
ニューデリー時事:岸田文雄首相は19日午後(日本時間同)、インドのニューデリーでモディ首相と会談した。両首脳はロシアの侵攻が続くウクライナ情勢について協議し、「力による一方的な現状変更はいかなる地域でも許してはならない」と確認した。
岸田氏は会談後の共同記者発表で、ウクライナ情勢について「インドと連携し、戦闘の即時停止と対話による事態の打開に向けた働き掛けを進めたい」と強調。会談ではモディ氏に対し、「ロシアによる侵略には毅然(きぜん)と対応することが必要だ」と伝えた。
岸田氏は共同記者発表で「世界は国際秩序の根幹を揺るがす事態に直面している。こうした状況だからこそ『自由で開かれたインド太平洋』実現に向け、緊密に連携していく重要性が格段に増している」と指摘した。
インドは伝統的にロシアと友好関係にあり、先の国連総会での対ロ非難決議は棄権した。共同記者発表でもモディ氏がロシアに直接言及することはなく、日印や両国に米国、オーストラリアを加えた「クアッド」の枠組みで「インド太平洋」構想実現に連携して取り組むとした。
両首脳はまた、中国を念頭に、同構想実現への取り組みの推進と、東・南シナ海での現状変更の試みや経済的威圧に反対することで一致した。
安全保障分野では、2019年11月以来2回目となる日印外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の早期開催で合意した。
岸田氏は、今後5年間で日本がインドに5兆円を投資する目標を表明した。
両首脳の対面による会談は初めて。日印は首脳による年1回の相互訪問を続けていたが、新型コロナウイルス感染拡大などの影響で、18年10月のモディ氏来日を最後に往来が途絶えていた。
◇日印首脳会談ポイント
一、力による一方的な現状変更はいかなる地域でも許してはならない
一、「自由で開かれたインド太平洋」実現へ緊密に連携
一、日本が今後5年間でインドに5兆円投資
一、日印2プラス2を早期開催
時事通信