

日本の春日部:気候変動が進んでいるので、専門家たちはリスクが高まっていると警告する…壊滅的な洪水から、これは東京とその周辺地区を守る責任を負っている洞窟のような複合施設で、日本の地下「パルテノン宮殿」と呼ばれている。
地上からでは、春日部の洪水を防ぐためのタンク、メインの調圧水槽を形成する大聖堂のような土木工学技術の粋を集めたもの、この種のものでは世界最大の施設の正体が明らかになることはほとんどない。
この巨大な構造物は…自由の女神をスッポリ入るほど深い立坑がいくつかあり…荒天と台風による過剰な水を流し込み、流す方向を変え、世界の最も人口密度の高い都市の1つを守っている。
天井まで伸びている重さ500トンの柱のそれぞれが、サッカーグラウンド2つ分の長さのむき出しのコンクリートのタンク、メインの調圧水槽を支えている。
東京の北隣、埼玉のこの施設のスタッフは、とりわけ日本の梅雨時と台風シーズンの6月から10月下旬まで、警戒態勢を続けている。
「この地域では、集中豪雨、台風、そして日常的に降る雨でさえ、家屋や道路を浸水させて、被害を起こす可能性があります」と、この施設の秋山信之管理支所長はAFP通信に語った。
この調圧水槽は近隣地域で、水害の被害を受ける家屋数をおよそ90パーセント減らす役に立っている、と秋山氏は語った。
東京のみにおいても…100以上の川が流れていて…他にも地下調圧水槽が10カ所あり、洪水を流すトンネルが3カ所あり、さらなる洪水を防ぐ構造物も建設中だ。
そして、西日本の大阪では、春日部の調圧水槽に似た洪水を防止する施設が3,660億円の費用で建設中だ。建設工事は2044年に完了予定だ。
しかし、以前は100年に1度しか来なかった暴風雨が、今やますます多発し、壊滅的になっているので、もっと多くの施設が必要ではないか、と専門家たちは警告している。
「日本の…気象状態は洪水や豪雨が頻繁に起きる傾向にあります」と、東京大学の気象学教授で、流域決壊の専門家、吉村圭氏は語った。
“「しかし、これに加えて、今や地球温暖化が進行しています」と、吉村教授はAFP通信に語った。
最近、梅雨時と台風シーズンには、いつも被害が生じている。
大規模洪水と土砂災害で、今年7月に西日本で80人以上が死亡した。そして、昨年の台風では、東日本で100人近くが死亡した。
日本の気象庁が、年間に東京を襲う台風の数は、この40年で1.5倍に増えたと述べている。
春日部の調圧水槽は6.3キロメートル(4マイル)のトンネルとつながっており、このシステムはジャンボジェット機のエンジンの力で、1秒当たり25メートル(83フィート)のスイミングプールの水を排出する速度と同程度で、溜まった水を近くの江戸川へ排出することができる。
2,300億円(22憶ドル)の費用で、2006年に建設されたこの施設は、年間7度ほど稼働する。
余剰水は自動的に流れ込み、メインの調圧水槽が満杯に近づけば、オペレーターが排水ポンプで水を送り出す、と秋山管理支所長は語った。
今年この施設は9月までに既に7度稼働し、通常の長い梅雨の時期の後も、水を2度排出した。
公式な調査は、この1つの施設で現在のところ、災害処理対策費1,480億円を節約できると評価している。
日本の洪水防止システムは世界に通用すると考えられていて、この国は第二次世界大戦の後、いくつかの大きな災害から苦い教訓を得てきた。
しかし、吉村教授をはじめとする専門家たちは、とりわけ気候変動が進んでいるので、インフラ施設だけでは十分ではないと述べており、日本の当局は近年市民に、要請があれば、早い時期に自宅から非難するように声をかける努力を積み重ねてきた。
春日部のシステムは稼働していないとき、災害対策の重要性について理解を深めてもらうための一環として、見学者を受け付けている。
「この地下施設は素晴らしいものですが、唯一の防御手段なのです」と、最近見学会に参加した年金生活者、タマイ・トオルさん(79歳)はAFP通信に語った。
「私は低い土地に住んでいますので、洪水は他のどんな災害よりも、明白かつ現在の危機なのです」と、タマイさんは付け加えた。
「結局、自分自身以外、誰も頼ることはできないのです」
AFP通信