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サヌアのレーダー基地、米国による武装組織フーシ派への追加攻撃の標的に

米国主導の連合軍に参加し、イエメンの軍事目標に空爆を行うために離陸する航空機。(AFP/ファイル)
米国主導の連合軍に参加し、イエメンの軍事目標に空爆を行うために離陸する航空機。(AFP/ファイル)
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13 Jan 2024 09:01:59 GMT9
13 Jan 2024 09:01:59 GMT9
  • 「米英の敵が首都サヌアを何度も攻撃している」とアル・マシラテレビが報じた
  • 「フーシ派がこのような非道な行動を続けるならば、我々は必ず反撃する」とバイデン大統領は警告

リヤド:米軍と親イラン武装組織フーシ派の公式メディアの双方が13日、米軍がイエメンにあるフーシ派のレーダー基地に対して追加攻撃を行なったと発表した。

米中央軍(CENTCOM)の声明によると、今回の攻撃は、フーシ派による海上船舶への攻撃能力を低下させるために、レーダー基地を標的にしたという。

「今回の攻撃は、対地攻撃用ミサイルのトマホークを使用してUSSカーニー(DDG 64)によって実施された。これは、商業船など海上船舶へのフーシ派の攻撃能力の低下を目的とし、1月12日に実施された攻撃と関連する特定の軍事目標に対する後続攻撃である」と、CENTCOMはX(旧Twitter)に声明を投稿した。

今回の攻撃はイエメンの現地時間13日早朝の行われた。

フーシ派系のアル・マシラテレビも、攻撃はイエメンの反政府勢力が支配する首都サヌアにあるアル・ダイラミ基地を標的にしたと報じた。

「米英の敵が首都サヌアを何度も攻撃している」と、アル・マシラテレビは、サヌアの特派員の報告を引用してX(旧Twitter)に投稿した。

「米英による攻撃は首都サヌアのアル・ダイラミ基地を標的としている」と付け加えた。

今回の攻撃の前日にも、紅海を航行する船舶を数カ月にわたり攻撃しているフーシ派への報復として、米国と英国の戦闘機、船舶、潜水艦がイエメンの数カ所に対し一晩で数十回の攻撃を行っていた。

フーシ派指導者らが報復を表明していたが、ジョー・バイデン米大統領は12日早朝、世界有数の経済的に極めて重要な水路である紅海を航行する商船や軍艦への攻撃をやめなければ、さらなる攻撃を指示する可能性があると警告していた。

「フーシ派がこのような非道な行動を続けるならば、我々は必ず反撃する」と、バイデン氏は12日、訪問先のペンシルベニアで記者団に語った。

イエメン時間の12日未明、首都サヌアとイエメン第三の都市タイズの各空港付近にある軍事基地、イエメンの紅海側の主要港ホデイダにある海軍基地、沿岸部ハッジャ州の軍事拠点で爆発があったと目撃者が証言した。

米政府のジョン・カービー報道官は、今回の攻撃は、フーシ派が紅海の航行を脅かすためにここ数カ月使用してきたミサイルやドローンの保管、発射、誘導する能力を標的にしたと述べた。

米国防総省は、米英による攻撃により、フーシ派が再攻撃する能力を低下させたと述べた。米軍の発表によると、28拠点の60カ所の標的が攻撃を受けた。

10年近くイエメンのほとんどを支配しているフーシ派は、戦闘員5名が殺害されたと発表し、この地域の航行船舶への攻撃を継続すると表明した。

英国海事貿易業務局の情報ハブによると、イエメンのアデン港から南東約90カイリを航行する船舶から、約500メートル(1,600フィート)先の水域にミサイルが着弾したという報告を受けたという。

