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イラクの潜在的石油埋蔵量はサウジアラビアを「超える可能性」がある

アブダビでのSALT会議の2日目。パネルディスカッション参加者、左から右:クレセント石油のマジド・ジャファーCEO、ユーラシアグループのグローバルエネルギーおよび天然資源のエグゼクティブアドバイザー兼マネージングディレクターのR. J.ジョンストン、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの商品調査責任者のフランシスコ・ブランチ。(AN写真/フダバシャタ)
アブダビでのSALT会議の2日目。パネルディスカッション参加者、左から右:クレセント石油のマジド・ジャファーCEO、ユーラシアグループのグローバルエネルギーおよび天然資源のエグゼクティブアドバイザー兼マネージングディレクターのR. J.ジョンストン、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの商品調査責任者のフランシスコ・ブランチ。(AN写真/フダバシャタ)
12 Dec 2019 02:12:47 GMT9
  • クレセント石油のCEOであるマジド・ジャファー氏は、SALT会議にて、様々な障害を経験したにも関わらず、イラクの生産量が増加したと報告。
  • イラクのエネルギー部門の潜在能力を最大限に活用するためには「民間部門の投資環境の改善が不可欠」

ジュマナ・カーミス(アブダビ)

中東トップのエネルギー会社のチーフは、イラクの石油埋蔵量がサウジアラビアの量を超える可能性がある、と、この地域で行われる最初のSALT会議で述べた。

長年の汚職、インフラの欠如、5年間にわたるISとの国内戦争にもかかわらず、イラクの石油生産量は1日あたり150万バレル(bpd)から500万バレルに増加した、と、クレセント石油のマジド・ジャファーCEOが公表した。

エネルギー部門における力の構造についてのアブダビで行われたパネルディスカッションで、ジャファー氏は石油生産に対するイラクの立場と、エネルギー「独立」への米国の最新の動向に言及した。

同氏は、今日のイラクの石油生産率を指し「これでイラクの石油埋蔵量を目算することができるかと思いますが、私はサウジアラビアの埋蔵量を超え得ると考えています」と述べた上で、国の一部がまだ「未開拓」のままであると加えた。

エネルギー部門で国の潜在能力を最大限に活用するためには、民間部門における投資環境を改善することが不可欠であると同氏は考えている。

ジャファー氏は、最近行われたイラクの若者が率いる抗議で表明された要求に対処することでこれを達成することができると述べ、「若者はもう懲り懲りしています」と付け加えた。

若者から提示された要求の中には、より良いサービス、電力、雇用機会、汚職と派閥政治のない統治システムなどが挙げられた。

しかし、こういった不安定な情勢にもかかわらず、クレセント石油は依然として楽観的であった。「グループとして、過去10年間で30億ドル(SR11.25億)を投資しており、投資率は今後も増加します。」

ジャファー氏は、中東および北アフリカ地域の急激な石油財産の増加を指摘し、世界のエネルギー市場での競争を高めるためにさらに多くの対策がとれるということを示唆した。産油国の上位10か国のうち5か国がこの地域にあることを考慮した上で、サウジアラムコによる民間部門とのパートナーシップなどの新しい改革を、正しい方向性への一歩として挙げた。

しかし同氏は、中東の石油およびガス産業が米国の同産業に対して、最近市場シェアの相当量を受け渡したことを強調した。

米国は「自給自足」に向かって動いたが、ジャファー氏はこれによって国の「相互依存」が高まると確信している。

「石油の輸出国でれば、市場について心配することは当然です」と同氏は述べ、最近の変化が米国経済に与えた影響について予測を立てた。「米国が世界最大の生産国の1つになったため、石油価格が高ければ、GDP全体の経済は良くなり、計算がすべて変わってきます。」

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの商品調査のグローバル責任者であるフランシスコ・ブランチ博士は、米国が「エネルギーに依存しない」一方で、投資家は「それを実現するために資本を供給」したことが原因で、多額の資金を失ったと強調した。

ブランチ博士の見通しは、米国は近年でやってきたペースでは成長を続けることはできないだろうというものであった。「投資家は、シェルが限界費用のビジネスであることを認識し始めていると思います。」

ジャファー氏の観測を支持し、ブランチ博士は米国が輸出と輸入に相互依存するようになったことに同意した。また、博士は今日、米国が650万バレルの石油を輸入し、1日あたり250万バレルを輸出したことを指摘した。

「資本市場は、資本がエネルギー部門に割り当てられることについてより懐疑的になったと思います」とブランチ博士は述べ、今後5〜10年はテクノロジーとヘルスケアに焦点が当てられるだろうと述べた。

ユーラシアグループのグローバルエネルギーおよび天然資源のエグゼクティブアドバイザー兼マネージングディレクターであるパネリストのR. J.ジョンストン氏は、アラブ地域の地政学的状況を調べた上で、エネルギー部門を「地政学主導のストーリー」であると説明した。

ジョンストン氏は、東部州のサウジアラムコにある2つの油田開発地が今年初めに受けたドローンとミサイル攻撃、そしてそれに伴う供給の中断について言及した上で、予測した反応や石油価格への影響がなかったことを指摘した。

「これは、この地域における地政学がどのように変化しているかを示唆している可能性があります。イランに対する制裁とアラムコの施設に対する攻撃があったとしても、世界は異なる種類の地政学により焦点を当てていて、それはつまり需要が重視されているものです。」とジョンストン氏は述べた。

また同氏は、来るべき米大統領選挙や、中東や西ヨーロッパ、香港などで行われている抗議活動など、世界中の構造的な傾向の問題に触れ、これらこそが世界市場の成長に不確実性をもたらした要因であると述べた。

ジョンストン氏は、ドナルド・トランプ大統領の時代に、アメリカは過去に比べて「この地域にあまりコミットしていない」とし、前例のない新しい現実を作り出す状況になると付け加えた。

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