
法務省は19日、2020年中に新たに救済手続きを開始した人権侵犯事案の件数を発表した。全体では9589件で、このうち新型コロナウイルス感染症に関連した差別、嫌がらせなどの事案は175件あった。
内訳は感染者やその家族への不適切な発言といった「差別待遇」が74件と最多。次いで「プライバシー」が41件、職場での嫌がらせなどの「労働権関係」が32件だった。
インターネット上の人権侵害情報について、被害者の申告に基づいて人権擁護機関からプロバイダーなどに削除要請した件数は、前年比約46%増の578件で過去最多となった。
9589件という20年に救済手続きが始まった人権侵犯事案の総数は、前年と比べ5831件の大幅な減少。統計を取り始めた01年以降最少となり、初めて1万件を下回った。この背景について法務省は、新型コロナ感染拡大の影響で人権擁護機関による学校での啓発活動や対面相談ができなかったことがあるとみている。
JIJI Press