Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • サウジアラビア
  • サウジと米国は、より安全で安定し、繁栄する地域というビジョンを共有=共同声明

サウジと米国は、より安全で安定し、繁栄する地域というビジョンを共有=共同声明

ジョー・バイデン氏とムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、金曜日に会談を行った。(SPA)
ジョー・バイデン氏とムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、金曜日に会談を行った。(SPA)
Short Url:
17 Jul 2022 04:07:05 GMT9
17 Jul 2022 04:07:05 GMT9

アラブニュース

リヤド:ジョー・バイデン米大統領は金曜日、サウジ指導者と会談を行った。その後サウジアラビアと米国は、安定し繁栄する中東のためのビジョンを両国が共有していることを確認したと、共同声明を発表した。

「米国とサウジアラビアのパートナーシップは、数十年にわたって地域の安全保障の礎となっている。そして、世界と相互に接続された、より安全で安定し、繁栄する地域というビジョンを両国が共有していることを確認した」と、サウジ報道機関SPAが土曜日朝に発表した声明は述べている。

この文書では、エネルギー安全保障から宇宙開発まで、この2つの同盟国間のさまざまな協力分野が強調されている。防衛の分野では、バイデン氏はサウジアラビアの安全保障と領土防衛に対する米国のコミットメントを再確認し、「国民と領土を外部の脅威から守るために必要な能力を王国が得ることを促進する」と述べた。

声明によると、米軍はティラン島を開発するための計画を策定する部署を設置する。さらに、金曜日には王国の空域における領空飛行許可が拡大され、米国はこれを歓迎した。

米国はサウジアラビアの『ビジョン2030』プログラムを称賛し、その「経済・社会の変革のためのブループリントである、女性の経済参加の拡大や宗教間対話の推進に向けた取り組み」を歓迎した。

両国はまた、パレスチナ、シリア、レバノン、アフガニスタンなど、様々なアラブ・イスラム諸国が直面する問題についてのコミットメントを概説した。

声明全文

サウジアラビア王国とアメリカ合衆国との共同声明

二聖モスクの守護者サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード国王の招きにより、ジョセフ・R・バイデン大統領は2022年7月15~16日にサウジアラビア王国への公式訪問を実施した。バイデン大統領は、二聖モスクの守護者サルマン・ビン・アブドルアジーズ・アール・サウード国王との会談に続き、副首相であるムハンマド・ビン・サルマン・アール・サウード皇太子殿下と、双方の高官が出席して公式会談を行った。双方は、サウジアラビア王国と米国のパートナーシップに貢献する多くの優先事項を共有し、詳細に検討を行った。

この会談の最後に、双方は今後数十年にわたるサウジアラビア王国と米国の戦略的パートナーシップを概説するこの声明を発表した。これは相互の利益を促進し、より平和で安全、繁栄、安定した中東のための共通のビジョンを推進することを目的としている。

戦略的パートナーシップ

双方は、約80年前にUSSクインシー号における、アブドルアジーズ・アール・サウード国王とフランクリン・D・ルーズベルト大統領の会談で確立されたサウジアラビア王国とアメリカ合衆国との歴史的関係とパートナーシップを振り返った。両者は、サウジアラビア王国と米国の政府および国民の利益に資するため、戦略的パートナーシップを継続的に強化することの重要性を強調した。また、双方は、この歴史的なパートナーシップが地域の安定と繁栄を促進する上で極めて重要な役割を担ってきたことを強調した。両者は、米国とサウジアラビアのパートナーシップは、数十年にわたって地域の安全保障の礎となっていることを強調し、世界と相互に接続された、より安全で安定し、繁栄する地域というビジョンを両国が共有していることを確認した。

双方は、平和的・外交的手段により国際紛争を解決すること、及び最も必要としている地域の国々への経済的・財政的支援を通じて人道的危機を緩和することの重要性を確認した。両者は、“主権や領土の一体性尊重の原則”の重要性を確認した。両者は、外部勢力に支援されたテロリストやその代理グループからの脅威に直面している地域の政府を支援することの必要性を強調した。

双方は、サウジアラビア王国と米国の国民との間の歴史的な関係に留意した。この観点から、両者は、人と人との関係や、経済協力の緊密化を促進するため、ビジネス・観光ビザの有効期間を10年に延長することを歓迎した。

