
ジェッダ:3日に公開された厳しい内容の報告により、ダマスカスにあるシリアの軍事病院では囚人らが日常的に虐待、拷問を受け、放置されて死亡していたことが明らかになった。
病気の治療のために拘置所からティシュリーン軍事病院に送られた囚人が医療処置を受けることは稀だった。実際には、治安部隊さらには医療および管理スタッフまでもが拘留者に対して身体的、心理的暴力を含めた「残忍な拷問」を行っていた。
トルコの監視団体「セドナヤ刑務所拘留者・行方不明者協会」(Association of Detainees and the Missing in Sednaya Prison)のこの報告は、2011年から2020年まで続いたシリア内戦発生当初からの虐待を調査したものだが、報告書の著者らはこうした行為の多くが現在まで続いているとの考えを述べた。
この報告によると、病院に到着した囚人はまず「拘留者の遺体が集められている部屋」に拘留され、病気の拘留者は囚人の遺体の移送を手伝うよう強制されていたという。
検視は行われず、病院は「嘘の情報を記載した死亡証明書」を発行し、心臓発作、腎不全、脳卒中を死因として記載することが多かったという。場合によっては、「瀕死の重体」に陥っている囚人が遺体と共に放置されて死亡、または殺害されることもあった。
虐待の生存者の1人である43歳のアブ・ハムザ氏は、収監中に3回ティシュリーン軍事病院に拘置されたが、医師の診察を受けたのは1度だけだったという。「多くの人間が戻って来なかったので、囚人たちはあの病院に行くことを恐れていました」ハムザ氏はそう語る。「病状が深刻な者は病院の留置場に放置されて死んでいきました」
同報告によると、刑務官が病状の深刻な拘留者を殺害する、あるいは囚人らが殺害を命じられることもあったという。
ティシュリーン軍事病院は「人為的な失踪、拷問の隠蔽、死因の捏造、その他の虐待といった人道に対する罪における中心的役割」を担っていると、同監視団体の共同創設者であるディアブ・セリヤ氏は述べた。