
第75回カンヌ国際映画祭は最終日の28日夜(日本時間29日未明)、授賞式を開き、是枝裕和監督(59)初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」に主演した韓国人俳優ソン・ガンホさん(55)がコンペティション部門の最優秀男優賞を受賞した。また、「PLAN 75」の早川千絵監督(45)にカメラドール(新人監督賞)の特別表彰が贈られた。
是枝監督の作品では、2004年の「誰も知らない」でも柳楽優弥さんが最優秀男優賞を受賞している。今年の最高賞パルムドールは「トライアングル・オブ・サッドネス」(リューベン・オストルンド監督)。
「ベイビー・ブローカー」は韓国を舞台に、親が育てられない新生児を匿名で預ける「赤ちゃんポスト」をめぐる人間模様を描いた。日本では6月24日に公開される。
新生児を売買するブローカーを演じたソンさんは「素晴らしい栄誉。偉大な監督である是枝監督にも感謝します」と語った。是枝監督は記者団に「作品にとって最高のゴール」と受賞をたたえた。
ソンさんは「シュリ」「殺人の追憶」などに出演。米アカデミー賞4冠に輝いた「パラサイト 半地下の家族」でも主演した。
早川監督は、75歳以上が自らの生死を選択できる制度をめぐって翻弄(ほんろう)される人々を描いた初の長編「PLAN 75」で、先鋭的な作品が対象の「ある視点」部門に参加した。主演は倍賞千恵子さん。公開は6月17日。
早川監督は「今を生きる私たちに必要な映画と言ってくれた方がいた。その言葉が心に深く響いている」と感謝した。1997年には「萌の朱雀」で河瀬直美監督がカメラドールを受賞している。
時事通信