
ナデル・サモウリ
大阪 : 顧客サービスはまさしく、日本における、とりわけ 1.600 の寺院を擁する、文化の中心で日本の心である京都における、妙技である。
ビジネスに関して言えば、日本人は品質に対する期待が高いかもしれない。例えば、書き言葉による、話し言葉による、そして言葉によらないコミュニケーションには、特有の流儀がある。そのいずれにおいても、小さな間違いが、消費者あるいは供給業者がどのようにビジネスを受け止めるかに影響を与え得る。日本では面目を保つことがほとんどすべてである。これが、日本でビジネスを行うことがほとんど宗教的行為である、という理由だ。
ある意味、この決められた手順は、技という美的形態と見受けられる。しかし、他のことがすべてそうであるように、コインには別の面がある。日本はリスクを嫌う文化の国であり、人々は何よりも安定を好む。このことは、日本のスタートアップの現場について議論する際、言及するに値する日本的価値観である。たいていの日本人は、大きな会社でできるだけ長く働くことを望む。日本の文化的背景に織り込まれたこの性格が、起業家精神の真髄、自発的に不安定なリスクを取ることに反すると思われる課題を突き付ける。
この考え方は徐々に変化している。日本のスタートアップの現場は、ますます花盛りである。ビジネスの世界の境界へと挑み続けるスタートアップが、日本にはおよそ 10,000 社ある、と経産省は公表した。
京都におけるスタートアップのエコシステムについて知る人物と言えば、京都貿易情報センター所長、牧野直史をおいて他にはまずいない。彼は、スタートアップのビザ プログラムを含めたイノベーションの支援に取り組んでいる。
ジェトロ、日本貿易振興機構は、政府関連の機関で、日本と世界各国間における共同の貿易や投資の促進に取り組んでいる。日本に 51、海外に 76 の事務所が設置され、そのうち 5 ヵ所が、ドバイやリヤドといった中東にある。ジェトロは 21 世紀に主に力を入れるのは、外国から日本への直接投資の支援、および日本の中小企業が海外への輸出の将来性を最大限に活用することの促進を目指すことである。
「私たちには、日本にしかない日本の独創性といったものがあります。日本人は、独自のやり方、そして独力で研究開発を行うのです」、と牧野は話した。
日本は、世界から材料を輸入して、その日本版を開発することで知られる。しかし、独創性が日本にしかないものとなってきたと誰が考えただろうか。日本はまたやり遂げたのだ。
牧野は、ドバイでイノベーションが進んでいることに関心を示し、GITEX がドバイで最も重要で、心躍るイノベーション イベントだ、と触れた。ジェトロは、日本のスタートアップ数社とそこで、Japanese Pavilion を出展する。
不幸にも、文化に特有な日本におけるビジネスのエコシステムには、固有のコミュニケーション様式がある。海外の才能を招き入れ、彼らが十分快適に日本でビジネスを行ってくれるようにする際にも、この同じ稀な地域性が関係する。
「日本人が持つリスクを嫌う考え方は、私たちが徐々にしなくなりつつあるものです。そして実際減っています。そのための一つの方法は、できるだけ世界のエコシステムとつながろうとすることです。こうした海外からの寄与により、地域的な考え方は影響を受けています。私たちが創ろうとしているこうした多様性によって、とりわけ京都では、世界的なコミュニケーションというものに直接触れることとなるのです」、と牧野は話した。
他の独創的なものも、海外の起業家を支援するために生み出されてきた。その一つが、スタートアップ・キャピタル京都 (Start-up Capital Kyoto) である。これは、スタートアップ ビザの手配を含め、海外の起業家が京都でビジネスを始める各種の支援を行うものだ。
「日本のスタートアップの現場には、とりわけ東京の外では、言葉の問題があると私は思います。この ( 言葉の ) 壁が、外国人が日本で努力することを難しくしているのです。どんな手順によっても、外国人が円滑にビジネスを行うことは容易ではないのです」、と日系イタリア人の上田セスト (Sesto Ueda) は話した。彼は 2015 年にコンサルタント会社リンクス (LYNX) を創業した。同社は、既存の問題の結果としての支援の溝に対するソリューションを提供する。
上田はまた、京都国際起業家団体 (KIEC) の主催者でもある。KIEC は 2019 年に、イベントのプラットフォームとして、またその名の目的のために発足した。KIEC は全体として、起業家を援助し、その結果、とりわけ外国人が、例えば通訳を依頼する必要なく、会社の拠点を作ることができるように機能するプラットフォームとして設立された。
「数多くの外国人が住む東京においてすら、政府が誰かを手助けするよりは、人々が誰かを手助けするのを目にすることが多いと思います」、と上田は述べた、
また上田は、日本における外国人が所有するビジネスに関して言えば、伝統が息づく中にも変化があるという絶妙なバランス、新しいものが始まりつつも伝統が尊重されるという独特の調和があるのです、と強調した。
例えば、ブルーボトル (Blue Bottle) カフェは、優雅に地元文化に浸透しながら、非常に近代的装いを持つ。新しい種類のコーヒーを紹介するために地元文化と相対する代わりに、京都、南禅寺の日本の町屋ではコーヒーを展示して、既存の日本式のコーヒー店、喫茶店に敬意を払った。文化を取り込み、その豊かな歴史を大切にしたのだった。
別の例として、京都のリッツ・カールトン ホテルがある。同ホテルは、日本的な外見と印象を備えた独特のデザインを創り出した。彼らがそうするのは地元に敬意を払うためで、それゆえ周辺地域との折り合いは良好であった。この結果、ホテルは、京都で訪れるべき、第一級の国際的なラグジュアリーホテルとなった。
「京都では特に、ある意味で、正しいスタートアップのやり方というものがあります。バランスが取れていない場合には、ビジネスを進めるのは至難の業でしょう。京都では、「三方よし」として知られる精神を守ります。これは、ウィン – ウィン – ウィン という状況、三者とも満足であることを意味します。売り手にとって、買い手にとって、そして社会にとって良いことをする、ということです」、と上田は詳しく話した。
最後に、牧野は次のように話して締めくくった。今日、外部からの影響により、変化に向けた一定の圧力を受けています。京都という街は、観光客の訪問に依存してきました。現在世界に向けて紹介するには、技術を使わなければなりません。京都の魅力とその繊細な産物をコンピューター上で推薦する計画を進める理由がここにあります。魅力的で伝統的な装いのバーチャル ショップ (this virtual shop) はその一例です。また、人工知能はオンライン上の人などのデータを分析する手段でもあります。