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米国がイランによるジェッダ石油施設攻撃の「明確な関与」を指摘 世界がフーシ派を非難

金曜日の攻撃により、ジェッダ北部の石油施設で貯蔵タンク2つの火災が発生した。(AFP)
金曜日の攻撃により、ジェッダ北部の石油施設で貯蔵タンク2つの火災が発生した。(AFP)
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26 Mar 2022 04:03:30 GMT9
26 Mar 2022 04:03:30 GMT9

アラブニュース

  • フーシ派による民間人への攻撃への対処を呼びかけた
  • 米国はサウジアラビアと協力して防衛力を強化することを約束した

リヤド:イエメンのフーシ派民兵は金曜日、ジェッダのサウジ石油施設を攻撃した。攻撃は世界各国の非難を巻き起こしている。米国は、イランが国際法に反して同組織に武器を供給することでこの攻撃を可能にしたと示した。

米国のジェイク・サリバン国家安全保障顧問は、「フーシ派が、ジェッダにあるサウジアラムコの石油貯蔵施設や、ジザン、ナジュラン、ダーランの民間施設を無差別に攻撃することは、イエメンの人々の苦しみを長引かせるためのテロ行為である」と述べた。

彼は、イランが国連の決議に反して武器を供給することで、同組織の行動を促進していると非難した

金曜日に発表した声明の中で同氏は次のように述べた。「今日の攻撃は明らかに、イエメンへの武器輸入を禁止する国連安保理決議に違反したイランによって可能にされたものだ。3月19日と20日に行われた浄水場やエネルギーインフラに対する攻撃も同様である」

アントニー・ブリンケン国務長官は、米国は王国と協力して防衛を強化すると述べた。「同時に、紛争の根本的な終結を求め、生活を改善し、イエメンの人々が自らの将来を集団で決定するための環境を作り出すことを目指す」と述べた。

「今は当事者が内戦の集結に向けて集中し、ラマダンの聖月を前に、イエメンの人々に必要な救命措置をもたらすべき時だ。にもかかわらず、フーシ派は破壊的な行動と民間インフラを攻撃する無謀なテロを続けている」と述べた。

「イエメンに正当性を回復するための有志連合」は、ジェッダ北部にある石油施設の貯蔵タンク2つの火災は制御下に置かれ、死傷者はいなかったと発表した。

土曜日の朝、連合はイエメン領土上空で、王国に向かう2機のドローンを打ち落とした。発射場所は紅海沿岸の都市ホデイダの石油施設であったという。また、サナアでも攻撃を行ったとしている。

フーシ派による金曜日の攻撃後、ジェッダ全域で黒煙が見られた。これは、イランの支援を受けた同組織が、国際的なエネルギー安全保障を不安定にする意図があることを思い起こさせる光景であった。2014年に首都サナアを占領し、イエメンの大部分を支配し続けているこの民兵組織は、王国の民間インフラに対して定期的に攻撃を行ってきた。

サウジアラビア主導の連合軍は、国際的に承認されているイエメン政府を、フーシ派からの攻撃に対して支援している。連合軍は過去に多数のドローンやミサイルを迎撃している

3月19日にジェッダに対して行われた攻撃では、アラムコの物流センターで火災が発生した。その1日後、連合軍はホデイダ付近で爆発物を積んだボートを破壊し、重要な国際海路の船舶への攻撃が迫っているのを阻止した。

サウジアラムコの石油施設に対する攻撃は、広く非難されている。(AFP)

これまでの攻撃では、王国の空港も標的とされ、民間人に被害が及んでいる。

2月には、アブハー空港を狙ったドローン攻撃で12人の民間人が負傷した。10月には南部のジーザーンにあるキング・アブドルアジーズ空港で10人が負傷した。先月も同じ空港が攻撃され、落下した破片で16人が負傷している。

フーシ派はここ数週間、サウジのエネルギー施設に対する攻撃を強めている。ロシアのウクライナ侵攻を受けて国際的なエネルギー需要が高まるなか、イランは石油販売の再開を可能にする核合意の復活を目指している。

サウジアラビアエネルギー省は、同省施設への攻撃が続いていることを踏まえ、世界市場への石油供給が不足しても責任を負えないことを改めて強調した。同省は国際社会に対し、フーシ派が石油やガスの生産拠点を標的にすることを支援しているイランの役割を認識する必要がある、と述べた。

攻撃の煙はコース上からも見えた。F1世界チャンピオンのマックス・フェルスタッペン氏はチーム無線で「焦げ臭い、私の車か?」と連絡した。(ロイター)

サウジアラビアは金曜日の国連安全保障理事会への書簡で、フーシ派の攻撃から自国を防衛する権利を保持していると述べた。

駐米サウジアラビア大使のリーマ・ビント・バンダル王女は次のようにツイートした。「イランが支援するテロリストのフーシ派は、イラン製のミサイルとUAVで、我が国の民間人、インフラ、エネルギー施設を平然と攻撃し続けている。国際社会は、罪のない一般市民と世界のエネルギー供給を標的としたこの侵略行為に対して行動しなければならない」

エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子との電話の中で、アラムコ施設への攻撃を非難した。エルシーシ大統領は、エジプトは王国と連帯して敵対行為に立ち向かうと述べた。

