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気候変動の影響軽減を目指すリヤドの野心的な計画

イニシアティブの一環として、サウジアラビアは、気候変動と闘うために100億本の木を植え、二酸化炭素排出量をゼロにし、住民の健康的な生活様式を促して医療費を削減することを目指している。(提供資料)
イニシアティブの一環として、サウジアラビアは、気候変動と闘うために100億本の木を植え、二酸化炭素排出量をゼロにし、住民の健康的な生活様式を促して医療費を削減することを目指している。(提供資料)
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31 Oct 2021 05:10:40 GMT9
31 Oct 2021 05:10:40 GMT9
  • 新規プロジェクトは、環境に優しい大都市としてリヤドのイメージアップを図り、生活の質を向上させるのが目的だ

ラシド・ハッサン

リヤド:サウジアラビアの首都は、気候変動の影響を軽減させるために変化を遂げようとしている。

サウジアラビアは、サウジ・グリーン・イニシアティブの一環として、100億本の植樹を目指している。行政学研究所顧問で法学教授のオサマ・ガネム・アル・オバイディ博士によると、そのうち750万本がリヤドとその周辺地域に植えられるという。

アル・オバイディ博士はアラブニュースに語った。「この計画は、過去に世界で行われた中でも特に野心的な植樹プロジェクトです。(リヤド周辺に植えられる750万本の)木々はリヤドの天候と環境に向いている種類から選ばれます。再生水を使用するための新しい灌漑ネットワークを設置します。それによって市内の再生水の使用量を増やせます」

博士はまた、このプロジェクトは環境に優しい大都市としてリヤドをイメージアップさせ、訴求する上で役立つと述べた。街のエネルギー消費を削減し、住民の健康的な生活様式を促すことで結果として医療費を削減できるという。

「そして、世界で最も住みやすい都市トップ100ランキングでリヤドの順位を上げる後押しにもなるでしょう」とアル・オバイディ博士は言った。「ただし、プロジェクトの目標を達成し、愛する首都の環境と生活の質を上げるためには、樹木や緑地、環境全般を保護し、守ることの重要性について地域社会が意識を高めることが欠かせません」

キングサウード大学農学部のサーレム・アルガムディ教授はアラブニュースに語った。「人類は地球の作用を変化させてしまうほど環境に影響を及ぼしてきました。世界人口の大半が都市部で生活しています。国連総会は、変わりゆく環境における人々の生活の質を改善するため、「持続可能な開発目標」を策定しました。この長期的な目標には、今の世代が直面している喫緊の課題が列挙されています。特に、多くの人が住む都市部で木々を植えて守ることは、これらの目標を達成するための効果的な手法です」

さらに教授は付け加えた。「生活区域に緑地をつくり、木々を植えて維持することは、都市住民が直面する問題を軽減する上で重要な戦略です。大気汚染の防止は、都市の森がもたらし得る重要な利点のひとつです」

アルガムディ教授によると、大気汚染(粒子状物質、オゾン、一酸化炭素、多環芳香族炭化水素、二酸化窒素、二酸化硫黄で起こるもの)は、気管支炎、眼内圧の上昇、心臓発作、自律神経や微小血管機能の変化、自閉症、血圧の問題、さらに子供の認知発達の問題に関連性があるという。

「樹木、緑地、そして死亡率の間に関連性があることを示す研究があります」と教授は言った。「樹木が増え、特に戦略的植樹エリアに植えた種が成長すると、粒子状物質などによる大気汚染が減少し、都市の死亡率と罹患率が低下する可能性があります」

サウジアラビアはまた、中東グリーン・イニシアティブで他のアラブ諸国政府と協力している。このイニシアティブには、さらに400億本の木を植える世界最大規模の植林計画が含まれている。

中東のクリーンエネルギー生産量は現在7%である。サウジアラビアは近隣諸国と協力し、地域の炭化水素生成に伴う炭素排出量を60%以上削減すると述べている。

アルガムディ教授は言った。「マルチメディアキャンペーンを含むその種の政策を始め、植林のメリットと、それが人間の健康、気候変動、二酸化炭素削減に及ぼす影響について説明するには、サウジアラビアの政府研究機関、大学、学校の協力が必要です」

キングサウード大学医学部のスルタン・アユブ・メオ教授は、サウジ・グリーン・イニシアティブで100億本植樹政策により、大気汚染、糖尿病、心肺疾患、内分泌疾患、神経疾患、感染症が減少すると述べた。

「環境汚染は新たな世界規模の公衆衛生の問題です」と彼は言った。「PM2.5やPM10の粒子状物質、一酸化炭素、オゾンなどの大気汚染物質は、さまざまな病気を引き起こし、特に新型コロナウイルス感染症の流行のリスク要因になります」

メオ教授は、世界の80%の都市が危険な大気汚染レベルだと説明した。大気汚染は年間700万人の死者を出しており、毎分15.5人が亡くなっている計算で、全世界で2.9兆ドルの損失をもたらしているという。

教授は、環境汚染を最小限に抑え、気候変動に対応し、地域内でも世界でも病気を減らすのに役立つとして、リヤドを変える計画をたたえた。

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