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アラビア語のコミックスが地域の社会政治的文化をどのように反映しているかをとりあげる新たな展示会

「ライブラリー・サークル」プログラムでは、司書のデビッド・ヒルシュ氏のコレクションからコミックスやグラフィックノベルを展示する。(提供)
「ライブラリー・サークル」プログラムでは、司書のデビッド・ヒルシュ氏のコレクションからコミックスやグラフィックノベルを展示する。(提供)
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06 Feb 2021 08:02:48 GMT9
06 Feb 2021 08:02:48 GMT9

マット・ロス

ロンドン: コミックスやグラフィックノベルの世界は北米、日本、欧州の芸術シーンで定番となって久しいが、その知名度や文化への影響、反映はアラブ文化内においては限定的な傾向にあった。その一方でドバイにあるジャミール・アーツ・センターでは、司書のデビッド・ヒルシュ氏が所有するコレクションの中から、コミックスやグラフィックノベルを展示する最新の「ライブラリー・サークル」プログラムでこのクリエイティブシーンに光明を投じようとしている。

フィラデルフィアで生まれたヒルシュ氏はドバイのアルジャダフにあるムハンマド・ビン・ラシッド図書館の顧問である。34年間にわたり司書を務めており、コミックスやグラフィックノベル、漫画の熱烈なファンでもあるヒルシュ氏が中東の言語の本を収集し始めたのは1993年のUCLAで勤務している時であった。キャリアを通してアラブ界の中で幅広く生活し、勉強し、働いたヒルシュ氏は中東コミックス界における第一人者となった。「ライブラリー・サークル」展示会では彼自身のコレクションからや、ジャミール図書館が入手した本も含まれる。

「ライブラリー・サークル」展示会では彼自身のコレクションからや、ジャミール図書館が入手した本も含まれる。(提供)

「グラフィックノベルに関しては、中東は世界のその他の地域と比べると、それほど発達していません」、とヒルシュ氏がアラブニュースに語る。「それが面白かった事の一つです。このコレクションを纏めるのは大変でした。これらのグラフィックノベル達はかなり短命で、かつ逃亡者のようにすぐにその場から消えてしまうからです。私がそう表現するのは、見つけるのが難しい事と、主流な出版社からは出版されていないという理由からです。ですがシャールジャにあるKalimat出版社が独自に制作をし始めており、彼らがアラビア語のコミックスを主流に加えようとしている事に感謝しています」

より広範囲なアラブ界でいうと、アルジェリアではもっと多くの本を出版している、とヒルシュは付け加える。「他のアラブの国より多く出版していると思います、ですがその大半がフランス語です。アルジェリア内でアラビア語で出版されているのは非常に少ないのです」

「それに次いでレバノンはかなり頑張っています。コミックブック賞やイベントがあったり、AUBでは大学の科目として教えています。これらはアラビア語のコミックスに脚光を浴びさせるのに向けて必須な過程だと強く思います。展示会にはレバノンの本の例もあります。その他ドバイのコミコンやサウジアラビアのマンガコン等のイベントが、さらなる知名度をあたえました。」

フィラデルフィアで生まれたヒルシュ氏は、ドバイのアルジャダフにあるムハンマド・ビン・ラシッド図書館の顧問である。(提供)

コミックスはいまだにアラブ界では生まれたばかりの芸術形式だが、ヒルシュ氏は地域の社会的、政治的、文化的ニュアンスに独自の見方を与えられる必要不可欠な形式だと信じている、

「アラブ界でのコミックスは異なる社会政治的問題を反映しています、」とヒルシュ氏は言う。「例えば『ヒジャブ・ガール』は女性の社会的地位向上に関する問題がどのように議論されているかをとりあげました。作品の多くは、政府機関によって、または政府の支援を受けて出版されたもので、国民としてある種の誇りを持つように奨励している事が読み取れます」

クウェイトの「ザ99」もアラブ界を覗き見る為の大事な窓として機能している、とヒルシュ氏は説明する。「宗教を理解してより身近に感じさせるという意味では若者を引き寄せる良い方法でした。様々な言語で展開されているのもそうですが、そのコミックスがテーマパークにも影響を与えたというのが独特です」

ヒルシュ氏が中東の言語の本を収集し始めたのは1993年にUCLAで勤務している時であった。(提供)

そしてより確立された市場から来るコミックスシリーズに対しての中東の好意的な反応を考えると、ヒルシュ氏は制作を行う作者やアーティスト、出版社がいるならば、地元発信のコンテンツへのニーズもあると強く信じている。

