• サウジ証券取引所の上位10社、パンデミックによる世界的な不確実性の中、2021年は安定配当や増配で、確実な収入を求める投資家を惹き付けた

サルマ・ワエル

リヤド：2021年は、前年3月の新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生から経済が牽引力を取り戻し、サウジアラビアの上場企業の投資家への配当が回復した。

ワクチン接種が広がり、ロックダウンを緩和したことで年初は経済回復が見られたが、これに変異型のオミクロン株がどの程度重くのしかかってくるかはまだ分からない。

しかし、時価総額合計2兆ドル（7.5兆サウジアラビア・リヤル）以上であるサウジ証券取引所の上位10社は、パンデミックによる世界的な不確実性の中、2021年は安定配当や増配で、確実な収入を求める投資家を惹き付けた。

上位10社は、エネルギー・素材大手4社、銀行4社、電力1社、通信1社で、比較的安定した経営で全体の時価総額は160億ドルを超える。

サウジ証券取引所の首位は石油大手アラムコだ。時価総額7兆リヤル以上に上る。アラムコの配当は前年と変わらず、2021年1～9月で1株当たり1.05リヤルを支払った。株価35リヤルで年間配当利回りは4％近くとなった。

原油価格が反発したことにより、アラムコの2021年1～9月の純利益は前年同期比で2倍以上となり、2,790億リヤルに達した。

化学品メーカーのサウジアラビア基礎産業公社（SABIC、時価総額3,410億リヤル超）は、67.5億リヤル（1株当たり2.25リヤル）を2021年下半期の株主配当として支払うと発表した。

この配当方針で、1株当たりの年間配当支払いは2020年の3リヤルから4リヤルとなる。今回の増配は2021年1～9月期の業績が好調で、SABICが主に合弁企業からの利益により、前年同期の26億リヤルの赤字から181億リヤルの黒字に転換したことを受けたものだ。

アルラジ・バンク、サウジ・ナショナル・バンク、リヤド・バンク、サウジ・ブリティッシュ・バンクといったサウジアラビアの銀行大手は、2021年は増配を発表した。

時価総額で世界の上位15行の一つであるアルラジ・バンクは、2020年は年間で1株当たり1リヤルだったのに対し、2021年上半期は35億リヤル（1株当たり1.4リヤル）の配当を支払った。これは2021年9月30日までの9ヵ月間の純利益が44％急増し、107.3億リヤルに達したことと合わせて発表された。

サウジ2位の銀行であるサウジ・ナショナル・バンクは、上半期で1株当たり0.65リヤルを分配した。これは、2020年の年間配当が1株当たり0.8リヤルであったことと比較して、半期の配当が前年同期比で62.5％増加したことを意味する。

サウジ・テレコム・カンパニー（STC）は、2021年1～3四半期に、前年と同じ1株当たり合計3リヤルの四半期配当を行った。株価110.8リヤルに対して3.6％の配当利回りとなる。

同社が報告した6年間のデータでは、1株当たりの年間配当は2016年以降、4リヤルから6リヤルの間で変動しており、安定した傾向があることが明らかになった。

2005年以降、サウジ電力公社は株主に安全で魅力的な配当を行い、ボラティリティが高い中でも1株当たり0.7リヤルの年間配当を継続してきた。2021年には、株価110リヤルに対して3％の配当利回りとなった。

アラビア湾岸最大の鉱業会社であるアラビアン・マイニング社（Ma’aden）は、2008年の上場以来、成長資金を確保するために配当を差し控えてきた。同社は2021年1～9月期に31.4億リヤルの利益を計上し、前年同期の7億8100万リヤルの純損失から一転して増益となった。

サウジアラビア第8位の上場企業SABICアグリ・ニュートリエンツ（SABIC Agri-Nutrients）は、株価172リヤルに対して2.5％の利回りで、今年は2015年以来最高の配当政策を提示した。この石油化学企業の配当支払いは前年同期比113％に急増し、1株当たり4.25リヤルに達した。

配当利回りはそれほど高くはないが、これらの大企業のほとんどは長い間一貫した成長と安定した配当の実績を誇っており、リスク回避の投資家にとっては良い賭けだ。