パリ: 9日に発表された年次報告によると、2023年、世界の海は「何十億ものオリンピックサイズのプールを沸騰させる」ほどの膨大な量の余分な熱を吸収した。
地球の70%以上を占めている海は、産業革命以来、人間活動によって排出された二酸化炭素により発生する余分な熱を90%吸収し、地球の表面を住みやすいように保ってきた。
米国海洋大気庁(NOAA)と中国科学院大気物理研究所(IAP)それぞれの試算によると、2023年の海洋吸収量は2022年より9~15ゼタジュールほど増加した。
エネルギーの1ゼタジュールは、世界の年間発電電力量のおよそ10倍に相当する。
報告書には「毎年、経済を活性化させるため世界全体で約0.5ゼタジュールのエネルギーを消費している」とある。
「別の言い方をすれば、約15ゼタジュールはオリンピックサイズのプール23億個分を沸騰させるほどのエネルギーだ」
国際学術誌Advances in Atmospheric Sciencesの研究によると、2023年、海面水温と海面から深さ2,000mに蓄積されたエネルギー量はどちらも最高値を更新した。
海に蓄積されたエネルギー量は海水温に比べて自然変動による影響を受けにくいため、地球温暖化の重要な指標だ。
膨大なエネルギーが海に蓄積したために、2023年は熱波や干ばつ、山火事が発生し、観測史上最も暑い一年となった。
それは海水が温まれば温まるほど、より多くの熱や水蒸気が大気に移動するためだ。その結果、暴風や大雨などの不安定な天気が増加する。
海水温の上昇は主に地球温暖化によって進み、化石燃料の燃焼によって起こる。
数年周期で発生する自然現象「エルニーニョ」は、南太平洋の海面を温め、その結果世界的に気温が上昇する。最新のエルニーニョ現象は2024年にピークを迎えるとみられている。
反対に、真逆の現象である「ラニーニャ」は定期的に海面を冷やす働きをする。
海水温上昇と海洋塩分の増加(こちらも常に高値)は、もはや混じり合わなくなる層に水が分離する「成層化」のプロセスを促進させる。
これは海洋と大気の間の熱、酸素、炭素の交換に影響し、海洋の酸素損失をはじめ、多方面に影響を及ぼす。
また、科学者らは海洋が人間活動による余分な熱の90%を吸収し続ける長期的な機能について懸念している。
AFP