先週、王国を訪問した英国のボリス・ジョンソン首相はこうツイートした。「私は、ジェッダを含むサウジアラビアの重要施設に対する最新のフーシ派の攻撃を全面的に非難する。これらの攻撃は市民の命を危険にさらすものであり、止めなければならない」。リズ・トラス外相は、この忌まわしい攻撃をフーシ派による最近のテロ行為の継続と呼び、「暴力の即時停止」を促した。

同じく、過去にフーシ派民兵による攻撃に直面したUAEは、金曜日の攻撃を非難した。国際社会に対し、繰り返される侵略行為に立ち向かうよう求め、同組織に対する連合軍の活動を支援するよう呼びかけた。

同組織の攻撃を「最も強い言葉」で非難したフランスは、サウジアラビアの安全と地域の安定を脅かす行為を止めなければならないとした。フーシ派に対し、国連の下で行われているイエメン和平イニシアチブに建設的に関与するよう促した。

サウジアラビアエネルギー省は、世界市場への石油供給が不足しても責任を負えないことを改めて強調した。(AFP)

バーレーンは、サウジアラビアが、「これらの、国際人道法に反する意図的かつ組織的な攻撃から自国の安全と安定を維持するために必要と考えるすべての措置」を支持すると述べた。

一方、クウェートは、攻撃はサウジアラビアの安全と地域の安定だけでなく、世界のエネルギー供給にも影響を与える「卑怯なテロ攻撃」だと非難した。

スーダンは、フーシ派の攻撃は地域における危険なエスカレーションであるとし、国家の安全を危険にさらすものに対するサウジアラビアの措置を支持すると述べた。

アラブ連盟のアハマド・アブルゲイト事務局長は、この攻撃は地域の安全保障と世界のエネルギー供給に重大な脅威をもたらすと指摘した。彼は国際社会に対し、フーシ派のテロ行為と現在進行中の人道法違反に対し、より厳しい立場をとるよう促した。

ムスリム世界連盟(MWL)のムハンマド・ビン・アブドルカリム・アル・イーサ事務局長は、同連盟は王国の民間人を保護するために連帯していると述べた。

ロシアのウクライナ侵攻とその後のモスクワへの制裁により、原油価格は高騰している。ウクライナ戦争は今週で2カ月目に突入した。クレムリンは、ガスと石油に対する輸入国の購買意欲が低下していると見ている。輸入国が、ロシアに対する国際的な制裁に巻き込まれることを避けるためである。

フーシ派の主要な支援者であるイランは、ドナルド・トランプ前米大統領によって破棄された世界各国との核合意の復活を目指している。

米国ジョー・バイデン大統領はこの協定の復活を公約しており、地域の同盟国を不愉快にさせている。中東全域を不安定化させる活動を行うフーシ派を武器で支援するイランを利する行為と考えられるからである。

2021年2月、ワシントンはトランプ氏によるフーシ派民兵のテロ組織指定を撤回した。しかし、国連安全保障理事会は先月、同団体をテロ組織として指定した。

また、地域における米国の同盟国の間では、米国が核合意の一環として、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)をテロ組織のブラックリストから外すのではないかという懸念が高まっている。

革命防衛隊はイランでビジネス帝国を支配し、世界中でテロ攻撃を行う軍事・諜報部隊でもある。

イスラエルのナフタリ・ベネット首相とヤイル・ラピド外相は声明で次のように述べた。「IRGCをテロ組織から除外しようとする試みは、彼らの犠牲者に対する侮辱である。また、明白な証拠によって裏付けられた、文書化された現実を無視することになる」

サウジアラビアがジェッダでF1グランプリを開催するのは今回で2回目となる。(AFP)

しかし、核合意に関する協議は現在中断している。ロシアが、同国への国際的制裁からイランを免除するように要求したためだ。米国は、この2つの問題は無関係であると述べている。

合意が成立すれば、イランは再び石油を自由に販売できるようになり、より多くの供給を求める国際市場で取引ができるようになる。

ブルームバーグは、情報ソリューションプロバイダーKplerのデータを引用して、イランは6500万から8000万バレルもの原油を定置タンカーに積んでいる可能性があると報じている。

サウジアラビアは今週末、ジェッダでF1グランプリを開催する。午後の練習走行中、レース観戦者はこの攻撃による黒煙を遠くから確認できた。

攻撃の煙はコース上からも見えた。F1世界チャンピオンのマックス・フェルスタッペン氏はチーム無線で「焦げ臭い、私の車か?」と連絡した。

金曜日に発生したテロ攻撃現場から黒い煙が立ち込める。(AFP)

初日の事件にもかかわらず、主催者はレースを予定通り開催すると発表した。プロモーターのサウジ・モータースポーツ・カンパニーは、「私たちは、今日の午後早くジェッダのアラムコ石油関連施設が襲撃されたことを認識しており、サウジ当局と直接連絡を取り続けています」と声明を出している。

「レース週末のスケジュールは予定通り継続されます。すべてのお客様の安全と安心が、引き続き我々の最優先事項です。プレミアムなレースとエンターテインメントをご用意して、週末にファンの皆様をお迎えすることを楽しみにしています」

王国がこの紅海の街でイベントを開催するのは今回で2回目となる。2021年12月5日、アブダビで行われたレースでは、後に最終戦で世界チャンピオンとなるオランダ人フェルスタッペン氏との劇的な接戦を繰り広げ、メルセデスのルイス・ハミルトン氏が優勝した。

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