
東京
12日に連立与党が公表した2020年度税制改正大綱は、国民の日常生活に影響する大幅な改正とはならず、小規模なものにとどまった。
大綱は、未婚のひとり親に対する税負担軽減策の拡大や、ベンチャー企業に対する大企業の投資を促進する優遇税制の導入など、ある程度の前進ではある。しかし、これらの改正の裏では、所得格差の是正に向けた所得税制の見直しなど、より根本的な改革が犠牲になっている。
連続3期目で与党自民党総裁として3年の任期の最終年にいる安部晋三首相率いる現政権は、2度の延期を経て10月に消費税を8%から10%に引き上げた。
だが、人口の高齢化により社会保障費が増大する中、財政健全化の実現への道のりはまだ長い。
それでも、10月に4年任期の後半に突入した衆議院は、消費税のさらなる引き上げは先延ばすとし、日本の国会で下院にあたる最も重要な衆議院の解散、そして総選挙の可能性が高まっている。
7月の参院選前に、安倍首相は10%への増税後、さらに消費税を引き上げることは「今後10年ほど必要ないだろう」と話していた。
10月の2%増税が実施された後、自民党と連立を組む公明党はさらなる消費税増税に関する議論を避けてきた。
一方、衆院解散に関する憶測が広まる中、税制改正大綱では減税が中心となっている。
大綱からは、格差是正のための改正が明らかに欠如している。
2018年度の税制改正大綱では、政府はすべての納税者に対して基礎控除を引き上げ、給与所得の控除を削減した。これらの措置は来月から適用される。
慶応大学の土井丈朗教授は、所得税改正に批判的だ。
「高所得者にとって有益な控除の見直しが不十分で、(所得税の)再分配機能に関するさらなる議論が必要です」と同氏は話す。
1年前の時点では消費税2%増税を前に、経済の底上げが議論の中心だったが、今回は不平等問題などの中・長期的課題を検討する余裕が連立与党あったと土井氏は指摘する。
「しかし、不平等の是正に関する議論はありませんでした。」
時事通信社