宮下一郎農林水産相は15日、時事通信などのインタビューに応じ、中国が日本産水産物の輸入を全面停止した問題を受け、輸出先の多角化によるリスク低減に取り組む方針を表明した。農林水産物・食品の輸出額(2022年は1.4兆円)を25年に2兆円、30年に5兆円に拡大する目標は堅持する。主なやりとりは次の通り。
―輸出入ともに特定国への依存リスクが高まっている。
ロシアによるウクライナ侵攻に伴い肥料や飼料の価格高騰や品不足が発生し、調達先が偏っていることが明確になってきた。経済安全保障の観点からリスクを低減することが重要だ。安定的に食料や生産資材が輸入できるようにする。
―政府の輸出目標は維持するのか。
目標は追求する。ホタテの輸出が中国に偏っているのがリスクだということも分かってきた。これを契機に輸出先を多角化していく。日本の高品質な食材を最も効果的に販売できる市場を見いだしてプロモーションしていく。
―国内の生産基盤は弱体化している。
特に農業では、人口増加時にできあがったシステムを大転換しないといけないのに遅れている。日本の食料需給を考えると、農地はまだまだ足りない。少ない人数で農地をどう生かしていくかという発想に変えなければならない。農業を成長産業にしていく転換期だ。
―中山間地域の振興にどう取り組むか。
人口減少を乗り越えるカギは、人の交流を盛んにすることだ。農家レストランや農家民泊ができれば中山間地域に経済的メリットもある。魅力をもっと高めて東京一極集中を是正し、いろんな角度から中山間地域を元気にすることが大事だ。
JIJI Press