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解説:日本が防衛力を強化する理由とその予算

2022年5月25日、日本海上空を飛行中の自衛隊のF15戦闘機3機(手前)、米軍のF16戦闘機4機(奥)写真提供:自衛隊統合幕僚監部(ファイル/AP)
2022年5月25日、日本海上空を飛行中の自衛隊のF15戦闘機3機(手前)、米軍のF16戦闘機4機(奥)写真提供:自衛隊統合幕僚監部(ファイル/AP)
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18 Dec 2022 12:12:06 GMT9
18 Dec 2022 12:12:06 GMT9

日本政府は今週、敵の攻撃を先制する「反撃」能力を保有する決意と、中国、北朝鮮、ロシアによるリスクの増大から自国を守るため、より攻撃的な地盤を築き、回復力を高めるための支出を倍増することを盛り込んだ、新たな国家安全保障戦略を採択した。この新戦略は、第二次世界大戦後の日本の専守防衛政策に歴史的な変化をもたらすものだ。ここでは、日本の新たな安全保障・防衛戦略と、それが日本の防衛態勢をどのように変えようとしているのかをご紹介する。

反撃能力
国家安全保障戦略の最大の変化は、日本が「不可欠」とする「反撃能力」の保有である。日本は、今後約10年で「自国への侵略をより早く、より遠距離で阻止・撃退する」能力を獲得することを目指している。
これにより、1956年に示された、敵基地攻撃能力については棚上げし憲法上の最後の防衛手段としてのみ認めてきた政府方針に終止符が打たれたのである。
日本政府は、自国に対するミサイル攻撃が「明白な脅威」となっており、現在の迎撃ミサイルに依存したミサイル防衛システムは不十分であると述べている。北朝鮮は日本の上空を通過するミサイルを含め、今年だけで30回以上ミサイルを発射し、中国は日本列島南方海域に弾道ミサイルを発射した。
日本政府は、敵の攻撃が差し迫っている兆候に対応する場合、反撃能力の使用は合憲であるとしているが、専門家は、先制攻撃の非難を受けるリスクなしにそのような攻撃を行うことは非常に困難である指摘している。反対派は、攻撃能力は日本の平和主義の原理を持つ憲法の下での自衛の範囲を超えるとしている。
リベラル派の朝日新聞は「(日本の)専守防衛政策は空洞化している」と報じた。

防衛費の倍増
日本は2027年までに防衛費をGDPの約2%、総額約43兆円(3,200億ドル)に倍増させることを目標としている。新しい支出目標額はNATOの基準に従っており、最終的に日本の年間予算を約10兆円(730億ドル)に押し上げることになる。これは、米国と中国に次いで世界第3位となる。
岸田氏は、政府は毎年4兆円(300億ドル)の追加予算が必要であり、その4分の1を賄うために増税を提案すると述べた。与党が不足分の支払い方法を議論し続ける中、同氏の増税要求は裏目に出て、5年間の防衛力増強計画は十分な資金計画なしに発表されなければならなかったのである。

長射程ミサイル
今後5年間で、日本は2026年の配備開始を計画中の長距離ミサイルに約5兆円(370億ドル)を投じる予定だ。日本政府は米国製のトマホークと統合空対地ミサイルを購入し、日本の三菱重工が12式地対艦誘導弾を改良・量産化する予定である。日本の防衛当局者は、トマホーク購入の詳細についてまだ最終調整中であると述べた。
また、2035年の配備を目指して日本が英国やイタリアと開発している次期戦闘機F-Xと連携できるよう、極超音速兵器や無人機・マルチロール機など、他のタイプの兵器も開発予定である。
複数のスタンド・オフ・ミサイル部隊が非公開の場所で準備中だ。

サイバーセキュリティ
日本はサイバーセキュリティや諜報能力が十分でないため、意図したターゲットに長距離巡航ミサイルを発射するには、こうした分野で米国に大きく依存せざるを得ないと専門家は指摘する。
「サイバーセキュリティが確立できなければ、自衛隊の優位性や日米の相互運用性を達成することは難しい」と、同じく16日金曜日に採択された5カ年防衛計画では、自衛隊と日本の防衛産業におけるサイバーセキュリティを確保する必要性を認めている。
戦略国際問題研究所(CSIS)の上級顧問兼ジャパンチェアのクリストファー・ジョンストン氏によれば、日本政府のサイバーセキュリティの脆弱さは、「同盟協力の強化や情報共有の拡大において決定的な障害」であったため、これは米国にとって歓迎すべき進展である。
日本は今後5年間で8兆円(580億ドル)をサイバーセキュリティや宇宙分野を含めた領域横断(クロス・ドメイン)の防衛に費やす予定である。

中国を「最大の戦略的挑戦」に「戦後最も厳しく、最も複雑」と言われる地域の安全保障環境に対する懸念が、日本の戦略改訂の原動力となったのである。
中国は、急速に軍備を増強し、ますます積極的に軍事行動を行い、米国への対抗意識を持ち、日本と国際社会の平和と安全に対して「前例のない、最大の戦略的挑戦」を行っていると、同戦略は述べている。
ロシアのウクライナ戦争を契機に台湾有事への懸念が高まり、今後5年をめどに日本の抑止力を強化する動きが加速している。北朝鮮が核・ミサイル能力を高め続ける一方で、最大の脅威は依然として中国であり、日本は「北朝鮮の脅威を隠れ蓑に」準備を進めなければならなかったと、日本海軍の元海上幕僚長である武居智久氏は語った。

AP

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