海洋警備会社アンブリーは、その船舶がロシア産の石油を積んだパナマ船籍のタンカーであると特定した。

フーシ派系のアル・マシラテレビのドローン映像には、サヌアの数十万人の市民がイスラエルと米国を非難するスローガンを唱和している様子が映っていた。

「イエメンへの攻撃はテロ行為である」と、フーシ派最高政治評議会のメンバーであるモハメド・アリ・アル・フーシ氏は主張。「米国は悪魔だ」とも言った。

バイデン政権は2021年、フーシ派を国務省の「外国テロ組織」の指定から解除した。バイデン氏は記者団から、現在のフーシ派の動きについて、現時点で「テロ組織」という言葉があてはまると思うかと問われて、「あてはまると思う」と答えた。

波及

紅海が危険になっているのは、ひとつは、パレスチナの飛び地であるガザ地区におけるイスラエルとイランが後ろ盾のイスラム主義勢力ハマスとの間の紛争により、この地域に暴力が波及しているためだ。

過激派組織ハマスは10月7日、イスラエル南部一帯に奇襲をかけて1200人を殺害し、240人を人質として拘束した。イスラエルはガザ地区の大半を破壊することで報復し、ハマスを殲滅しようとしている。これまでに2万3000人以上のパレスチナ人が殺害された。

英国王立防衛安全保障研究所の中東の安全保障が専門のトビアス・ボルク氏は、フーシ派は自らをパレスチナの大義の擁護者であるかのように見せたがっているが、一番の関心事は権力の維持であると指摘した。

リンダ・トーマス=グリーンフィールド米国連大使は国連安全保障理事会で、イエメンへの攻撃を擁護し、「商船など航行船舶に対して見境なく攻撃を続けるフーシ派の能力を混乱させ、低下させる」ことが目的と述べた。

ワシリー・ネベンジャ露国連大使が先に、米国と英国が「独断で(ガザでの)紛争をこの地域全体に波及させる引き金を引いた」と非難していた。

カービー氏は、「イエメンと戦争する気はない」と述べた。

数百万もの人々を飢餓寸前にまで追い詰めた10年近く続いた内戦から、なんとか抜け出そうとしている貧困国の市民は、新たな紛争の拡大を恐れて、ガソリンスタンドに列を作り並んでいた。

原油価格の高騰

ブレント原油価格は12日、供給混乱への懸念から2ドル超上昇したが、その後上げ幅の半分を戻した。

バイデン氏は12日、中東における戦闘が原油価格に与える影響を「非常に懸念している」と述べた。

商業船舶追跡データにより、少なくとも9隻の石油タンカーが紅海に停泊または紅海を迂回していることが判明した。

今回の攻撃により、商船はより時間と費用がかかるアフリカ廻りの航路をとらざるを得ず、インフレやサプライチェーンの混乱が新たにおきるのはないかという懸念が持ち上がっている。今週、世界の主要航路のコンテナ輸送料金が急騰した。

フーシ派の戦闘員がイスラエルの船またはイスラエルに向かっていたと主張する複数の船舶に乗り込み襲撃してから数カ月が経ち、今回の攻撃となった。その多くがイスラエル関連船舶かどうかは不明である。

米国と一部の同盟国は12月に海軍特別部隊を派遣したが、ここ数日で事態はどんどんエスカレートしている。米国と英国は9日、21発のミサイルとドローンを撃墜した。

しかし、米国の主要な同盟国すべてがイエメン国内への攻撃を支持しているわけではない。

オランダ、オーストラリア、カナダ、バーレーンは後方支援と情報支援を提供。ドイツ、デンマーク、ニュージーランド、韓国は攻撃について擁護するが、さらなる行動については警告する共同声明を出した。

一方、イタリア、スペイン、フランスはさらなるエスカレーションを恐れて、共同声明にも攻撃にも参加しない選択をした。

あるアメリカの高官は、フーシ派に攻撃を実施できる軍事能力と軍事情報を提供しているとしてイラン政府を非難した。イランは今回の攻撃を非難したが、イランが直接戦おうとする兆候は現時点ではない。

イランのホセイン・アミール・アブドラヒアン外務大臣は、米政府はイスラエルへの「軍事・安全保障の全面的協力」をやめることで「地域全体の安全を回復」できると述べた。

ロイター、AFP

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