
米国は、インド太平洋地域で中国が自己主張を強めていることに対抗するため、アジアのパートナーとの軍事的・経済的関係を拡大すると、14日、米国のアントニー・ブリンケン国務長官が述べた。
ブリンケン国務長官は、バイデン政権はこの地域の平和と繁栄の維持に全力を注いでおり、米国の同盟関係を強化し、新たな関係を構築し、米軍の「競争力」の維持を確かなものにすることでその実現を図ると述べた。
「脅威は増大しており、我々の安全保障のアプローチもそれと共に進化しなければならない。そのためには、我々の最大の強みである同盟関係やパートナーシップに頼ることになる」と、ブリンケン国務長官は、インドネシアでの演説で述べ、政権のインド太平洋計画の概要を説明した。
「我々は、外交、軍事、情報などの国力のあらゆる手段を、同盟国やパートナーのそれとより密接に組み合わせる戦略を採用することになる」と、長官は述べた。これには、米国とアジアの防衛産業をつなぐことや、サプライチェーンの統合、技術革新での協力などが含まれると、長官は述べた。
「これはつまり、我々がこの地域で何十年にもわたって行ってきたように、平和を維持できるよう、我々の強みを強化することだ」と、長官は述べた。長官はさらに詳しくは説明しなかったものの、政権は今年これまでに、オーストラリアが原子力潜水艦を製造する協定に合意したことで、波風を立てている。
ブリンケン長官は、米国は各国に米中のいずれかを選択させたり、中国との対立を求めたりしているわけではないと主張した。しかし、長官は「北東アジアから東南アジア、メコン川から太平洋諸島に至るまで」の「中国政府の攻撃的な行動」に対する数々の不満を並べた。
ブリンケン長官は、東南アジア3ヵ国を1週間の日程で歴訪する最初の行程で、インドネシアに滞在しており、マレーシアとタイも訪問する予定だ。この地域、特に南シナ海、香港において、また台湾に対して、中国が自己主張を強めていることに対抗することが、長官の重要な議題となっている。
「この地域の国々は、この態度が変わることを望んでいる」と、ブリンケン長官は述べた。「我々もそうだ」
「我々は断固として、南シナ海での航行の自由を確保する」と、長官は述べた。「我々が台湾海峡の平和と安定に変わらぬ関心を持っているのもそのためだ」
ブリンケン長官は、米国は、オーストラリア、日本、フィリピン、韓国、タイなどのこの地域の条約に基づく5つの同盟国と「より強固なつながりを構築」し、これらの国々との間の関係を強化し、多くの加盟国が中国に脅威を感じている東南アジア諸国連合とより強固なパートナーシップを築いていくと述べた。
「強固で独立したASEANは長年、緊急の危機や長期的な課題に対処する中心的な存在となってきた」と、ブリンケン長官は述べ、特に、ビルマとしても知られるミャンマーの軍指導者が2月に政権を掌握し、その後デモ隊を弾圧したことを非難した。
「我々は引き続き同盟国やパートナーと協力して、無差別の暴力をやめ、不当に拘束されている全ての人々を釈放し、制約なき立ち入りを認め、ビルマが包摂的な民主主義の道を再び歩めるようにするよう、体制に圧力をかける」と、長官は述べた。
ブリンケン長官はまた、インド太平洋諸国へのコロナウイルスワクチンの提供や、気候変動と闘い、これに対処する各国の取り組みの支援に、政権が責任を持って取り組んでいることも評価した。
ブリンケン長官は、今回の外国訪問を、ウクライナをめぐりロシアに厳しい警告を発したG7外相会合の開催地の英国からスタートさせたが、発言はインド太平洋と中国に限定した。
ブリンケン長官は、13日にインドネシアに到着してすぐに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の最側近であるニコライ・パトルシェフ連邦安全保障会議書記が、安全保障会議のため、既にジャカルタ入りしていることを知ることとなった。
AP通信