であり、7年ごとに山と谷がある。しかし、COVID-19の場合は世界の市場を驚かせた。多くの産業が通勤や輸送の減少に苦しんだ。これは、内燃機関用の燃料、ジェット燃料、船舶などの燃料需要に影響を与えた」 と語った。

サウジアラビアの取り組みは、変動する石油価格の影響からの独立性を提供するだけでなく、より多くの雇用と企業への支援を提供することになる。

米国化学工学研究所の燃料・石油化学部門の部長を務めるAhmed Khogeer

写真

同氏によると、一方で、家庭用の電力需要は外出禁止令の影響で若干の増加があったという。

「石油化学業界は大きな影響を受けた。AIChEの燃料・石油化学部門では、パンデミックの影響を受けた技術者や景気後退で職を失った技術者を対象に、会員の大きなネットワークを活用して指導・支援を行うことを我々の目標にしていた」と同氏は語った。

F&PDは、壊滅的なハリケーンが米国南部の海岸線地帯を襲った後にも同様の取り組みを行っていた。
「化学技術者の世界的な拠点となることがF&PDとAIChEの考え方であり目標だが、今回は米国の産業に焦点を当てている」と同氏は述べた。

Khogeer氏によると、石油生産の約80%は世界的に燃料として使用されており、80%のうち70%はガソリン、ディーゼル、ジェット燃料などの輸送用燃料で、残りの10%は船舶用燃料や重油として使用されているという。

「これにより、燃料は石油の最も重要な利用方法となっているが、必ずしも最も収益性の高いものではない」と同氏は付け加えた。
Khogeer氏は、AIChEの新しい役職に選ばれたことに誇りを感じていると述べ、「光栄であり、我が国と地域がリードすべき役割を担うための一歩だ」と述べた。

「我々は石油、燃料、石油化学製品の生産においてリーダーであるにもかかわらず、AIChEの燃料・石油化学部門のリーダーにアラブ系の団体や技術者の存在はなかった。我々の地域には、化学産業に多くの教訓と貴重な助言を提供できる専門的技術と潜在能力が豊富にある」と同氏は述べた。

Khogeer氏は、同部門を世界的に拡大することが目標の1つだと述べ、F&PDを「ガス、石油精製、燃料、石油化学の分野における知識と専門的技術の貴重な情報源」と表現した。

会員の中には、ほとんどすべての化学工学系学部で使用されている教科書を出版している人もいる、と同氏は付け加えた。

同氏はまた、「他の会員は、我が国を含む世界中で使用されている精製・石油化学の手法を発明したことで知られている。F&PDは、我々のリーダーを世界的な技術者や大学教授と容易に結びつけることができる」と述べた。

「地域の産業界や大学との関係を築き、地域の支部や学生支部を設立することで、AIChE自体の取り組みを世界に広げることに成功した」と同氏は話した。

AIChEは地域の企業に多くの技術やサービスを提供し、化学プラントの安全性や稼働性の向上に貢献してきた。

「その一例が、約10年前にアラムコに化学プロセス安全センター(CCPS)を紹介したことだ。CCPSはAIChEの支部の1つで、化学プロセスにおける安全の分野で豊富な知識と経験を持っていることで知られている。私は今、我が国の多くの技術者がCCPSのトレーニングコースに参加し、CCPSの専門家がサウジアラビアに来て会合や会議に参加しているのを見て嬉しく思っている」とKhogeer氏は述べている。  

同氏はまた、AIChEの推薦と選挙の手順を管理する規則について取り上げ、F&PDはAIChEの中で最大かつ最も重要な部門であると述べた。

「会員には、米国の主要大学の一流教授や世界的なエネルギー・設計・エンジニアリング企業の一流エンジニアが含まれている。AIChEには推薦と選挙の手順を規定する規約がある。役職は投票によって決定される」と同氏は話した。

候補者には、同部門の会員歴が長く、国際会議での議長経験や科学論文の審査経験があり、ボランティア活動の経験があり、燃料・石油化学業界の少なくとも一部の側面について深い知識を持っていることが求められている。

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