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OIC、難民の教育アクセス確保へ世界的行動を求める

先週、クアラルンプールで開催されたOIC独立常設人権委員会主催のシンポジウムには、多くの国から講演者が参加した。(OIC、IPHRC)
先週、クアラルンプールで開催されたOIC独立常設人権委員会主催のシンポジウムには、多くの国から講演者が参加した。(OIC、IPHRC)
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13 Oct 2022 04:10:32 GMT9
13 Oct 2022 04:10:32 GMT9
  • IPHRCのセミナーでは、「難民ホスト国におけるギャップの特定と能力・機能の構築」の必要性が強調された
  • 参加者は世界イスラム難民基金の設立を歓迎した

ヘブシ・アルシャマリ

リヤド:イスラム協力機構(OIC)は国際社会に対し、世界中の難民の権利保護、とりわけ教育へのアクセスの確保を訴えた。

この呼びかけは、OICの独立常設人権委員会(IPHRC)が開催した第8回年次セミナー(シンポジウム)の終了時に行われた。「難民の保護に関するイスラムの視点―権利と教育アクセス」と題されたこの2日間のセミナーは、マレーシア政府の協力のもと、クアラルンプールで開催。IPHRCのメンバーのほか、学術界、多国間・政府間組織の専門家や、OIC加盟国とオブザーバー国の代表らが参加した。

セミナーの参加者は、今後の取り組みに関連し、ギャップ(格差)を特定して何らかの提案を行うことを呼びかけた。具体的には、難民の子どもたちに最良の教育機会を提供するために、ホスト国の能力・機能を特定、構築すること、オンライン学習の機会を含めた難民教育においてジェンダー理解の側面に対処すること、国の法律および開発計画を強化することのほか、難民の教育へのアクセスの改善や、難民問題を解決するための国際協力を促す方法の特定などを求めた。

セミナー参加者は、シンポジウムの最終文書として「難民の権利と教育へのアクセスに関するクアラルンプール宣言」をIPHRCが採択することを勧告した。また、OIC諸国の難民コミュニティの福祉を改善するために、負担を分担する方式に基づく方法論の土台を築くことを目的として、OIC外相理事会の委任を受けた上で、OICの制度として特別な機関、機構、基金を設立することを求めた。

IPHRCのハシ・アリ・アシクグル(Haci Ali Acikgul)委員長は、イスラムの教えと国際人権法に従って難民の権利を完全に保護するために、すべてのOIC加盟国と同委員会の間の協力関係を発展させて、ベストプラクティス(最善の方法)を推進する必要があると強調した。

 アブドゥアルラヒーム・アルモハタウィー博士

さらに、参加者は、イスラム開発銀行の人道関連部門であるイスラム連帯開発基金が国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と共同で採択した、「強制移住への人道的対応に投資するシャリア(イスラム法)遵守の革新的手段としての」世界イスラム難民基金の設立を歓迎した。また、OIC加盟国に対し、難民への教育、医療、生計手段の提供を目的とした資源の調整など、難民問題に取り組み、難民の福祉を守るための構想を支援するよう促した。

マレーシアの外務大臣であるサイフディン・アブドゥッラー(Dato’ Sri Saifuddin bin Abdullah)氏は、難民の教育に向けたあらゆる関連分野における介入方法を設計、促進、開発するためのOIC難民教育財団の設立を提案した。

UNHCRの統計によると、昨年末時点の世界の難民数は約2710万人、亡命希望者は約460万人となっている。ユネスコによると、世界の難民・亡命希望者の50%は18歳未満だという。

マディーナ・イスラム大学大学院の元教授であるアブドゥアルラヒーム・アルモハタウィー(Abdualraheem Almoghathawi)博士は、次のように述べている。「難民は、家族や友人、親族から疎外され、距離を置かれた状態にある。このため、異常な状況下にあり、まともな生活を送る資格が奪われている」

また、同博士は、難民のニーズに合わせて、あらゆるレベルで教育の機会の提供を受けることは、難民の最も基本的な権利の一つであると述べ、次のように付言した。

「この高い目標の達成に向けた方法と手段は、世界の難民教育のための基金の創設などを含めて数多くある。その支援は、いくつかの信頼できる組織・団体からのものでなければならない」

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