ガディ・ジュダー
リヤド:世界が温室効果ガス排出量正味ゼロに向けて進んでいくための道筋は1つではなく、万能の特効薬もない。サウジアラビアのエネルギー相アブドルアジーズ・ビン・サルマン王子がリヤドで開かれたエネルギー会合で発言した。
「目標達成のための道筋は多くあります…それぞれの国の事情と経済発展度を考慮に入れた道筋、地方・国・地域・世界それぞれの単位で行われる解決策が存在します」とエネルギー相は第44回国際エネルギー経済学会(IAEE)会合の開会の辞の中で述べた。
中東・北アフリカ地域で初めてとなるこの会合はサウジアラビアでキング・アブドゥラー石油調査研究センター(KAPSARC)とサウジエネルギー経済協会の協賛で2月4日から9日までの日程で行われる。
今年の会合のテーマは「クリーンで安定的、持続可能なエネルギーの未来への道」である。
エネルギー相は今年のIAEE会合でエネルギー問題の専門家として知られるダニエル・ヤーギン氏とも言葉を交わしたが、集団の取り組みと総体的解決策には、常により多くの成功の見込みがあるとも述べた。
「分野や地域ごとに細分化された解決策は人々を引き離し、より多くの混乱を生む傾向があります。ですから、これらの問題を解決しようと個々人が努力する中で、ひょっとすると人々が望んでいるより多くの混乱を招くことになりかねないと危惧しています」
アブドルアジーズ王子は、サウジアラビアは二酸化炭素を大気中から分離して貯蔵する隔離技術の開発を進めていると説明した。
「世界中の人々に声をかけ、我が国の水素エネルギーを売り込んでいます。発電し、そこから水素を生み出します」
大臣は続けて、世界が必要とするのは炭化水素で、化石燃料ではないと述べた。
「世界が炭化水素を使い続けるためには、汚染の緩和策が必要で、すべての温室効果ガスによる悪影響を軽減していると示す必要があります。というのも、メタンについては忘れられがちだからです」
隔離技術を念頭に、大臣は以下のように付け加えた。「我々はメタンについては確かな実績があります。他の追随を許しません。最後まで、メタンの製造を続けます」
サウジアラビアの全セクターで、すべての温室効果ガスの影響を軽減する取り組みが行われているという。
「我々のモットーは簡単に言えば、気候変動に配慮しつつ、世界はあらゆる種類のエネルギー源を生み出すべし、です」
アブドルアジーズ王子はクリーンなエネルギー開発が貧しい人々の調理に役立つことで持つ人道主義的側面に言及した。
「これは気高い人道的大義で、人々はこの問題に注意を向けるべきです。近代的なエネルギー源なしに生活している数億の人々がいるのですから」
会合は学会、科学コミュニティ、企業、政府それぞれがエネルギーを取り巻く環境の変化を検討し、低炭素化に向けた長期的成功のためのアイデアや戦略を探る機会となった。