「サウジアラビアでアラビア語のコミックスの講演をしたことがあります、」とヒルシュ氏が思い起こす。「全参加者、男性も女性も(レバノン人歌手の)サーミー・クラーク氏が歌うのに合わせて(日本のシリーズとして)有名な『グレンダイザー』の歌を一緒に歌っていました。あれはまさに最高の気分でした」

展示会の主な目的は、この芸術形式の存在に対するアラブ界での意識上げることだ。だがヒルシュ氏は保管する事の重要性も強調している。

クウェイトの「ザ99」もアラブ界への大事な入口として機能している、とヒルシュ氏は説明する。(提供)

「多くの出版社は出版した作品を保管していないというのが残念な現実です、」と同氏は説明する。「制作したグラフィックノベルのコピーを持っていないという、とある出版社でこの状況に直面しました。アーカイブとして保管して管理を行っていくことがアラブ界全般における課題で、これはグラフィックノベルにも該当します。」

結果として、展示会をまとめる際にヒルシュ氏が直面した大きな問題は、できるだけ多くの作品を手に入れる事であった。「いくつかはどちらかというとシャールジャのブックフェアーで自身が入手して滑り込みで加えた作品です、」と彼は認めた。

展示されている出版物の中で、同氏が特に重要だと考える作品がいくつか存在する。ここで、ヒルシュ氏が見どころの一部について語ってくれた。

「コーニッシュ」

「コーニッシュ」はシャールジ・アート・ファンデーションの主要イベント(毎年恒例の芸術ブックフェア)からの委託されたUAE発のコミックスのアンソロジーである。この出版物はアーティストのNassir Nasrallah氏が率いる一連のワークショップの成果で、15人の地元アーティストとイラストレーター達の作品が収録されている。題名と表紙はシャールジャ・アート・ファンデーションのスペースの多くが入っているシャールジャ・コーニッシュに敬意を示したものだ。

Shamma

UAE出身の著者Hamda Saad氏によるこのコミックスは、職場で所属している部署の部長になった主人公のShammaの日々の出会いを語る。驚くほどのキャリア志向でありながら、Shammaは彼女の家庭の現状を上手く運びつつ、この出世によってふりかかる課題を乗り越えなければならない。Saad氏はあとがきで、物語をUAEの人物に基づける重要性と、UAEの民族衣装を描く際に背景にあった文化的な難しさについて書いている。

「ヒジャブ・ガール」

サラ・アルハーズミー氏によるこの物語は、主人公が車に轢かれて空を舞い、緑色のパンツの上に着地する所から始まる!Fadyという少年が事故を目撃し、主人公の事をスーパーヒーローだと思い込み、後に彼女の助手となる。サウジアラビアのジャーナリスト、Mohammed Alshoaiby氏はこう書く。「ヒジャブ・ガールでは宇宙人の侵略者や機械仕掛けの化け物、または遺伝子操作された殺し屋に立ち向かう事はありません。その代わりに無知、無関心、自己満足といった、ほとんどのスーパーヒーローの努力でも太刀打ちできないしつこい敵に立ち向かいます」

「ザ99

Naif Al-Mutawa博士によって制作されたこのシリーズでは、イスラム教の神がもつ99の特性から影響を受けた特別な力を持つヒーローの軍団を追う。創刊以来、同作は議論の的となっている一方で、複数の受賞やハリウッド版製作などをもって歓迎されている。だが同時に同作はイスラム系の保守派からの強い反発や訴訟、更にはツイッターのハッシュタグでNaif博士が脅されるという状況に直面している。このような困難がありながらも、このシリーズは幅広い読者に届き、アラビア語、英語、トルコ語、スペイン語、インドネシア語を含む8か国語に翻訳された。25巻以上が出版済である。

「ザ・ローカスト・エフェクト」

「ザ・ローカスト・エフェクト」の前書きで、コミックスが現代社会に対しどういう意味持つのかについて、アーメド・カリド・タウフィーク博士は美しい一節を書いている。「コミックスは映画、造形美術、文学のすべてが融合された芸術形式の九つ目を構成できると考えられています。エジプト社会では漫画が依然として軽視されており、また例にもれず若者しか評価していない事が本当に残念です。ジョージ・オーウェル式のメディアから逃れ、正義を実証し、殉教者とその支払われた犠牲と物語を無罪とするために、私たちには「ザ・ローカスト・エフェクト」とそのストーリーラインがこれまで以上に必要なのです」

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