その後、双方は以下の分野における協力と成果を確認した。

エネルギー安全保障及気候変動協力

双方は、特に現在のウクライナ危機とその影響に鑑み、戦略的な経済・投資協力の重要性を強調し、世界のエネルギー市場の安定へのコミットメントを再確認した。米国は、サウジアラビアによる、持続的な経済成長のために世界の石油市場の均衡を支援するとのコミットメントを歓迎した。双方は、サウジアラビアがエネルギーの未来において主導的な役割を果たすことを認識し、近・長期的に世界のエネルギー市場について定期的に協議し、気候変動やエネルギー転換のイニシアティブにおいて、戦略的パートナーとして協力することを決定した。

米国側は、「サウジ・グリーン・イニシアティブ」と「中東グリーン・イニシアティブ」を評価し、最近の「エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム」への参加、「グローバル・メタン・プレッジ」への参加、「ネット・ゼロ・プロデューサーズ・フォーラム」の創設メンバーとしての地位、2030年までに発電量の50%を自然エネルギーでまかなうとしたサウジアラビアの表明を歓迎した。

特に、再生可能エネルギー、クリーン水素、原子力分野における人材育成、原子力規制面における協力、炭素回収利用・隔離、持続可能な材料の開発、その他、サウジアラビアがグローバルリーダーとなることを目指す循環型炭素経済フレームワークの下での取り組みに焦点を当て、クリーンエネルギー移行と気候変動への対処に多額の投資を伴うクリーンエネルギー推進のためのパートナーシップ枠組みの確定を歓迎した。

グローバルインフラ投資パートナーシップ(PGII

双方は、エネルギー転換と両国の国家安全保障には、安定的で多様なサプライチェーンが必要であることを強調した。この点において米国は、バイデン大統領が2022年6月26日のG7サミットで発表した「グローバルインフラ投資パートナーシップ」へのサウジアラビアの支持を歓迎した。この歴史的なパートナーシップを通じて、米国とサウジアラビアは、低・中所得国に焦点を当てたデジタル接続、サプライチェーンの持続可能性、気候・エネルギー安全保障を支援するプロジェクトに戦略的に投資することを目標とする。

安全保障防衛

バイデン大統領は、サウジアラビアの安全保障と領土防衛を支援し、国民と領土を外部の脅威から守るために必要な能力を王国が得ることを促進する米国の継続的なコミットメントを強く確認した。

双方は、イランによる他国の内政への干渉、武装した代理勢力によるテロ支援、および地域の安全と安定を不安定にするための努力をさらに抑止する必要性を強調した。サウジアラビア王国と米国は、イランが核兵器を獲得することを阻止することの重要性を強調した。

双方は、バブ・エル・マンデブ海峡やホルムズ海峡のような戦略的国際水路を通じた通商の自由な流れを維持することの重要性を強調した。両者は、紅海のバブ・エル・マンデブ航路に焦点を当て、イエメンへの不正な密輸をさらに抑止するために新たに設立された統合任務部隊153(CTF-153)を歓迎した。また、サウジアラビアが統合任務部隊150(CTF-150)の指揮権を取得し、オマーン湾及び北アラビア海における共通の海上保安目標を強化することを歓迎した。

海洋領域における情報交換を改善・合理化するため、バーレーンの米第5艦隊司令部を拠点とする、地域ネットワーク型調整センターにおいて、サウジアラビア海軍部隊と統合任務部隊153との協力関係が強化される。米国はまた、サウジアラビア海軍と米第5艦隊第59任務部隊との協力関係の強化も強調している。同部隊は、地域の安全保障を支援するため、海上警備と領域認識を改善する人工知能を用いた、最先端の無人水上艦の統合艦隊を率いている。

5G/6GオープンRANにおける協力関係

両者は、米国とサウジアラビアのテクノロジー企業が、オープンな無線アクセスネットワークを利用した5Gの推進と展開において連携し、同様の技術による6Gの開発を可能にし、クラウドインフラと関連技術におけるパートナーシップを推進する、新しい協力関係覚書を歓迎した。この覚書の下で築かれたパートナーシップは、サウジアラビアが5Gの展開と6Gの将来の開発における地域の拠点としてリーダーシップを発揮することを確認するものである。

サイバーセキュリティ

双方は、サイバーセキュリティ分野における相互協力と、両国の重要な利益と国家安全保障を保護するための重要性を強調した。米国とサウジアラビアは、最近締結されたサイバーセキュリティ協力に関する覚書を歓迎し、リアルタイムの情報共有、人的・技術的能力の構築、サイバーセキュリティ産業の発展を引き続き強化することを決定した。

