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エジプト、パレスチナ難民収容に利用できる緩衝地帯をガザ境界に用意=関係筋

エジプトはパレスチナ人の移住を繰り返し拒絶している。(AFP)
エジプトはパレスチナ人の移住を繰り返し拒絶している。(AFP)
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17 Feb 2024 01:02:33 GMT9
17 Feb 2024 01:02:33 GMT9

イスラエルによるラファへの攻勢により、パレスチナ人が国境を越えて脱出する事態となった場合に備え、エジプトは、ガザ境界にパレスチナ難民を収容できる緩衝地帯を用意しているという。関係筋4人が明らかにした。関係筋の表現によれば、今回の措置はエジプトが不測の事態に備えて動いたものだという。

エジプトはそうした準備はしていないと否定しているが、イスラエルの破壊的なガザ攻撃によってパレスチナ人がシナイ半島に流入する可能性について繰り返し警鐘を鳴らしてきた。ヨルダンなどのアラブ諸国と同様に、エジプトはそうした事態はまったく受け入れられないと表明している。

アメリカは、パレスチナ人がガザから移住することには反対だと繰り返し主張している。
関係筋の一人によると、エジプトは停戦に向けた話し合いでそうした状況は避けられると楽観視しているものの、念のため一時的な措置としてこうした場所を境界付近に設けているのだという。

治安当局筋3人は、パレスチナ難民収容に利用でき、基本的な施設を備えた砂漠の緩衝地帯をエジプトが準備し始めたと明かしたが、これは不測の事態に備えた措置であると強調した。

ロイター通信がこの記事のために取材した関係筋は、この問題が機密に関わるとして名前を明かさなかった。

イスラエルは、ラファにあるハマスの「最後のとりで」を破壊するために攻撃を開始すると発表した。ラファには、100万人を優に超えるパレスチナ人が破壊的なガザ攻撃から身を守るために避難している。

イスラエルによれば、ラファからガザ地区の他の区域に市民を避難させる計画を国防軍が策定しているという。

しかし、マーティン・グリフィス人道問題担当国連事務次長は15日、ガザの人々が安全な場所に避難できると考えるのは「幻想」だと述べ、イスラエルがラファで軍事作戦を開始した場合、パレスチナ人がエジプトに流出する可能性があると警鐘を鳴らした。

グリフィス事務次長はこのシナリオを「ある種エジプトの悪夢」と表現した。

エジプトはガザからのパレスチナ人の移住に反対しているが、これを「ナクバ(大惨事)」の再来に対してアラブ諸国が広く共有する拒否反応と関連付けている。ナクバの際には、1948年のイスラエル建国を巡る戦争で約70万人のパレスチナ人が故郷を追われ、避難した。

最初に言及した関係筋によれば、キャンプの建設は3、4日前から始まっており、人々が国境を越えた場合に「解決がなされるまで」一時的な避難所を提供するものだという。

関係筋の証言について質問を受けたエジプト国家情報局の長官は以下のように回答した。「事実無根だ。パレスチナの兄弟たちもエジプトも、そうした想定に対しては何の準備もしていないと表明している」

活動家団体のシナイ人権財団は12日、この地域で作業する建設トラックやクレーン車だとする画像や、コンクリートの壁の画像を公開した。

シナイ人権財団は、匿名の情報源を引用して、この工事はパレスチナ人が大量に脱出した場合に備えて安全な緩衝地帯をつくるためのものだと主張した。

ロイター通信は、映像の一部の撮影場所がラファであると確認が取れた。建物、木々、フェンスの位置が衛星写真と一致したためだ。

ロイター通信は、映像全体の撮影場所や撮影日については確認を取ることができなかった。

イスラエルの対外関係、緊張高まる

国連機関UNRWAによると、現在ラファには約150万人のパレスチナ人が暮らしており、これはガザ地区の人口の半分を超えている。

イスラエルは、ハマスをせん滅するためにラファにまで攻撃を拡大する必要があると主張している。ハマスは10月7日の攻撃を首謀した組織で、イスラエルの集計によれば、この攻撃で1200人がイスラエルで死亡し、さらに250人が拉致された。

ハマスが支配するガザの保健省によれば、イスラエルによるガザ攻撃ですでに2万8000人以上が死亡しているが、ラファに避難している人々の命運は、イスラエルの西側同盟国を含めて国際的な関心事となっている。

ジョー・バイデン米大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、イスラエルはラファに避難している人々の安全を確保する計画を立てずにラファでの作戦を進めるべきではないと述べた。

アメリカの国務省報道官は次のように語った。「大統領は、パレスチナ人のガザからの強制退去を支持しないと明言している。アメリカは、エジプトにあるパレスチナ難民のキャンプには資金拠出を行っていない」

ネタニヤフ政権は、ラファからの避難計画を策定するよう軍に命じた。しかし依然として計画は発表されていない。

ネタニヤフ首相は、ABCニュースのインタビューで、軍が確保したラファの北にある地域に避難することが可能だと語った。

イスラエルのアビ・ディヒター農業・地方開発相は14日、避難は「軍事上の問題」であって、イスラエル軍が避難方法について把握していると述べた。

イスラエル軍ラジオ放送へのコメントで、ディヒター農業相は「ラファの西側には十分な土地がある」と語り、アル・マワシの名前を挙げた。アル・マワシは、攻撃の初期にイスラエル軍が市民に避難を促した海岸沿いの地域だ。

ガザ紛争により、エジプトとイスラエルの関係に緊張が生じている。両国は1979年に平和条約を結んだ。

元エジプト外相のアフマド・アブルゲイト・アラブ連合事務総長は今週(2月11日週)初め、イスラエルの行動により、エジプトやヨルダンとの協定の継続性が脅かされていると述べた。これは両国が結んだ平和条約に言及したものだ。

エジプトのサーミフ・シュクリー外相は2月12日、エジプトは40年間協定を維持しており、双方が協定を守る限り今後もそれは変わらないだろうと述べた。

ロイター

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