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日本の経常収支悪化は低下する円の地位を証明

(AFP)
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07 Oct 2022 08:10:12 GMT9
07 Oct 2022 08:10:12 GMT9

日本の8月分経常収支は、円安により輸入原価が急上昇する中で黒字幅が減少する可能性が高い。この見通しは、日本の対外資産の蓄積能力に疑問を投げかけ、円がこれまで保ってきた、貴重な避難通貨としての地位は低下することになるだろう。

日本の外貨準備高は、現在も中国に次いで世界第2位だが、先月の円の急落阻止のために政府が行ったドル売り介入により急減している。

ロイターの調査では、世界第3位の経済大国である日本の8月の経常収支は、1,220億円(8,415万ドル)に縮小すると考えられる。これは7月と比較して半分の額である。

「世界経済の減速により、輸出額は減少しており、輸入額の方は高騰するエネルギー価格と円安を背景に膨らみ続けています」と農林中金総合研究所の南武志チーフエコノミストは説明した。

8月の経常収支は、10月11日午前8:50(グリニッジ標準時間23:50)に発表される。

先月発表されたデータによると、日本は8月、単月では過去最大となる貿易赤字を記録した。高騰するエネルギー価格と円の急落により輸入額は49.9%増加し、輸出利益を上回った。

日本は貿易赤字を海外投資の利益で相殺しているが、悪化する国際収支は日本経済には構造変化が起きており、追加のドル売り介入にも十分な資金を持つ貿易大国というイメージは最早通用しない可能性があることを示しているとアナリストたちは分析する。

近年、円高による競争力低下から、日本企業が生産拠点を海外に移しているため、海外投資の利益は安定的に増加している。現在、政策立案者たちは円安が輸入額を押し上げて生活費の上昇をもたらすのではないかと懸念している。

かつては貿易立国の証であり、避難通貨としての円への信頼の源と見なされた日本の経常黒字は、悪化する貿易収支の結果として今年3月まで4会計年度連続で縮小している。

日銀の黒田東彦総裁は、部分的には円安によって上昇している輸入コストが、燃料と食糧の大半を輸入に頼る日本の家計と企業に海外資産の減少によるダメージを与える可能性があると警告している。

岸田文雄首相の顧問を務める有識者会議のメンバーは、4月に政府に対して現在の経常黒字がこれ以上縮小することを防ぎ、日本経済を損なう円の急落を回避するよう求めていた。

望ましくない円の下落を止めようと苦闘する一方で、岸田首相は現在円安の恩恵を最大限に生かして海外からの観光客を誘致したり、農産物の輸出を促進したりするなどの案を検討している。

だが、アナリストたちは日本経済がインフレの進行と、世界的な景気後退のリスクが迫る中投げかける暗い見通しがもたらす、増大する痛みに耐えられるかについては懐疑的である。

「日本の今年の経常収支は、赤字に終わる可能性もあります。私は赤字がずっと続くとは考えていませんが、経常黒字縮小の傾向は続くでしょう」と丸山義正SMBC日興証券チーフエコノミストは話す。

「これは日本の収益力が低下していることの反映かもしれません。衰退を避けるためには、投資先としての魅力を高めるような努力が必要になるでしょう」(1ドル=144.9800円) 

ロイター

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