宇宙開発

双方はさらに、有人宇宙飛行、地球観測、商業・規制開発、宇宙空間における責任ある行動など、宇宙開発のあらゆる分野における協力の強化を歓迎した。バイデン大統領は、サウジアラビア王国が「アルテミス協定」に署名したことを歓迎し、同国が責任ある、平和的かつ持続可能な宇宙空間の探査及び利用に取り組むことを確認したことに称賛の意を表した。

ティラン開発

バイデン大統領は、サウジアラビアがティラン島から「多国籍部隊・監視団(MFO)」を撤収させ、米軍もMFOの任務の一環として撤収させる一方、同地域における既存のすべての約束と手続きを維持・継続させたことを歓迎した。紅海のこの地域は今後、観光と経済目的のために開発され、より安全で平和で豊かな地域として貢献することになる。

領空飛行許可拡大

サウジアラビア王国は、国際航空航行に使用する民間航空機の無差別化を規定した1944年のシカゴ条約に基づく義務を熱心に履行しており、その枠組みにおいて、サウジアラビア民間航空総局(GACA)は、その要件を満たすすべての航空会社が王国の空域を飛行できるよう開放する決定を発表した。米国はこの発表を歓迎した。この発表により、世界の空のつながりが強化され、アフリカ、アジア、ヨーロッパを結ぶ世界の拠点としての王国の地位が確固たるものになる。

ビジョン2030

米国は、経済・社会の変革のためのブループリントである、女性の経済参加の拡大や宗教間対話の推進に向けた取り組みを歓迎した。サウジアラビアは、米国の民間企業による同国への投資の拡大と、両国の利益のために、米国の民間企業に対するサウジアラビアの投資を拡大することを歓迎した。

米国側は、サウジアラビアの改革プログラム『ビジョン2030』の集大成である2030年の万博開催への招致と、その節目の年に開催される他のイベントを歓迎した。サウジアラビア側は、今年末にカタールで開催されるワールドカップが地域にとって重要であると指摘し、2026年に米国がワールドカップの開催国となることを歓迎した。

地域協力

その後、両者は以下のような特定の地域的・世界的な問題について言及した。

イエメン

双方は、国連が仲介するイエメンの停戦への強い支持を確認し、停戦を延長し、停戦を持続的な和平協定に変えるための進展を図ることの重要性を強調した。バイデン大統領は、二聖モスクの守護者であるサルマン国王とムハンマド皇太子副首相が、停戦の実現とその更新に果たした役割に感謝の意を表明した。双方は、イエメンの戦争を終わらせるという長年の目標を強調し、国際社会に対し、国連安全保障理事会決議2216(2015)を含む3つの参照事項に基づき、国連の支援の下で和平交渉に戻るようフーシ派に求める統一見解を取るよう呼びかけた。同決議では、イエメン当事者間の政治的合意のみが、紛争を持続的に解決し、悲惨な人道危機を逆転させることができるとしている。

両者はまた、「イエメン大統領指導評議会」への支持を確認し、停戦へのコミットメントと、燃料輸入の促進やサヌアからのフライト再開など、国中のイエメン人の生活を向上させた措置に感謝した。

両者はまた、イエメン国内の必要物資の流れと援助物資の輸送に対する全ての障害を取り除く必要性と、2015年以来包囲状態にあるイエメン第三の都市であるタイズへの主要道路に関する、フーシ派による開通の重要性を強調した。

サウジアラビアと米国は、イエメンにおいて6年ぶりの長い平和な期間をもたらした停戦を全面的に支持するよう、すべての地域の関係者に促した。サウジアラビアは、米国が停戦を支持し、イエメンの政治プロセスを前進させる取り組みに貢献していることを歓迎した。

イラク

バイデン大統領は、イラク共和国との関係強化においてサウジアラビア王国が果たした主導的役割と、2022年7月16日の「ジェッダ安全保障・開発サミット」に関連して署名される、イラクとその国民に対し、新しく多様な電力源を提供するための、サウジアラビアと湾岸協力会議加盟国の電力網とイラクの送電線を接続するための歴史的協定を歓迎した。

パレスチナ

イスラエル・パレスチナ問題に関し、双方は、国際的に承認されたパラメータ及び「アラブ和平イニシアチブ」に従いパレスチナ問題を解決する唯一の方法として、主権があり連続したパレスチナ国家がイスラエルと平和かつ安全に並存する二国家解決策への永続的なコミットメントを強調した。両首脳は、当事国が政策及び行動を通じて二国家解決策へのコミットメントを示すことを奨励する努力について,引き続き緊密に連携するとの決意を指摘した。米国及びサウジアラビアは、この地域における公正かつ包括的な平和の実現に寄与する全ての取り組みを歓迎した。

