
ナジア・フサリ
ベイルート:ヒズボラとアマル運動は木曜日に、国内党派の間で大臣職を持ち回りにして権力を持つ党派とは無関係な非政治的実務主義者たちによるレバノン政府を樹立させようとのフランスの構想を、阻止しようとした。
ヒズボラ議会ブロックは、「現段階の義務を遂行するレバノン政府を樹立するためのすべての取り組みに対して、アメリカが極めて悪質な役割」を担っているとの見解を示した。
ヒズボラは、米国財務省による「レバノン公職者に対する第2の包括的制裁」の発表と時を同じくしてこの立場を示してきた。
新たな制裁には、ヒズボラの執行委員会委員長ハシェム・サフィディン氏も含まれており、彼の資産や所有権が差し押さえられたほか、レバノン国内の建設会社であるアーチ・コンサルティングとミーマル・コンストラクションの2社にもヒズボラとの関係があるとの理由で制裁が課された。
ヒズボラ議会ブロックは、「政府を樹立しようとしている者たち」の中には、「首相の指名に当たり各議会ブロックに相談することを妨害し、各議会ブロックが自らの大臣を指名するのを妨害し、我々から金融ポートフォリオを取り上げることでバランスをかき乱した後、他の議会ブロックの決定権を没収しようとする者からの保護を受けている者たちがいる」と糾弾した。
サード・ハリリ元首相に近い情報筋は次のようにアラブニュースに語った。「ハリリ氏の姿勢は当初から明確であり、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が9月初旬にレバノンにもたらした構想の要点にも合致した、非政治的実務主義者によるレバノン新政府の樹立と大臣職を持ち回りにするというものです。大臣職の交代を含むこれらの条件については、すべての政党が同意しました。この承認の意向についてはヒズボラとアマル運動からも、ムスタファ・アディブ新首相に伝えられました」
フランスの構想を維持しようとの取り組みで内外のコミュニケーションは激化した。ヒズボラとアマル運動の2名の代表者がアディブ首相と会談した。国民会議議長補佐官のアリ・ハサン・ハリル元財務相は会談後、自身とヒズボラ代表者は「レバノン駐在フランス大使の邸宅にて合意した際に新首相に対して、我々は全党員とともにフランスの構想を支持すると伝えました」と述べた。
ヒズボラとの繋がりや汚職により最近米国の制裁対象にされたハサン・ハリル氏は、「アディブ氏との対話のドアは引き続き開かれていますが、財務大臣については選択する候補者を我々がアディブ首相に提案することを主張します」と述べた。
財務省の権限には、政府改革計画、レバノン中央銀行運営の命運決定、および同銀行の法定監査、資本規制法案なども含まれる。フランス側はアディブ氏の首相任命や新政府樹立プロセスを見守ってきたが、マクロン大統領が2週間と設定した新政府樹立の期限が切れた後、さらに2日間期限を延長した。この2週間は財務大臣の問題が解決に至らないまま過ぎていた。
ミシェル・アウン大統領は2日をかけて問題解決に向けて各議会ブロックと協議したが、状況は依然として変わっていない。
アディブ首相の情報筋は、首相に与えられた任務は「レバノンの政治勢力の過半数の同意を得ることでした」と裏付けた。「目指すところは、優位な意見に立つことでも、議会ブロックのひとつをターゲットにすることでもなく、実務的な新政府を樹立することでした。他の提案はどれも新政府にそれとは別のやり方を取ろうとするもので、私が与えられた任務とは相容れないものでした」と彼は述べた。
協議に密接に関わった情報筋はアラブニュースに語った。「問題は、米財務省がナビハ・ベリ国民議会議長の補佐官を務めるアリ・ハサン・ハリル元財務相への制裁を発表した後に複雑化しました。ベリ氏は、この動きは自分を標的にしたものだと考えています。大臣職を持ち回りにするという案は、ヒズボラとアマル運動が推す強力な候補者を退け、政府内での彼らの勢力を弱体化させるためのソフト戦略として出てきたものです」
財務大臣問題への解決策を見つける取り組みの一環として、フランスのマクロン大統領とサード・ハリリ氏が話し合いを呼び掛けた。
水曜夜に、ベルナール・フーシェ・フランス大使とヒズボラの国際関係担当アンマル・アル・ムサウィ氏との間で問題解決のための話し合いが持たれた。
フランスは、レバノンの政治関係者たちに「自らの責任を引き受ける」よう呼び掛けた。そしてマクロン大統領の訪問中に、レバノンのニーズや願望を満たす喫緊の改革プログラムを実行する救済政府を15日以内に樹立させるとの約束を果たすことができなかったことを遺憾に思う」とした。
進歩社会党党首のワリド・ジュンプラト氏はツイッターで、「レバノンを危機から救い出そうとするフランスの取り組みは、この国を救う最後のチャンスであり、改革が実行されなければレバノンは消滅の危機に瀕するだろう」と警告した。
一方、新型コロナウイルスの感染は拡大しており、特に過密状態にあるルーミエ中央刑務所では2日間で感染者数が30人から223人に急増した。
医師組合の組合長であるシャラフ・アブ・シャラフ氏は、「同刑務所内では200名以上の感染者が確認されていますが、一番の問題は、囚人たちが刑務所の健康管理に協力せず、必要な衛生措置に従わないことです。これは深刻な問題です。感染は拡大し、すべての者に影響するでしょう」と述べた。