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日本とサウジ共同のCO2フリーアンモニア事業、菅首相の新エネルギー政策にメリット

2030年までに大幅な商業化が可能になり、「その市場はとてつもなく大きい」と豊田理事長は付け加えた。(ANJ)
2030年までに大幅な商業化が可能になり、「その市場はとてつもなく大きい」と豊田理事長は付け加えた。(ANJ)
2030年までに大幅な商業化が可能になり、「その市場はとてつもなく大きい」と豊田理事長は付け加えた。(ANJ)
2030年までに大幅な商業化が可能になり、「その市場はとてつもなく大きい」と豊田理事長は付け加えた。(ANJ)
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22 Nov 2020 10:11:07 GMT9
22 Nov 2020 10:11:07 GMT9

カルドン・アズハリ(東京)

ブルー(CO2フリー)アンモニアの製造と供給における日本とサウジアラビアの協力は、日本の菅首相が温室効果ガス排出量の大幅削減を掲げた新しい目標に合致したものだ、と日本エネルギー経済研究所(IEEJ)の豊田正和理事長は述べた。

日本政府はエネルギー構造の改革に取り組んでおり、2050年までに再生可能エネルギーは気候変動との戦いにおいて重要な役割を果たすこととなる。この点で、アンモニア事業は日本とサウジアラビアとの戦略的パートナーシップを強化して「双方にメリットのある関係に成長させる効果がある」と豊田理事長はアラブニュースジャパンによる単独取材に応えて語った。

サウジアラビアは、よりクリーンな燃料として水素に移行していく取り組みの一環として、9月末に初めて日本にブルーアンモニアを出荷した。アンモニアは輸送が容易で、水素の生成に使用できる。専門家によると、サウジアラビアは膨大埋蔵量を誇る石油を利用して、日本などの国々に出荷できる「ブルー(CO2フリー)」な水素を生産することができるとのことだ。

「現時点では、福島の原発事故の影響により、日本はエネルギーミックスにおいて化石燃料に高い割合で依存しています。」と豊田理事長は語る。

エネルギー危機に対する数十年にわたる日本の敏感さに基づき、国内のエネルギー政策の立案者たちは、化石燃料とガスの持続可能な使用のための安定した資源供給、つまり「エネルギー安全保障」が日本にとって重要であると主張している。

日本とサウジアラビアの両国が協力してアンモニア製造などの持続可能な新技術を開発する一方、「コスト面が私たちにとって最大の課題になっています」と豊田理事長は言う。

「アンモニアと水素は他のエネルギー資源に比べて高価すぎるので、できるだけ急いでコストを削減する必要があります」

その他の課題には、発電所の開発、および先端技術を取り入れた港の整備が挙げられている。

「インフラを整備していく必要があります。商業化は、インフラ整備の状況を見ながら、徐々に進めていくことになります。2030年頃に商業化を始めるのが、日本とサウジ両国にとって良いかもしれません。2030年頃とすると、まだあと10年準備できますし、日本政府の掲げる目標は2030年ではなく2050年までにということですので、それまでにはまだ30年あります」と豊田理事長は語る。

また理事長は、中東と比べた場合のアジアの環境的特徴についても言及した。 「日本の日照量は中東よりもはるかに少ないです。また、風力も北欧などと比べると安定していません。台風のエネルギーは非常に強力ですが、残念ながら風力発電設備とは相性が良くありません。だからこそ、電力源としてのアンモニア事業が日本政府にとって重要なのです」

豊田理事長は、徐々にではあるが「今年から水素の利用を開始し、また近い将来、石油とガスを結合してアンモニアの専焼を実現するアンモニア利用のデモンストレーション行い、その技術を他国と共有する予定です」と語る。

当面の課題として、理事長は2点を挙げている。 1つ目は、高すぎるコストの削減、2つ目は、特定の港のインフラの改善である。

「水素よりも前にアンモニアを商業化できると私たちは考えています。しかし、脱炭素化が現在されていないため、サウジアラムコおよびサビック(サウジ基礎産業公社)と協力して脱炭素化をまず行うことになります」とも理事長は語っている。

2030年までに大幅な商業化が可能になり、「その市場はとてつもなく大きい」と豊田理事長は付け加えた。

商業化に際しては、既存のサプライチェーンを継続して使用していくことができる、とも理事長は述べている。

「アンモニアはすでにサウジアラビアから多くの国に輸出されており、私たちはそのサプライチェーンを続けて使っていくことができるわけです」とのことである。

「運輸・産業部門は巨大で、市場はさらに拡大していますが、おそらくもう少し時間がかかります。2030年には水素も商業化できるでしょう」

豊田正和理事長は、1973年に東京大学法学部を卒業。 2007年7月、経済産業省(METI)の経済産業審議官に着任。2010年7月より日本エネルギー経済研究所(IEEJ)理事長を務めている。

豊田理事長はまた、11月3日付で発令された令和2年秋の叙勲において瑞宝重光章を受章している。

この勲章は、国レベルまたは公共サービスにおける功績、また社会のさまざまな分野での卓越した業績を称えて授与されるものである。

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