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五代目畳職人が革新的な技術で畳作りに革命を起こす

作家は一色の畳を使い、角度を変えることで色を変化させている。(提供)
作家は一色の畳を使い、角度を変えることで色を変化させている。(提供)
作家は一色の畳を使い、角度を変えることで色を変化させている。(提供)
作家は一色の畳を使い、角度を変えることで色を変化させている。(提供)
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15 May 2025 06:05:49 GMT9
15 May 2025 06:05:49 GMT9

マナール・エルバス

ドバイ:5代目の畳職人であるケンジー・ヤマダ氏は、伝統工芸に現代的な新風を吹き込もうと、創業から100年となる家業を継いだ。

畳は日本の伝統的な家屋で使用される四角い柔らかい床マットである。山田氏の家業が始まったのは明治時代で、畳が高級品であり高い地位を反映していた時代である。

岐阜県に生まれた山田氏は、現在畳の需要が少なくなっているため当初家業を継ごうとはしなかった。だが、ある日友人から変形の畳をリクエストされたことがきっかけで、1300年の伝統を持つ畳に別のアプローチをしようと考えるようになった。

「大学卒業後、建築事務所に就職しました。その後辞めて自分の建築会社を立ち上げようと思っていたところ、突然友人から連絡があり、畳のことを改めて考えさせられました」とアラブニュース・ジャパンに語った。

山田家の先代。(提供)

「畳が違う形になることを思いもよりませんでした。家業を継ぐつもりはなかったんだけど、面白いものが作れることに気づいたんです。自分は建築のバックグラウンドがあるので、自分のデザインを取り入れた新しいプロジェクトができるような気がしました」と付け加えた。

山田氏は建築的な観点だけでなく、芸術的な観点からも畳づくりに取り組んでいる。彼は畳の一色のイグサを使いながら、角度を操作して畳の色を変化させる。

どんなプロジェクトにも、彼は取り組む前に現地を訪れて徹底的に研究し、光と影をどう操作すれば思い描く傑作ができるかを熟考する。このアプローチにより、畳は季節や時間帯によって独特の表情を見せる。

「朝から夕方まで、夏から冬まで、光は変化しますが、私の経験と十分な想定範囲があれば、予想から大きく外れることはありません」と彼は話してくれた。

山田氏の最も印象的な作品のひとつに、一日を通して色を変える2羽の鶴を描いた作品がある。そこでは彼は外景を利用して、ゲストを没頭させる新たな次元を作品に加えている。

アラブニュース・ジャパンの取材に対し、「制作には約1年かかりました。このプロジェクトに望んだのは、畳の光の反射を利用するだけでなく、アートインスタレーションとして外景を融合させることでした。鳥はこの場所の延長線上にいる。インスタレーションは、屋内と屋外の空間の境界を消し去るのです」

「午後の遅い時間には、鳥の羽はより金色に見えますが、昼間の早い時間にはより銀色に見えます。朝の光に照らされると、鳥のくちばしは白くなり、畳全体は柔らかい表情になります」と彼は付け加えた。

山田氏の他の作品には、動物や肖像画のインスタレーションがある。「私のインスピレーションは建築的な観点から来ます。空間や、部屋に入る人の視点についていつも考えています」

日本人アーティストである彼は、畳産業の衰退を認識しつつも、この伝統芸術をグローバル化し、世界各地に紹介することに注力している。

「畳産業が縮小しているのは、主に日本の新しい住宅プロジェクトが西洋風のデザインに対応しているからです。畳は日本の隠れた宝石ですが、国際市場に参入するのは簡単ではありません。なぜなら、日本文化を知っている人でない限り、畳について知らないか、触れたことすらないからです」

「何らかのアートやデザインの視点を活用することで、畳を海外に紹介する方法があるはずです。畳に様々な形や仕様があれば、現在の顧客のニーズに応えられるはずです」と付け加えた。

山田氏はGCC地域で展示をしたことはないが、観光でドバイを訪れたことがあり、その建築美に感銘を受けたという。

「(ドバイ、アブダビ、サウジアラビアで)様々な建築プロジェクトが行われていることは知っています。ブルジュ・ハリファを訪れたときは本当に感動しました。もし世界のこの地域で展覧会を開催し、畳の美しさを紹介する機会があれば、とても光栄です」と彼は語った。

彼の今後のプロジェクトには、1月に名古屋で開かれる展覧会や、フランス人アーティストとのポップアップなどがある。彼の作品は彼のウェブサイトで見ることができる。

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