シリア

双方は、シリアの統一、安定及び領土の一体性を維持することへのコミットメントを改めて表明し、国連安全保障理事会決議2254(2015)に示された方式と一致する紛争の政治的解決に向けた国連事務総長特使の努力への支持を表明した。同時に、暴力の再発を防ぎ、確立した停戦を維持し、人道支援を必要としているすべてのシリア人への支障なき提供を可能とする必要性を強調した。

レバノン

双方は、レバノンの主権、安全及び安定に対する継続的な支持、並びにレバノンの国境を守り、暴力的過激派及びテロ集団の脅威に対抗するレバノン軍に対する支持を確認した。両者はまた、レバノンが政治的・経済的危機を克服し、テロリストや麻薬密輸、その他地域の安定と安全を脅かす犯罪行為の発生源とならないよう、レバノン政府の樹立と包括的な政治・経済構造改革を実施することの重要性を指摘した。

両者は、関連する国連安保理決議、及び「ターイフ合意」の規定の履行に言及することを含め、レバノン政府がレバノン全領土を統括し、完全な主権を行使するため、レバノン政府の同意やレバノン政府以外の権限のない武器が国内に存在しないことが重要であることを強調した。

ウクライナ

双方は、ルールに基づく秩序が国際安全保障の中心にあることを強調し、国際法、領土保全及び国家主権の尊重の重要性を強調した。両首脳は、すべてのGCC加盟国が支持した2022年3月2日の国際連合総会決議ES-11/1に示された原則を再確認した。

両首脳は、ウクライナ国民に重要な支援を提供し、中東およびアフリカの多くの国に深刻な影響を及ぼす恐れのある世界的な食糧危機を緩和するために、穀物および小麦製品の自由な輸出を確保するとの約束を再確認した。

スーダン

双方は、スーダンにおける政党間の対話と、政治プロセスの復活の重要性を強調した。両者は、スーダンにおける政治的解決の基礎への復帰を支援する国連ミッションによる努力を称賛し、スーダンとその国民の平和と繁栄を祈りつつ、スーダンに対するクアッド(Quad)の積極的な役割に満足感を表明した。

リビア

双方は、大統領選挙及び議会選挙の早期実施に向け、国連の仲介による政治プロセスに従事しているリビア国民への支持を確認した。双方は、2020年10月23日に締結されたリビアの停戦合意及び国連安全保障理事会決議2570(2021)に従い、外国軍、外国人戦闘員及び傭兵をこれ以上遅滞なく完全撤退させるというリビアの要請を全面的に支持することを表明した。

アフガニスタン

双方は、アフガニスタンの安全保障を支援し、アフガニスタンを拠点とするテロリストがもたらす脅威に対処する必要性を強調した。双方はまた、アフガニスタンに対する人道支援を継続することの重要性を強調した。両者は、教育及び、到達可能な最高水準の健康の享受に対する女性及び少女の権利並びに女性については就労の権利を含むアフガニスタンの人々のニーズに対処し、権利を促進することへの支持を表明した。

テロ対策

双方は、テロリズム及び暴力的過激主義に立ち向かうことの重要性を強調した。双方は、アルカイダ及びダーイシュに対抗し,外国人戦闘員の流入を阻止し、暴力的過激主義者のプロパガンダに対抗し,テロリストの資金源を断つことへの継続的なコミットメントを表明した。

双方は、サウジアラビア王国に拠点を置く「テロリスト資金ターゲティングセンター(TFTC)」を通じた共同の取組みに焦点を当てた。両者は、2014年にジェッダで設立された「ダーイシュ打倒グローバル連合」の例外的な成功を検討・賞賛し、この連合が継続し、拘束されたダーイシュ戦闘員と、シリア北東部における数万人に及ぶダーイシュの家族の両方を母国に戻すための、長期かつ複数年の努力をする必要性を強調した。また、2023年初頭にサウジアラビアで開催される次回のダーイシュ打倒グローバル連合閣僚会議を歓迎した。

結論

双方は、今年後半にサウジアラビアで開催される次回の年次戦略対話に先立ち、今回の会合で議論されたすべての分野で二国間協力を拡大・強化することを決定した。このジェッダにおける声明は、両国の戦略的パートナーシップを強固にし、強化するための今後の作業における基礎となるべきものである。

 

 

特に人気
オススメ

return to top